【書評】「どうしても動き出せない日のモチベーションの見つけ方」 角田陽一郎
2026/10/28公開 更新
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【私の評価】★★★★☆(84点)
要約と感想レビュー
テレビプロデューサーのインプット術
元TBSのバラエティ・プロデューサーである著者の、仕事や人生に対する考え方をまとめた一冊です。テレビのプロデューサーは、アイデア勝負です。そのアイデアを生み出すために、どのようにインプットし、アウトプットしているのか。その具体的な方法が興味深い一冊でした。
例えば著者は、旅先では「旅ラン」をしているという。走りながら街を見ることで、観光地を巡るだけではわからない街の構造が見えてくるというのです。ローマでもサンパウロでも旅ランをしたという。
また、人から勧められたものには「100%乗っかる」と決めています。水道橋博士やキングコングの西野さんが「あの映画、面白かったですよ」と言われると、次に会うまでには必ず観ているのを真似しているのです。
自分で選んでいると、どうしても世界は狭くなってしまいます。他人のおすすめに乗ってみることで、自分では選ばなかった世界に出会えるのでしょう。
さらに、やりたいことや好きなことが見つからないなら、ラジオを流しっぱなしにしてみる。海外に行ったら、知らないCDを「あえてジャケ買い」する。本なら、興味を持ったテーマの新書を適当に買ってみる。
つまり、自分の好みだけで情報を選ぶのではなく、偶然の出会いを意識的に増やしているのです。
スタジオジブリの鈴木敏夫さん・・・映画の感想を尋ねる時、「どうだった?」とは聞かず「どんな映画だった?」と要約させる・・そうすれば、実はその人の感想もわかるんだと(p98)
テレビプロデューサーのアウトプット術
そして、この本で私が特に注目したのが「アウトプット」です。
著者は「1日1行でいいから、絶対毎日書こう」とブログを書き始めました。2年ほど続けるうちに、徐々に文章を書けるようになったというのです。
書き続けるメリットは、文章力が上がるだけではありません。自分の考えや体験が「アーカイブ」されていく。そして、毎日書こうとすると、その日に起きた小さな出来事を見逃さなくなるというのです。
私も同感ですが、アウトプットすることで、普段の生活でも「これは使える」「これは面白い」と、ネタや情報に対する感度が高くなるのです。
さらに著者は、SNSでつぶやくだけでは「ちょっともったいない」としています。より効果的なのは、聴衆がいる場でアウトプットすること。
例えば読書会です。知らない人に本の感想や読みどころを説明しようとすれば、ただ読むだけの場合とは、インプットの質そのものが変わってくるのです。
自分がどういうブランドとして書くかは考えた方がいいと思います・・・人事部長が書くのか、子どもが三人いる親が書くのか(p119)
テレビのプロデューサーのアイデアづくり
著者は「何でそんなにアイディアがあるんですか?」と聞かれることがあるという。どうすればアイデアを次々に生み出せるのでしょうか。
その答えは、日頃から面白い企画を大量にストックしているからなのです。必要になったとき、そのストックの中から出す。つまり、アイデアマンとは、突然ひらめく人ではなく、アイデアを蓄積している人なのです。
面白いのは、企画を「通す」ことを目標にしないという考え方です。企画は基本的には通らない。だから「通ったらラッキー」くらいに考え、面白い企画そのものを探すことに集中する。そうすると、たとえ採用されなくても落ち込まないし、面白い企画のストックが増えていくというのです。
さらに著者は現在、30個ほどの仕事を同時に進めており、そのうち収入になるのは10個くらいだという。残り20個は、直接お金にならない仕事です。それでも続けているのは、すべてがつながっていくから。
例えばYouTubeやVoicyで話した内容が、自分の考えを整理する機会となり、本のネタになり、仕事の会話にも使える。一つひとつのアウトプットを独立したものとして見るのではなく、「すべてがつながっていく」と考えているのです。
企画を通すというチャレンジにしてしまうと、通らないことが多い・・通ったらラッキーくらいに思っておいて、企画そのものの面白さを追及する。すると、面白いもののストックがどんどんできていく(p71)
テレビのプロデューサーの不安対策
明るいテレビ番組を作ってきた著者ですが、自分自身については「不安でいっぱいで、どちらかというとネガティブな暗い人間」だと書いています。
だからなのか、「人生は短期決戦のトーナメント戦ではなく総当たり戦」と考えるようにしているという。人生は一度負けたら終わりなのではありません。今回は負けてもいいのだから、「アイデアが通らなくても今回は引き分けにしよう」と判断することもできるというのです。
人生を一発勝負だと思わなければ、成功しなくても勝たなくても不安は小さくできるのです。
さらに、人生を「ドキュメンタリー」だと考える。仕事がうまくいかない。上司と喧嘩する。思ったように本が売れない。自分にとっては大変なことでも、ドキュメンタリーとして見れば、むしろ面白い場面なのです。
人生を少し離れたところから眺めることができれば、失敗やトラブルも「成功のストーリーの一場面」と考えることができるという考え方です。
11月に開催するセミナー「『読む』から『発信』へ 人生を変えるアウトプット術」に、ぴったりの一冊でした。参考にさせていただきます。角田さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・オンライン講義を何時間も聞いていると眠くなってしまいます・・そこでスマホでzoomをつないで散歩しながら授業を聞きはじめた・・まず、寝ない(笑)・・講義の内容が入ってくるようになりました(p90)
・本当は天才に見せているだけ。天才は天才を演じるためにものすごく努力してる。その努力に付き合うのって超大変(p77)
・テレビでもよく使われる「情報を小出しにする」というやり方は、日常会話でも使えます。「この語、驚きの展開が!」のように引っ張るような手法です(p88)
・「決定は遅めに、連絡は早めに」は、テレビ局でADが最初に教わることなんです・・・伊豆のロケであれば、美味しいレストランや温泉など、事前にアポをとって何カ所か仕込んでおきます(p104)
・つまらないものや嫌いなものに触れた時に、なぜ自分はこの映画をつまらないと感じるのだろう、と思いながら観る・・・「自分だったらこうしてみよう」など仕事や人間関係に活かせるかもしれません(p192)
▼引用は、この本からです

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角田陽一郎、大和書房
【私の評価】★★★★☆(84点)
目的
DAY1:どうしてもやる気が出ない日のモチベーションの見つけ方
DAY2:やりたいことに悩んでいる日のモチベーションの見つけ方
DAY3:無理せずゆるくやりたい日のモチベーションの見つけ方
DAY4:仕事をちょっと楽しくしたい日のモチベーションの見つけ方
DAY5:無限にアイディアを生み出したい日のモチベーションの見つけ方
DAY6:人間関係に新しい風を入れたい日のモチベーションの見つけ方
DAY7:いつもの思考のクセから抜け出したい日のモチベーションの見つけ方
DAY∞:人生の景色を変えたい日のモチベーションの見つけ方
著者経歴
角田陽一郎(かくた よういちろう)・・・バラエティプロデューサー。1970年千葉県生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒業後、1994年にTBSテレビに入社。TVプロデューサー、ディレクターとして「さんまのスーパーからくりTV」「中居正広の金曜日のスマたちへ」「EXILE魂」などを制作。2009年ネット動画配信会社goomoを設立。映画『げんげ』監督、音楽フェスティバル開催、アプリ制作、舞台演出、その他多種多様なメディアビジネスをプロデュース。2016年にTBS退社、フリーに。番組プロデュースや企業コンサルなどの傍ら、東京大学大学院・人文社会系研究科・文化資源学研究専攻・文化経営学修士課程へ入学。現在、東京大学文化資源学研究専攻文化経営学博士課程に在籍中。
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