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「サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット」モーガン・ハウセル

2024/05/22公開 更新
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「サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット」モーガン・ハウセル


【私の評価】★★★★☆(86点)


要約と感想レビュー

お金のメリットは選択肢と柔軟性

アメリカでのお金についてのベストセラーということで手にした一冊です。内容としては、貯蓄の大切さ、長期投資、インデックス投資信託をお勧めする常識的な内容となっています。まず最初に、足るを知るということを著者は強調しています。お金持ちは上を見れば際限がありません。よりお金もちになろうとリスクを取れば、失敗する確率も上がってしまうのです。


その上で、お金持ちになるメリットは、選択肢と柔軟性が手に入ることだと定義しています。お金があれば、待つべきときはじっと待てるし、チャンスがきたら飛びつくこともできるのです。そして幸せについては、高い給料よりも高級な自宅よりも高級車よりも「好きなときに、好きな人と、好きなことができる」生活を送るほうが人を幸せにするとしています。


したがって、私たちがまず選択すべきことは、収入よりも少ないお金で生活し、貯蓄することです。投資でお金を増やすためには、膨大な調査と勉強と努力が必要となりますが、倹約するのは簡単だし、唯一自分でコントロールできることなのです。


お金は、自分の時間をコントロールできるようにしてくれる(p127)

インデック型投資信託で長期投資

では、貯蓄したお金のうち余裕資金はどのように投資したらよいのでしょうか。まず、投資信託については、手数料の安いインデック型投資信託に定額で投資することが、長期的に成功する確率が高いとしています。


なぜなら、米国の実績では手数料の高いアクティブ型の投資信託の85%が、インデックス型の投資信託を運用利回りで下回っているからです。また、アメリカの投資信託のファンドマネジャーの半数が、自社のファンドに自己資金を投資していないというのですから、手数料が高いアクティブ型が高い運用利回りを生むわけではないのです。


そしてインデックス型投資信託を選んだとしても、市場の価格変動によって大きく値上がり、値下がりします。インデックス型投資信託で確実に儲けるためには、10年、20年、30年と継続的に投資し続けることが前提なのです。


多くの美術品を長期間保有すると、その一部が優れた投資対象であることが判明する。・・優れた美術品商は、インデックスファンドのような仕組みでビジネスをしている(p107)

余裕を持って長期投資

ところが普通の人は投資信託の価値が3割、4割、または半分に減ってしまうと、それは額面だけなのですが、疲れ切って投資を止めてしまう人が多いのだという。計算上は投資を継続すれば儲かるはずなのですが、精神的には耐えられないのです。


こうした金融危機や市場の変動を気にせず投資を続ける秘訣を著者は2つ紹介しています。一つ目は、3分の1の余裕を持つことです。著者は利回りの予測を、過去の平均値よりも3分の1ほど低く見積もっているという。その分、将来に備えて多めに貯金しているので、仮に一時的に市場が3割暴落してもまったく問題ないのです。


二つ目は、市場の価格変動を「将来的に利益を得るために支払わなければならない手数料」と考えることです。仮にアクティブ型の投資信託の手数料が1%で30年投資するとすれば、それだけで元金の30%は手数料で取られるのですから、30%の暴落など想定内ということです。


いずれにしろ、投資には価格変動はつきものですので、市場の暴騰、暴落にかかわらず、20年、30年、40年と投資し続けられるのかが勝負なのです。


市場の変動制を・・「将来的に利益を得るために支払わなければならない手数料」と考える(p237)

確率は小さくても破滅するリスクは取らない

著者はフォーブスの「米国の大富豪400人」のリストが10年で約2割も入れ替わっていることを紹介して、お金を持ち続けることの難しさを指摘しています。投資にはリスクがあり、うまくいけばお金が増えますが、失敗すればお金は減るのです。小さい確率であっても、お金に困るようなリスクは取るべきではないのです。


そうした視点で、株式のインデックス投資信託は手数料も安く、企業を所有しているのと同じことですから、短期的に株価が下落しても、企業の収益が維持できれば、長期的には必ずプラスとなることが想定できるわけです。


10年、20年といった長期投資を前提とした株式インデックス投資をお勧めする一冊でした。そのためにも、何事にもブレないだけの余裕を持った投資を行っていきたいものです。ハウセルさん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・裁判官に「そこらの泥棒と変わらない」と言われたことがあるほど頻繁に法の網をくぐり抜けていたロックフェラーは、歴史的にも「ずる賢いやり手の実業家」・・彼は強引に法を破り、成功を収めた(p52)


・ラスベガスで勝つためのたった一つの方法は、カジノに入ったらすぐに出口に向かうこと(p69)


▼引用は、この本からです
「サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット」モーガン・ハウセル
モーガン・ハウセル、ダイヤモンド社


【私の評価】★★★★☆(86点)


目次

第1章 おかしな人は誰もいない
第2章 運とリスク
第3章 決して満足できない人たち
第4章 複利の魔法
第5章 裕福になること、裕福であり続けること
第6章 テールイベントの絶大な力
第7章 自由
第8章 高級車に乗る人のパラドックス
第9章 本当の富は見えない
第10章 貯金の価値
第11章 合理的〉数理的
第12章 サプライズ!
第13章 誤りの余地
第14章 あなたは変わる
第15章 この世に無料のものはない
第16章 市場のゲーム
第17章 悲観主義の誘惑
第18章 何でも信じてしまうとき
第19章 お金の真理
第20章 告白



著者経歴

モーガン・ハウセル(Morgan Housel)・・・ベンチャーキャピタル「コラボレーティブ・ファンド社」のパートナー。投資アドバイスメディア「モトリーフール」、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の元コラムニスト。米国ビジネス編集者・ライター協会Best in Business賞を2度受賞、ニューヨーク・タイムズ紙Sidney賞受賞。妻、2人の子どもとシアトルに在住。


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