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「大班 世界最大のマフィア・中国共産党を手玉にとった日本人」加藤 鉱

2015/12/07公開 更新
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大班 世界最大のマフィア・中国共産党を手玉にとった日本人


【私の評価】★★★★★(93点)


要約と感想レビュー

中国は法治国家ではなく、人治国家だという。そのため、中国に進出した企業は、どこも苦戦しているらしい。中国での実話に沿ったストーリーを通して、現地の実情を教えてくれる一冊です。


中国では銀行から融資が決まった時点で、その紹介者である共産党指導部の人間に融資額の二割を謝礼として渡すのだという。その後、この融資に応じた国有銀行の幹部に一割。続いて、残りのうち二割を自分のものにして、海外の口座に預金するという。賄賂が必要経費となっているのです。


中国では、公私混同が当たり前。そうでなければ中国人ではないのです。中国人は会社に所属しているのではなく、利害と人間関係だけで繋がっているのです。人間関係もまずは出会いがあり、互いに品定めする時間が必要です。最初は相手がこちらの家に来るのですが、本当に打ち解けた場合には、相手は必ずこちらを自宅に呼ぶのです。


中国ではどんなに信頼していても騙されることを前提に、対応策を準備して相手と契約しなくてはなりません。そうしなければ、「騙されるやつが悪い」と言われるだけなのです。予定どおり進まないのは、コンファーム(確認)が不十分だからなのです。しつこいくらいのコンファームでちょうどいいのだというのです。


・おのれの処理能力も考えずに軽々しく賄賂を受け取ったりするような地方役人など絶対に信じてはいけない・・安易に不正を引き受けてしまうようなチンピラ役人に当局の手入れが入ったらどうなるのかを(p12)


言葉ではわかっても、日本人には本当の意味で中国人のことが分かるはずもない、と感じる一冊でした。現場で体験した人しか、わからないのでしょう。加藤さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

韓国、台湾企業のトップは夜逃げすることを恥じない。日本企業は看板が大きすぎて身動きがとれないことから地方政府の標的にされがちなのだ(p265)


・僕の経験では、即金と言いながら、きょうは金を払えないという人間は『100%』騙すつもりで発注してくる(p210)


・東南アジアの途上国の名士になった人たちには、ひとつの成功パターンが見られる。まずは農産物の輸出でひとやま当てるのだ。それも、冷凍ができて付加価値の高いものを輸出するルートを獲得できたものだけが成功を収めた。そして成功者たちが農産物の次に手を染めるのが、ほぼ例外なく中古車なのである(p128)


▼引用は、この本からです。
大班 世界最大のマフィア・中国共産党を手玉にとった日本人
加藤 鉱
集英社
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【私の評価】★★★★★(93点)


目次

第1章 公私混同しなければ中国人ではない(一九九二年)
第2章 脱税物販ビジネス(一九八八年)
第3章 幇の恐怖(一九九四年)
第4章 三つ子の魂百まで(一九九一年)
第5章 「関係」の移転(一九九六年)
第6章 チャイナ・オペレーション(二〇〇一年)
第7章 反日デモ(二〇一二年)
第8章 それから(二〇一五年)



著者経歴

加藤鉱(かとう・こう)・・・ノンフィクション作家。1953年、愛知県生まれ。経済誌記者を経て香港に渡り、在住10年。1992年に香港で日本語オピニオン紙「サイノエイジア・ファックスライン」を創刊。中国への返還という歴史的な過渡期を迎える香港をレポートした。内外の政治・経済をはじめ文化、スポーツ、ギャンブルまで執筆テーマは多岐にわたる


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