「住友銀行秘史」國重 惇史

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住友銀行秘史

【私の評価】★★★★★(95点)


■イトマン事件の
 内実を記した一冊です。


 イトマン事件とは、
 商社であるイトマンから
 絵画や不動産や融資の形で
 政治家、ヤクザ、不動産業者に
 資金が流出したものです。


 少なくとも5000億円が、
 消えてしまいました。


 メインバンクの住友銀行も
 イトマンの問題は認識していましたが、
 住友銀行の天皇といわれた
 磯田会長の娘が関係していることで、
 動きがとれなくなっていました。


 住友銀行の幹部だった著者は
 マスコミへ情報をリークし、
 イトマン事件の早期解決を目指しました。


・89年11月ごろには、園子氏が河村社長に
 「・・・ロートレックコレクションを、
 イトマンで購入してくれないか」と依頼・・
 磯田会長の娘の言うことを
 反故にできるわけもない(p72)


■カネを引き出す手口としては、
 自分の再開発の見込みのない土地を
 イトマンに買い取らせる。


 イトマンから自分の会社に融資させ、
 その一部を手数料として
 イトマンにキックバックする。


 イトマンに絵画を
 異常に高い金額で購入させる。


 ヤクザと関係を持つ不動産業者である
 伊藤寿永光がイトマンの常務となり、
 こうした手口を実行していきました。


・イトマンが伊藤寿永光氏のゴルフ場案件などに
 融資をする見返りに、その融資金の一部を
 伊藤氏側から企画料などの名目でイトマンに
 入金させていた。河村社長はこの仕組みを
 利用することで決算利益を計上することができ、
 伊藤氏はイトマンから融資金を引き出せる
 という意味で両者にとって
 都合のいいスキームであった(p284)


■政治家、ヤクザについては
 詳しく書いてありませんので、
 事件の全体像は、よくわかりません。


 絵画や不動産や融資や手数料によって
 賄賂や利益の水増しができることは
 わかりました。


 著者が言いたかったことは、
 上司に言いたいことが言えない
 大企業サラリーマンの
 行動様式だったのではないでしょうか。


 國重さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・ジャパンスコープとは、磯田会長の娘婿である
 黒川洋氏が経営するアパレル会社だ・・
 実はこの絵画取引をめぐっては、イトマン側から
 ジャパンスコープに5000万円が、「仲介手数料」
 として支払われたことがのちに表面化し、
 問題視されることになる(p105)


・許永中氏がイトマンに絵を売り、そこで得た
 カネでイトマン株を買い占めているというのだ。
 イトマンは自分のカネで乗っ取られている
 ようなもので、まぬけとういか
 ばかばかしいといおうか(p385)


・先般も、磯田会長の女のことが週刊誌に出ると
 騒いだ。河村社長、伊藤寿永光、西副頭取が
 もみ消したことになっている。ところが、
 磯田会長が心配になって、巽頭取にもみ消しに
 行けと言った。巽頭取が行ったら、相手は「?」
 だった。まったくのでたらめの話をでっち上げて
 消したふりをして、磯田会長の信頼を得る
 完全なマッチポンプ(p222)


・相変わらず磯田会長は伊藤寿永光や
 野村(許)永中(!)たちと会っているようだ。
 専務陣も問題の所在はわかっている。
 わかっていて動かないのだから、
 余計始末が悪い(p288)


・「注射を打たれた」というのは、
 「次の頭取は君かも・・」などと、
 含みを持たせて一派に取り込まれていた
 ということである(p140)


・私は基本的に「攻め」のタイプだが、
 メガバンクとは「守り」の組織である。
 そして徹底した減点主義。
 1回でもバツがつくともうおしまいだ(p168)


・銀行で頭取になりたいのなら
 どうすればよかったのか。
 それは何もしないことだ。
 減点主義の組織なのだから(p464)


・当時は、総会と言えばヤクザが仕切るのが
 当たり前になっていた。イトマンの総会は、
 佐藤茂氏などの関東系の人々が扱っていたという。
 それが伊藤寿永光氏が介入してきたことで
 東京から別の総会屋に移った・・
 伊藤氏の裏にもヤクザがおり、
 面倒になるのは避けたいということで、
 N氏は手を引いたというのだ(p441)


・佐藤正忠氏は、雑誌『経済界』を創刊、主幹を
 務めていた。のちに、河村社長から2億円もらって
 イトマンのちょうちん記事を書いたと
 自ら明らかにしている(p133)


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■目次

第1章 問題のスタート
第2章 なすすべもなく
第3章 行内の暗闘
第4章 共犯あるいは運命共同体
第5章 焦燥
第6章 攻勢
第7章 惨憺
第8章 兆し
第9章 9合目
第10章 停滞
第11章 磯田退任
第12章 追及か救済か
第13章 苛立ち
第14章 Zデー
第15章 解任!
第16章 虚脱
第17章 幕切れ


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