「共感起業大全―長く愛される事業をつくる」中島 幸志
2024/09/18公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(87点)
要約と感想レビュー
起業とは物語に参加する人を集めること
500人以上の起業家を支援してきたという著者が大全というだけあって、思いつくまま何でも書いてあるという印象の一冊です。
起業には、まったく新しいビジネスを創造するものから、既存の業界に参入するもの、現在の仕事を変えていく第二創業など様々です。この本では、いずれの起業でも関わる人の共感がなければ、ビジネスがうまくいかないという切り口で整理されているのです。
例えば、新しいサービスを作ってもお客様が共感して有料でサービスを使ってくれなければ、ビジネスは成り立ちません。そもそもサービスを立ち上げるために、協力してくれる仲間も必要だし、お金が必要であれば、共感して出資してくれる人が必要になるのです。
起業とは、そのサービスや商品に共感して、そこにある物語に参加する人を集めることなのです。
あなたは、応援してほしい人、仲間になってほしい人、関わって欲しい人、すべての人に、あなたが想いを伝えていくアクションが必要なのです(p256)
仲間をつくるのは3カ月かかる
では、どうすれば共感してもらえるのでしょうか。それは自分の物語がそこにあるのか、ということです。著者の場合は、地球一周した時に、貧困、飢餓、ゴミ、汚染など社会の課題を見て、「どうしたら自分の人生で、社会課題を1つでも改善することができるのか」をライフワークとしてのテーマとしたというのです。
こうした著者の思いが、具体的な起業支援ビジネスとなり、それを応援する人が出てきて、またビジネスが大きくなっていって、共感する人が増え、ビジネスが持続可能に成長していくというのです。
また、共感とは感情です。著者は、敵をつくるのは1分でできますが、仲間をつくるのは3カ月かかるという。著者が著名な作家の方に、情報提供サービスの監修をお願いするときには、その作家の著作をすべて読み、その作家の書かれているアポイントの方法と同じ方法で、作家にお願いしたという。つまり、共感とは相手の心を動かすということで、簡単ではないのです。
私の経験上、敵をつくるのは1分でできますが、仲間をつくるのは3カ月かかります(p257)
起業コーチやメンターの支援を受けよう
まったく新しいビジネスについては、まず10人に話してみることを著者は推奨しています。また、起業コーチのサポートや、メンターもいたほうがいいのです。
そして起業家は、未知の体験をすることになりますので、頼れる先がたくさんつくることが重要だという。つまり、特定の人に依存するのは危ないのですが、たくさん依存できる先があれば、いざとなった時に誰かに頼れるというのです。
その他、起業のテクニック的なところは、普通の起業本とあまり変わりませんでしたが、それより、人の心を動かす共感が大事ということなのでしょう。圧倒的な分量で、熱量を感じました。中島さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・クラウドファンディングや、寄付付き商品なども恩送りの1つかもしれません(p339)
・クラウドファンディングを実施する時にも、応援する人から推薦コメントをもらったりします(p254)
・私はよく、定価を決める場面において、原価の10倍(原価率10%)から考えてみようと伝えています(p490)
【私の評価】★★★★☆(87点)
目次
第1章 起業家に必要な「共感」とは何か?
第2章 歴史的事業をつくる「共感」の見つけ方
第3章 「共感を生む」起業の準備
第4章 「共感」を軸に事業をデザインする
第5章 「共感」でビジネスを軌道に乗せる
第6章 起業家から経営者へのマインドをチェンジする
第7章 「共感」で事業を成長させる
第8章 「共感」でチームを強くする、仲間を広げる
第9章 起業家は「共感」の物語を伝える代弁者
著者経歴
中島幸志(なかしま こうじ)・・・ウェルビーイング起業家/アントレプレナーシップ研究家。「共感起業」を提唱。18歳で起業。その後、音楽配信ベンチャーを創業し、当時世界最大手のIT企業から出資を受け日本初となるサービスを実現。その後、ITバブルの煽りを受け会社を売却し、人生のどん底を20代で経験する。地球一周の旅に出る。社会課題とビジネスの両立をテーマにビジネスで再挑戦することを決意し帰国。現在は、サスティナブルストーリー株式会社の代表として、起業家の支援、企業内起業家育成/人材開発、キャリア支援、プログラムの共同開発、地域通貨の運用などビジネスの支援を行っている。また、共感アントレプレナーシップをテーマに、大学などの講師、ソーシャルベンチャーや社団/NPOなどの役員を兼任している。
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