「それでもなお、人を愛しなさい―人生の意味を見つけるための逆説の10カ条」ケント・M・キース
2017/05/25公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(85点)
要約と感想レビュー
著者は高校生のとき、生徒会の再編計画に反対しました。生徒代表者会議を65人から20人に縮小するもので、著者には民主主義への挑戦に見えたのです。戦いには勝ちましたが、再編計画を推進していた人たちからは、様々な批判と嘲笑を受けました。
例えば、「再編計画に反対したのは、本当は生徒会長になるための売名行為だろう」と偽善者として嘲笑されたのです。もちろんそうした売名行為を計画的に行う人もいるのですが、真面目な著者には考えも及ばないことだったのです。
・「名前を知られるようになるために、再編計画に反対したのだろう。あとで生徒会に立候補するためにさ。君はだただの便乗主義者だね」・・そんなことを考える人がいることが私には信じられませんでした。まして、それを口にだして言うとは(p38)
自分は正しいことをしていると思っていても、対立する人が出てくるものです。そして、対立している人がレベルの低い人々だったら、攻撃を受けることもあるでしょう。それでもなお、自分が正しいと思ったことをしなさい、というのが著者の思いであり挑戦なのです。
歴史上でも多くの挑戦する人々が、レベルの低い人々と闘い、傷つけられながら、歴史を作ってきたのです。大多数のレベルの低い人たちと、ごく少数のレベルの高い人の軋轢は避けられないのでしょう。それでもレベルの高い人は、理想の世界を目指して提言してきたのです。
・ソクラテス、ガリレオ、ジャンヌ・ダルク、コロンブス、リンカーン、スーザン・B・アンソニー、ガンジー、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア・・小さな人々が彼らをあざ笑い、牢獄に閉じ込め、撃ち殺した物語です(p62)
著者はハーバード大学で、「逆説の十ヵ条」を書きました。その内容は、仮に他人が自分のことを評価しなくても、正しいことを実行しましょうというものです。さすがハーバードとも言えますし、それまで著者は多くの挑戦を行い、挫折し、成功してきたのでしょう。
①人は不合理で、わからず屋で、わがままな存在だ。それでもなお、人を愛しなさい。
②何か良いことをすれば、隠された利己的な動機があるはずだと人に責められるだろう。それでもなお、良いことをしなさい。
③成功すれば、うその友達と本物の敵を得ることになる。それでもなお、成功しなさい。
④今日の善行は明日になれば忘れられてしまうだろう。それでもなお、良いことをしなさい。
⑤正直で素直なあり方はあなたを無防備にするだろう。それでもなお、正直で素直なあなたでいなさい。
⑥もっとも大きな考えをもったもっとも小さな男女は、もっとも小さな心をもったもっとも小さな男女によって撃ち落とされるかもしれない。それでもなお、大きな考えをもちなさい。
⑦人は弱者をひいきにはするが、勝者のあとにしかついていかない。それでもなお、弱者のために戦いなさい。
⑧何年もかけて築いたものが一夜にして崩れ去るかもしれない。それでもなお、築きあげなさい。
⑨人が本当に助けを必要としていても、実際に助けの手を差し伸べると攻撃されるかもしれない。それでもなお、人を助けなさい。
⑩世界のために最善を尽くしても、その見返りにひどい仕打ちを受けるかもしれない。それでもなお、世界のために最善をつくしなさい。
キースさん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・この世界は狂っていますが、あなたは狂っていません。だから、あなたは逆説の中に人間としての意味を見出すことができるでしょう(p22)
・あなたが何か良いことをすれば、ひねくれてゆがんだ心をもっている人や、疲れきって冷笑的になってしまった人によって馬鹿にされるかもしれません。(p39)
・敵に対処するための簡単な方法・・第一に、彼らの行動をあなたへの個人攻撃と考えないことです。あなたを攻撃している人は、人生がうまくいっておらず、不幸に苦しんでいるだけかもしれません。(p45)
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【私の評価】★★★★☆(85点)
目次
第1部 おかしな世界
第2部 逆説の10カ条
第3部 逆説的な人生
著者経歴
ケント・M・キース(Kent M. Keith)・・・1949年、ニューヨーク生まれ。ハーバード大学在学中に、高校の生徒会のリーダーたちを激励すべく150回以上の講演を行なう。本書の「逆説の10カ条」は、その活動の一環として出版した小冊子ではじめて発表された。その後、オックスフォード大学で哲学と政治学、早稲田大学で日本語を学び、ハワイ州立大学で法学博士号を取得。1979年よりハワイ州の経済企画開発局の要職を歴任し、同局長として州政府の閣僚を務めた。その後も私立大学の学長、YMCAのリーダーなどを務める。現在、サーヴァント・リーダーシップを推進する「グリーンリーフ・センター」CEO。
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