人生を変えるほど感動する本を紹介するサイトです
本ナビ > 書評一覧 >

「電通と博報堂は何をしているのか」中川 淳一郎

2018/02/09公開 更新
本のソムリエ
本のソムリエ メルマガ登録[PR]

電通と博報堂は何をしているのか (星海社新書)


【私の評価】★★★★☆(82点)


要約と感想レビュー

電通社員自殺の原因は上司のパワハラ

電通新入社員だった高橋まつりさんが自殺に追い込まれた事件の後に書かれた一冊です。博報堂OBの著者の印象としては、100時間の時間外は普通であり、自殺の原因は書類送検された上司のパワハラだったのではないかとしています。


電通では上下関係が厳しく、年長者が決定したらそれに従えばいい。年長者が決めてくれるから、下にはあまり責任がないという風土があるという。上司から言われたことに従っておけば「おっ、あいつはかわいいな」となるらしいのです。


・電通新入社員だった高橋まつりさんが自殺に追い込まれた件については、相当なパワハラがあったとも聞く。直属の上司は書類送検されたというから相当なものだろう(p11)


電通はクライアントのポチである

メディアを支配していると言われる電通について、著者は「クライアントのポチ」である。広告代理店は「サービス業」であり、客からの要求には何があろうと応えなくてはいけないのです。クライアントからの無理な要求にいかに誠意を持って対応できるかで広告代理店の価値が決まるので、「できません」と言った途端、別の代理店に業務を切り替えられることもあるのです。


そのため、取引先やコネを使って影響力を行使することがあり、それを見た第三者から見れば、広告代理店は不可能も可能とする権力を持っているように見えるのです。クライアント企業も「このイベント(利益率は低い)競合プレゼンで勝ったら、もしかしたら(利益率の高い)メディアの買い付け業務も発注しちゃうかもしれないよ」と煽ることもあるという。


・自民党が電通に依頼をし、民進党が博報堂に依頼をするといった伝統が存在する・・・時には敵陣営のネガティブキャンペーンにも近いようなことを仕掛けるべく、記者や編集者に働きかけることもある(p172)


、電通は営業会社なのでやります!と答える

電通には『営業が言ってるからしかたない』という不文律があり、博報堂はコストに見合わないことは断りますが、電通は営業会社なので、やります!と答えるという。『やります感』が電通の商売道具なのです。良い意味でも、悪い意味でも、電通は、日本の典型的な体育会系の会社なのだと思いました。


電通は儲からなくてもお客様のために安い仕事を全力でやったりする。そして実際に仕事もできるし、無理な要求をしてもついてきてくれる。クライアントから見れば使える企業なのでしょう。中川さん、良い本をありがとうございました。


無料メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」(独自配信)
3万人が読んでいる定番書評メルマガ(独自配信)です。「空メール購読」ボタンから空メールを送信してください。「空メール」がうまくいかない人は、「こちら」から登録してください。

この本で私が共感した名言

・電通・博報堂は「大人数で来れば客に忠誠心を見せられる」と考えている節があるようなのだ・・8人ぐらいでゾロゾロとやって来て椅子が足りなくなるという話もある(p39)


・何が100点なのか分からないのだ。答えがないだけに、スタッフが雁首をそろえて3時間も4時間も会議を続けるのである(p36)


・電通の社内には「デジタル器用貧乏」といった言葉もあるそうだ。デジタル系の仕事は単価が安い割には、一定の稼ぎにかける工数があまりにも多い(p113)


・広告代理店がサービス業であることはこれまでに何度も述べてきたが、その中でもハイライトとなるのが葬式の仕切りである。クライアント企業の会長やその他功労者の葬式を仕切ることはその後の付き合いを考えるとかなり重要なもの(p178)


・退社組の呼び方で言えば、電通は検事を辞めた「ヤメ検」にかけてか「ヤメ電」と呼び、博報堂は北朝鮮からの「脱北者」にかけて「脱博者」と呼ぶ(p155)


電通と博報堂は何をしているのか (星海社新書)
電通と博報堂は何をしているのか (星海社新書)
posted with Amazonアソシエイト at 18.02.08
中川 淳一郎
講談社
売り上げランキング: 113,073


【私の評価】★★★★☆(82点)


[楽天ブックスで購入する]



目次

第1章 超長時間労働を生み出す業界構造
第2章 「パクリ疑惑と過労問題」広告業界に落ちた二つの爆弾
第3章 「忠義」の電通、「ビジネス」の博報堂
第4章 広告都市伝説の真偽


この記事が参考になったと思った方は、
クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 
blogranking.png

人気ブログランキングへ


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ第3位
にほんブログ村

<< 前の記事 | 次の記事 >>

この記事が気に入ったらいいね!

この記事が気に入ったらシェアをお願いします

この著者の本



同じカテゴリーの書籍: