「できる人だけが知っている 「ここだけの話」を聞く技術」井手隊長
2024/05/31公開 更新本のソムリエ [PR]
Tweet
【私の評価】★★★★☆(81点)
要約と感想レビュー
質問の切り口を準備しておく
ラーメンライターであり、「読者が選ぶビジネス書グランプリ」事務局長である著者が骨を砕いているのは、ラーメン店主やビジネス書の著者から「ここだけの話」を引き出すことです。基本的にラーメン店主の方は寡黙、ビジネス書の著者は多弁だという。それぞれの特色に合わせて、聞き手としての姿勢を変えているという。
つまり、寡黙なラーメン店主にはいくつか切り口を用意しておいて、店主のペースに合わせながら、店主のストーリーを引き出すのです。例えば、この場所でお店を続けることの大変さや、先代から引き継いだときの苦労や、原材料などの高騰への対応など、店主が反応しそうな切り口を準備しておくわけです。
一方、多弁なビジネス書の著者には、著者のストーリーに飲み込まれないように注意しながら、他のメディアに書いてある内容は除外して、この取材でしか聞けない内容にこだわるという。
聞き手は、自分をぐいぐい出していくのではなく、相手の明るさに合わせて自分の灯りの輝度を決めていく(p27)
事前準備はしっかり
取材でインタビューするときに、著者は相手について可能な限り情報を収集します。ホームページは書籍を読んで、経歴やプロフィールはもちろん、ラーメン店であれば、必ず一度は食べに行くという。
そうすると自然と、取材相手はこんな人なのではないか、といった仮説や質問の切り口が見えてきます。そこまでいくと、想像の中で取材相手をインタビューし、話の流れをシミュレーションできるというのです。
事前準備はしっかりし、・・その先に何を聞くのかいくつか質問を練っておきましょう(p70)
幼いころの話を聞く
インタビューでは限られた時間の中で、取材相手が今までに他のメディアで話していないような内容を引き出す工夫が必要です。事前に質問を準備しておくことが基本ですが、「幼いころの話を聞く」とか「その人の歴史と時代を時系列で重ね合わせる」など具体的テクニックが参考になりました。
著者のインタビュー記事は、2000~3000字ぐらいです。この長さの記事を書くためには、メモがノート5~6ページにびっしりくらいの情報量が必要だという。相手の気付かない魅力を引き出すというのは難しいことなんだろうなと思いました。井手さん、良い本をありがとうございました。
無料メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」(独自配信) 3万人が読んでいる定番書評メルマガ(独自配信)です。「空メール購読」ボタンから空メールを送信してください。「空メール」がうまくいかない人は、「こちら」から登録してください。 |
この本で私が共感した名言
・人が自分では気づかない魅力を引き出してあげることこそが、聞き手としての醍醐味(p73)
・「宣伝してあげるんだから感謝しろ」という考え方は、とんでもない思い上がりです。いまだにテレビ番組のスタッフで、こういう考え方の人がいます(p118)
・毎月「ラーメンライター井出隊長の美味しかったラーメン月間ベスト5」というコンテンツを作っています(p42)
【私の評価】★★★★☆(81点)
目次
第1章 しゃべらない人の「壁」を攻略する方法
第2章 自分語りする人の「鎧」を外す秘訣とは?
第3章 苦手な人からも「心の声」を聞くためのコツ
第4章 これからは聞く技術より「聞き倒す技術」を磨け
第5章 「また話を聞いてほしい」となる人を目指そう
著者経歴
井手隊長(いで たいちょう)・・・全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。「Yahoo!ニュース」「東洋経済オンライン」「AERA dot.」「マイナビニュース」など年間100本以上の連載記事を執筆するほか、テレビ・ラジオ番組出演、商品監修など多方面で活躍中。近年はラーメンの「1000円の壁」問題や「町中華の衰退事情」など、ラーメン業界をめぐる現状を精力的に取材。番組への出演は「羽鳥慎一モーニングショー」「ABEMA的ニュースショー」「熱狂マニアさん!」「5時に夢中!」など多数。その他、ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。本の要約サービス「フライヤー」執行役員、「読者が選ぶビジネス書グランプリ」事務局長も務める。
この記事が参考になったと思った方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓
この記事が気に入ったらいいね!
コメントする