【書評】「マウントの作法 承認欲求をハックする 相手を思いのままに操る技術」 大原昌人
2026/10/13公開 更新
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【私の評価】★★★★★(94点)
要約と感想レビュー
相手の承認欲求を満たす
著者は楽天市場のWebディレクターとして、どのように組織のやる気を引き出していたのでしょうか。
それは、部下の承認欲求を満たすことです。「あなたがいないと、この仕事は回らない」と、相手に自分の重要性を感じてもらうように声をかけていたというのです。
例えば、デザイナーには「この広告、Gさんの色彩感覚じゃないとできないと思っていて、この温度感を出せる人はいません」と伝えます。つまり、「あなたにしかできない仕事だ」と伝えることで、相手のやる気を引き出すのです。
「あなたがいないとこの仕事は回らない」で自己重要感を常に与える(p88)
会議では全員に発言してもらう
著者は会議の前に根回しを行い、「プレ合意」を得ておくことを勧めています。決定権限者やキーマンには事前に説明し、意見を取り込んでおくことで、会議では最終決定だけを行うのです。
一方、議論が必要な会議では、全員に発言してもらいます。著者は会議の冒頭で、「今日は議題が3つあります。会議の最後に、全員から一言ずつ所感を伺いたいと思います」と伝えるというのです。
さらに、参加者の自主性を引き出したい場合には、「今日の議論を踏まえて、明日から自分が何をするかを一言でお願いします」と発言を求めます。単に意見を聞くだけでなく、具体的な行動まで宣言してもらうのがポイントです。
会議では全員に発言「させてあげる」・・・冒頭でこう宣言します。「今日は議題が3つあります。会議の最後に、全員から一言ずつ所感を伺いたいと思います(p83)
意見は承認と転換で受け入れる
上司から意見が出た場合には、それを否定するのではなく、仕事の推進力に変換します。著者のやり方は、「承認」し「転換」し「役割」を与えることです。
例えば、上司が「俺の若い頃は」と話し始めたら、まず「なるほど、その方向ですね」と承認します。
次に、「その方向なら、このやり方が一番安全です」と、上司の意見を取り入れながら、自分の提案に近づけ転換します。上司が重視するKPI(重要業績評価指標)に結びつければ、さらに納得してもらいやすいでしょう。
最後に、期限と役割を明確にし、上司の決定事項として議事録やメールに残します。こうして、上司の承認欲求を満たしながら、仕事を前に進めるのです。
他部門との打ち合わせでも同じです。他部門の意見を取り入れたうえで、「最後の具体案とステップをお願いします」と役割を渡せば、相手の主体性を引き出すことができるのでしょう。
マウントやエゴに直面したとき・・・第一手に、勝たせること・・「さすがですね」・・第二手、役割を渡す。「ではその方針で、この部分をリードしてもらえますか」などと、相手のポジションをそのまま決定してしまいます(p54)
マウントを取られたらどうするか
著者の戦略は、相手の承認欲求を満たし、勝った気になってもらいながら、こちらは実を取るというものです。
では、実際にマウントを取られたら、どうすればよいのでしょうか。著者は、相手と争う場合には「比較軸をずらす」方法を紹介しています。
例えば、相手が学歴を自慢してきたら、「学歴って今の案件の成果にどうつながります?」と、現在の仕事の成果に話を戻すのです。
ただ、著者によれば、マウンティングとは相手の内面にある弱さの表れにすぎません。そして、マウントを取られて怒りを感じるのも、自分の中にある劣等感が刺激されたからだというのです。
つまり、マウントを避けることは難しいのです。したがって、マウントする相手に勝とうとするよりも、相手を認めて仕事を前に進める。それが、著者の「マウントの作法」と理解しました。
大原さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・ブランド品を買う行為も、突き詰めれば「マウント兵器」の購入である(p23)
・マウントブランディング・・・PRエージェントを雇う、プレスリリースを配信する、知人の記者に紹介してもらう、自分から企画を提案する・・重要なのは、継続的に露出し続けること・・最も効果があったのは、やはり出版です(p145)
・安売りする人間は、相手を安く扱っているとも言えます。ですから、あなたがプロとして受注するなら、まず相場の2倍を置く。怯えずに、堂々と(p99)
▼引用は、この本からです

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大原昌人、ぱる出版
【私の評価】★★★★★(94点)
目的
第1章 世界はマウントで回っている――マウンティングの正体
第2章 職場・会議・上司で勝つ「戦略的マウント」の極意
第3章 交渉・心理戦で勝つ「逆マウント」の錬金術
第4章 ブランディングで勝つ「ステルスマウンティング」の技術
第5章 SNS・コミュニティで勝つ「マウント運用」の正解
著者経歴
大原昌人(おおはら まさと)・・・元「楽天市場」プロデューサー/株式会社ダニエルズアーク代表取締役。慶應義塾大学環境情報学部卒業。楽天市場Webプロデューサー・ディレクター。2016年、熊本地震発生直後に「買って応援企画」で「楽天市場 MVP 賞」を受賞。2017年からは、「楽天スーパーSALE」の総合プロデューサーに当時最年少で就任。2018年、株式会社ダニエルズアークを設立。コカ・コーラ、サムスン、花王などを顧客に。YouTube・TikTok プロデュース事業では、コンサルティング実績200チャンネル以上。
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