人生を変えるほど感動する本を紹介するサイトです
本ナビ > 書評一覧 >

「グローバルで通用する「日本式」マーケティング 元・味の素マーケティングマネージャー直伝の仕事術」中島広数

2024/10/10公開 更新
本のソムリエ
本のソムリエ メルマガ登録[PR]

「グローバルで通用する「日本式」マーケティング 元・味の素マーケティングマネージャー直伝の仕事術」中島広数


【私の評価】★★★★☆(86点)


要約と感想レビュー


「Cook Do」を復活させる

味の素で、「Cook Do」や「きょうの大皿」等の調味料グループ長として、マーケティングから採算まで責任を持っていた著者の体験談です。まず、中華を中心とする「Cook Do」は食材に混ぜるだけで調理できる製品ですが、売上が伸び悩んでいました。


責任者となった著者は、妻やママ友にヒアリングする中で、中華が中心の「Cook Do」は20代には魅力がないことに気づきました。そこで著者が立てた仮説は、中華にこだわらず、和風調味料を使った「CookDoきょうの大皿」で若い世代を取り込むことだったのです。


社内では中華の「Cook Doの歴史に汚名を刻む」と批判されました。しかし結果して、「豚バラ大根」がヒット。「Cook Do」全体で20%売上アップを果たしたのです。「Cook Do」の魅力は中華ではなく、簡単においしく作れるというコンセプトだったわけです。


マーケティング部門は商品のコンセプトづくりにはじまって採算計画をつくるところまでしっかり責任を持つべき(p122)

中国で味の素を10倍売る

著者は、中国、カンボジア、フィリピン、インド、ミャンマー、タイ等のアセアン地域統括社マーケティングマネージャーとしても現場に入り、見直しを進めました。


例えば中国では、味の素を家庭向けに拡販しようとしていましたが、あまり売れていなかったという。著者は現地に行き、現地の人と話し、現物を見て、現地の人たちが食べるものを食べながら考えたところ、現地の人は共働きで、おかずを外で買って帰ったり、外食が多いと気付いたのです。


そこで著者は、家庭用ではなくレストランなど業務用に「味の素」を販売するようにしたら、売上が10倍になったという。著者は、常にメモを持ち歩き、とにかくきになることは「仮説メモ」にしてリスト化することを提案しています。その仮説からヒットが生まれるのです。


顧客が目にするものは、すべてローカルに。顧客が目にしないものは、すべてグローバルに(コトラー)(p151)

世界で日本の商品を売る

著者は、その国の文化圏に応じた戦略を立てることが重要だと主張します。なぜなら、スイスのネスレは、現地に合った商品や売り方で約1023億ドルを売り上げているからです。日本の企業にもできないわけがないのです。中国人の問屋の社長の口癖は「日本でナンバーワンの商品は中国でも絶対に売れる」だという。問題は売り方、マーケティングなのです。


私には、味の素の商品別に商品開発から値決め、収益まで責任を持つプロダクトマネジャーがいることがポイントだと感じました。権限と責任が一体となっているから、実行が早く、成果もわかりやすく、評価も厳格にできるということです。中島さん、良い本をありがとうございました。


無料メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」(独自配信)
3万人が読んでいる定番書評メルマガ(独自配信)です。「空メール購読」ボタンから空メールを送信してください。「空メール」がうまくいかない人は、「こちら」から登録してください。

この本で私が共感した名言


・最初に売りたい値段から決める(p91)


・「できるわけがない」・・マーケターには「アイデアを具現化する力」が求められ、開発現場や、製造現場のノウハウにも詳しくある必要がある(p94)


・「ちょっといいもの」でなく「唯一」「絶対」「オンリー」(p108)


・日本式のユニークネスは、「おかげさま」や「お天道様が見ている」「三方よし」といった考え方です(p26)


▼引用は、この本からです
「グローバルで通用する「日本式」マーケティング 元・味の素マーケティングマネージャー直伝の仕事術」中島広数
中島 広数、日本能率協会マネジメントセンター


【私の評価】★★★★☆(86点)


目次


1 2050年はアジアの時代―華人の価値観
2 新事業・新バリューチェーンの創造
3 マーケター力=思考力×対人力×人間力
4 はじまりはいつも仮説
5 ヒットの法則15原則―成功の5軸×3原則
6 ブランドと社会価値・存在意義
7 事件は現場で起こっている―CAPDのススメ
8 イノベーター理論の実験場―中国市場



著者経歴


中島 広数(なかじま ひろかず)・・・freebee株式会社創業者・代表取締役。元味の素株式会社メニュー調味料グループ長(「Cook Do」「Cook Do きょうの大皿」等の事業運営)、元味の素アセアン地域統括社マーケティングマネージャー。1998年3月 東京外国語大学中国語学科卒。2000年~2004年 味の素(中国)社広州支店駐在員、販売部長。2005年~2015年 味の素(株)にて海外・国内事業部門のマーケター、カテゴリーマネージャー歴任(「VONO」「Cook Do」「きょうの大皿」等)。2016年~2018年 味の素アセアン地域統括社マネージャー、 開発途上国(※)の新事業・新製品開発担当(カンボジア、フィリピン、インド、ミャンマー、タイ等)。2018年7月 freebee株式会社設立 代表取締役社長


この記事が参考になったと思った方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 
 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ


ブログランキングにほんブログ村



<< 前の記事 | 次の記事 >>

この記事が気に入ったらいいね!

この記事が気に入ったらシェアをお願いします

この著者の本


コメントする


同じカテゴリーの書籍: