「クリティカルシンキング 入門篇: あなたの思考をガイドする40の原則」E・B・ゼックミスタ、J・E・ジョンソン
2003/03/14公開 更新本のソムリエ [PR]
Tweet
【私の評価】★★★★☆(82点)
要約と感想レビュー
クリティカルな思考とは、適切な根拠に基づき、論理的で偏りのない思考のことです。クリティカル・シンキングの一番最初に出てくるのは、因果律です。つまり、何が原因なのかということです。
例えば、本当に地球温暖化の原因は、二酸化炭素の大気濃度の増加なのだろうか、と考えてみましょう。まず、共変関係にあるのかということですが、地球の気温とCO2濃度は連動しています。ところが、タイミングは気温が上がると、その後にCO2濃度が上昇する。気温が下がると、CO2濃度が低下しているのです。時間的順序を考えると、CO2が地球温暖化の原因と考えるのは、クリティカルではないようです。
・クリシン原則4:因果律を立証する規準は、共変関係、時間的順序関係、もっともらしい他の原因の排除の三つである(p38)
次に出てくるのは認知バイアスです。つまり、思い込みです。よくある思い込みは、「自分だからできない」と自分の性格を否定してしまうもので、これは生産的ではありません。今、できていない今の状態を否定すべきであり、反省すべきなのです。自分の性格は変えにくいですが、自分の行動は変えやすいからです。仮に反省すべきときでも、「自分は十分に努力したといえるだろうか」と自分を否定するのではなく、「自分のやり方は効果的だったといえるだろうか」と努力の質と量を反省すべきなのです。
さらに面白いのは、クリティカルで合理的な目標設定を求めているところでしょう。クリティカルではない目標設定の例は、自分が完璧であり、成功者であると証明しようとすることです。成功を求める人は、失敗を恐れ、冒険や挑戦をしなくなります。そのために、自分が本当にやりたいことができなくなってしまうのです。または、無理な目標を望み、達成できずに挫折感に打ちひしがれることになりやすいのだという。
そのためクリティカルな目標設定とは、小さな目標を設定し、一つずつ達成していくことです。そして、人に認められなければならないとか、完璧にやらなければならないといった非合理な目標を抱かないことが原則なのです。このようにクリティカル・シンキングとは、合理的な成功法則に近いと思いました。ぜひ使ってみましょう。
この本で私が共感した名言
・自己防衛バイアス・・・相手が未熟だったとか、あるいはたんに運が悪かった・・・自分の落ち度は認めないとする(p132)
・性格論的自己非難は非生産的である。行動的自己非難に切り替えよ。自分のした行動を反省すればよいのであって、自分という人間を自らおとしめる必要はない(p161)
・困難な目標に取り組む時、途中にいくつかの小目標を設定し、それを一つずつ達成していくことに専念せよ(p168)
・クリシン原則38:「たんなる偶然(偶然の一致)」こそが、しばしば最も有効な説明原理である(p205)
今日の名言
何事もすぐに理解してしまう人は、何も学ばないであろう。(アレクサンダー・ホープ)
松下幸之助は、「まず汗を出せ。汗の中から知恵を出せ。」と言いました。松下幸之助の言葉も、今日の言葉も、何でも手っ取り早くやろうとする質(たち)の私には、とても痛い一言です。何事も一生懸命やってみる。苦労してみる。そうやってこそ、本当に学ぶべきことが見えてくるし、本当の知恵が生まれるということなのでしょう。
北大路書房
売り上げランキング: 47,312
【私の評価】★★★★☆(82点)
目次
1章 クリティカルな思考とは何か、いかに学べばよいのか
2章 ものごとの原因について考える
3章 他人の行動を説明する
4章 自分自身を省察する
5章 信念を分析する
著者経歴
E.B.ゼックミスタ・・・シカゴ・ロヨラ大学心理学科教授。専門は人間の認知、記憶の分野。
J・E・ジョンソン・・・シカゴ・ロヨラ大学心理学科教授。専門は臨床心理学。
この記事が参考になった方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓
人気ブログランキングに投票する
無料メルマガ「1分間書評!【一日一冊:人生の智恵】」
まぐまぐ殿堂入り、発行部数11,000部
メルマガ登録|ホームページ|発行者の日記|
メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」 18,000名が読んでいる定番書評メルマガです。購読して読書好きになった人が続出中。 >>バックナンバー |
配信には『まぐまぐ』を使用しております。 |