「不安が消えてうまくいくはじめてリーダーになる女性のための教科書」深谷 百合子
2024/07/22公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(82点)
要約と感想レビュー
女性管理職として学んだこと
ソニーグループ、シャープで仕事をしてきた著者から、女性管理職として学んだことを教えてもらいましょう。若くしてリーダーとなったやる気にあふれた著者は、みんなを引っ張っていくリーダーになろうとしたという。具体的には、改善活動を活発化させようとしました。
結果として、当時を思い出すと、職場はそれほど活性化せず、退社していく人もいたという。部下からすれば、「新しい改善活動はいいが、負担が増えるのはイヤだ」というのが本音だったらしいのです。著者の熱意は、周囲に伝わっていなかったのです。
また、リーダーになったばっかりで、仕事を部下に任せることができない自分がいたという。例えば、省エネ表彰に向けた取り組みをしていましたが、リーダー自ら資料作成などしていたらしいのです。さらに自分の中には、周囲の人から嫌われるようなことをしないようにしようという思いもあったという。
自分の熱意だけがカラ回りしていたのです。「言いたいこと、やりたいことはわかるが、そのために新しい仕事が増えるのはイヤだ」これがメンバーの本音でした(p47)
職場として何が求められているのか
管理職として経験を積んで行く中で、いろいろ変える前に、現場の人たちの話を聞いてあげればよかったということに著者は気づくのです。管理職に求められるのは、自分がやりたいことではなく、職場として何が求められているのかということだったのです。仮に自分がやりたいことをやるにしても、職場の人が自ら協力したくなるような環境整備が必要だったのでしょう。
それから著者は職場のメンバーの立場になって考えること。職場のメンバーの不安を受け止め解消するように努力したという。その結果、著者は職場のメンバーから「みんなのやる気を引っ張り出してくれる存在」と言われるようにまでなったのです。
「自分がどんなリーダーになりたいか」ではなく、「チームのために、自分は何ができるのか」(p22)
部下の役割は判断材料を集めること
著者ははじめのうちは、リーダーは何でも知っていて、素早く判断できるべきだと思い込んでいて心理的負担が大きかったという。しかし、自分の上司から、「上司の役割は、部下に判断材料を求めることだよ」と教えられて心が楽になったという。
つまり、部下が集めた判断材料に基づき判断し、不安があれば、上の上司に相談すればいいのです。著者は何でも知っているリーダーを目指していましたが、何でも知っている人に相談できる人でも、十分仕事ができることに気づいたのです。
部下の仕事は上司にとっての判断材料を集めることだよ・・・あなたが判断できなければ、あなたにも上司がいるでしょう。その上司に材料を提供しなさい(p82)
得意なことで活躍すればいい
著者は、自分が「弱み」だと思っていることも、役割が変われば「強み」に変わることもあると言っています。つまり、アイデア豊富な人はアイデアを出し、人の話を聞くのが得意なら、ムードメーカーになればいいのです。小さな組織では何でも自分でやらないといけませんが、大きな組織ではそれぞれのメンバーの得意なところで活躍してもらえばいいのです。
そして大きな組織では、誰でも仕事ができるように一定のマニュアル化ができていますので、職場の中で理解と納得をもらいながら仕事を進めていくことが求められているわけです。大きな組織で働く人向けに、ぴったりの本だと思いました。深谷さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・自分の判断に自信がないと思ったら、素直に上司の力を借りることです(p83)
・「相手」の位置に移動し、相手の中に入り込むようなイメージ・・相手の感覚になりきって感じてみましょう(p66)
・社内で通達があったときなど・・問い合わせをすると、相手に名前を覚えてもらえる・・人脈ができていく(p87)
・気が進まないと思うことも「ひょっとしたらやりたいことになるかも」(p200)
【私の評価】★★★★☆(82点)
目次
序章 えっ、私がリーダーでいいんですか!?
第1章 いろんなタイプのリーダーがいてもいい
第2章 王道だけどメンバーをよく知ることから始めよう
第3章 チームのために自分ができることを決めて動こう
第4章 「任せられない」「巻き込めない」はこうやって解決
第5章 「信頼しています」と言われるコミュニケーション術
第6章 リーダーになったのだから、もう一歩踏み出してみよう
著者経歴
深谷百合子(ふかや ゆりこ)・・・合同会社グーウェン代表・「難しい」を「易しい」に変えるナビゲーター。大阪大学卒業後、ソニーグループ、シャープで技術者・管理職として工場の環境保全業務を行う。「バックヤードの案内人」として、工場の見学者に環境対策の説明や、テレビや新聞からの取材に対応する業務を任されるようになる。ヘッドハンティングにより中国国有企業に転職後は、100名を超える中国人部下を育成。2020年に独立。会社員時代、さまざまな立場の人に合わせて説明の方法を工夫してきた経験を生かし、「コミュニケーション」をテーマに活動を開始。
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