「石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの」清武 英利

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石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの

【私の評価】★★★★☆(80点)


■2001年に外務省で
 ロジスティクスを担当する
 ノンキャリアの松尾克俊が
 逮捕されました。


 ロジスティクスとは、
 首相の外遊や要人来日の出入国手続きから
 会場、車両、ホテル、諸物品まで
 すべてを手配する仕事です。


 費用は官邸の機密費から支出され、
 松尾はなんと11億円を着服し、
 競走馬購入、愛人へプレゼント、
 マンション購入などに使われていました。


・外務省でそのサミットの裏方の一切は、
 1981年のカナダ・オタワサミットから
 3種職員と呼ばれるノンキャリア職員のみで
 対応することになっていた(p39)


■役人の汚職、横領を捜査するのは、
 警視庁捜査二課(382名)です。


 その捜査二課の第四、第五、第六知能犯の
 九つの班員101名が贈収賄事件を
 専門に摘発する刑事なのです。


 外務省の案件では
 ピークで100人以上の体制で
 捜査を行っています。


 それだけ贈収賄事件を
 立件するためには
 労力がかかるのですね。


・狙いはいつもサンズイである・・
 コンベン(詐欺)やセナカ(背任)、
 ギョウヨコ(業務上横領)も大きな犯罪だが、
 やはり一つ格が下だ。汚職の役人を
 捕まえるというのが二課刑事の命なんだよ(p48)


■外務省も簿外の資金が必要であり、
 発覚しても問題が大きくならないよう
 ノンキャリアに担当させているのでしょう。


 それにしても松尾克俊は、
 自分の競走馬や愛人に流用するとは、
 あまりにもやり過ぎました。


 そして、同じ役人でも、
 愛人を抱えて一人前の外務官僚と
 家に帰らず捜査する刑事の
 落差が印象的でした。


 清武さん
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・1997年3月から、週刊ポストが『外務省高官の
 「2億円」着服疑惑』という記事を掲載・・
 外務事務次官秘書時代に、外務省の機密費を
 使って料亭や高級レストランで飲食を繰り返し、
 一年半の間に二億円を超える機密費を使った・・
 S課長とは外務省の本流を歩む杉山晋輔・・
 (ちなみに、杉山は19年後の2016年に
 外務事務次官に上り詰めている)(p97)


・外務省は紳士ぞろいに見えるが、
 実は女性関係に寛大で、不倫が
 咎められない役所になっていた。
 アルバイト女性を愛人にしたり・・
 「愛人を抱えて初めて一人前だよ」と
 公言する役人がいたりした・・(p110)


・松尾は首相一行が宿泊するホテルに泊まり、
 そこのレターヘッドを
 ごっそり持って帰るのだった。
 それが偽造書類の用紙に化けるのである(p238)


・刑事は仕事に比して給料も安いうえに、
 なんと窮屈な職業だろうか・・
 外泊の際には、休日であっても上司に
 届けを出さなくてはいけない・・
 近所との交流は、政治的中立の保持や、
 秘密保持の観点から好ましくないとされている。
 共産党員と親しくすることも原則として許されない。
 記者たちとの接触も、それが刑事の
 情報収集目的でない限りは、ご法度だ(p126)


・「決まり事だけをやる奴は
 良い警察官になるかもしれないが、
 良い刑事にはなれない」
 というのが口癖である(p260)


・「清濁併せ呑むようでないと、サンズイはできない。
 正義感だけしか持ち合わせていない刑事は
 枝葉末節に走って、本質を見失うことがある」
 という証言や、「犯罪捜査は管理しすぎてはできない
 ところがあるものだ。管理化された捜査など意味がない」
 という古い刑事の話には耳を傾ける価値がある(p366)


・きわどいネタ元を持つ先輩主任と口論・・
 ブラック(ジャーナリスト)みたいな奴から
 もらってくるんじゃなくてさ。
 あんな奴らと会って、綺麗な報告書を出しても、
 捜査を始めたとたんに新聞なんかに
 暴露されちまっているじゃないか。
 ブラックから情報をもらっても、
 そんな相手には情報を
 返さなくちゃいけないんだろう。
 それじゃあ、何のための情報なんだい(p81)


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■目次

序章 半太郎
第1章 捜査二課の魂
第2章 浮かび上がる標的
第3章 地を這う
第4章 情報係とナンバー
第5章 パンドラの箱
第6章 聖域の中へ
第7章 涜職刑事の誇り
第8章 束の間の勝利
事件のあとで



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