「その一錠があなたの寿命を縮める 薬の裏側」鈴木 素邦
2024/06/14公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(84点)
要約と感想レビュー
薬は毒でもある
薬剤師である著者が伝えたいことは、薬は毒でもあるということです。薬には必ずプラスの面とマイナスの面があるのです。例えば、抗アレルギー薬のジフェンヒドラミンは、花粉症の人から見ると薬ですが、眠気に襲われるという特性は運転ドライバーには毒になるわけです。
また、糖尿病薬は、症状を抑えることができますが、糖尿病そのものを治療できるわけではありません。糖尿病を治療するためには、生活習慣を改善するしかないのですが、糖尿病薬を使うと数値だけが良くなって、生活習慣を変えず、症状が悪化する人が多いのだというのです。
このように多くの薬は、一時的な症状を抑えるだけであり、長期服用すると副作用がでる可能性があることを知るべきなのでしょう。
薬は毒にもなりうる(p4)
薬や健康食品に頼らない
この本では、健康食品の危険性についても述べています。紅麹サプリ死亡事件を予言するかのように、栄養剤やサプリメントを安易に飲みはじめるのは、やめたほうがいいと断言しているのです。なぜならば、健康食品も、薬と同じように大量摂取すれば、副作用が出る危険性があるし、体質的に合わず、病気になる場合もあるのです。品質管理に問題のある製品もあるという。
例えば、肝臓に効くというウコンですが、ウコンの過剰摂取や長期摂取による健康被害が増加している事実があります。健康の基本は、薬や健康食品に頼るのではなく、規則正しい生活、食生活、運動で作り上げるものなのです。
健康食品のウコンは肝障害の原因の約25%を占める(p214)
免疫を高めることの重要性
その他、風邪ウイルスに抗生物質が効かないことや、解熱剤は体温を下げることでウイルスを殺そうという免疫の力を弱めることを紹介しています。
また、癌に効くという民間療法も、抗がん効果が科学的に証明されたものはほとんど存在しないことを指摘しています。本当に効果があれば、特効薬として世界中で使われているはずだからです。
薬によって病気で苦しむ人が減ったのは事実ですが、薬の使いすぎにも問題があるということを教えてくれる一冊です。薬剤師でありながら、薬に頼らない自己免疫を高めることの重要性を強調している素晴らしい内容でした。鈴木さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・便秘になったら・・食物繊維がしっかり摂取できれば、1日に1.5リットルから2リットル程度の水分を摂取することで、排便回数が増える(p58)
・医療機関には体調が悪い方も多いので、病原菌に感染しやすくなります(p33)
・病院都合で、満床であるからという場合、治療上隔離をする場合などは、差額ベッド代の支払い義務は同意書にサインしなければ、不要です・・希望していない場合は、同意書にサインしないでください(p250)
【私の評価】★★★★☆(84点)
目次
第1章 よく使われる薬の勘違い
第2章 副作用を減らす薬の飲み方
第3章 自己治癒力を上げる薬との付き合い方
第4章 気になる薬の裏事情
第5章 知らなければ損をする薬とお金の話
著者経歴
鈴木素邦(すずき そほう)・・・1980年生まれ、千葉県出身。薬剤師、経営学修士(MBA)。東京大学、慶應義塾大学など32大学の教壇に立ち、3万人以上の薬剤師を世に送り出す。また、武田薬品工業、ファイザー製薬など大手製薬企業20社以上から研修依頼なども受け、講義を行う。マネージャーとしてもチームで成果を出し、学長賞2回受賞。現在は、祖父が創業した不動産管理会社の3代目社長に就任。薬局経営コンサルティングを新規事業として立ち上げ、薬局経営を指導する。
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