人生を変えるほど感動する本を紹介するサイトです
本ナビ > 書評一覧 >

「マッピング思考―人には見えていないことが見えてくる「メタ論理トレーニング」ジュリア・ガレフ

2024/03/26公開 更新
本のソムリエ
本のソムリエ メルマガ登録[PR]

「マッピング思考―人には見えていないことが見えてくる「メタ論理トレーニング」ジュリア・ガレフ


【私の評価】★★★★☆(84点)


要約と感想レビュー

地図を正確に作成していく

マッピング思考とは、地図を作るように物事や現実を歪みやバイアスなしで認識していこうという取り組みです。逆に言えば,人は物事や現実を素直に認知することができない場合があるのです。


例えば,今,やらなければならないことをつい先延ばしにしてしまうことがあります。これは,目先の重要でないことに気を取られ、将来の重要なことを重要視しなくなっている状況です。心理学では「現在バイアス」と呼ばれるものです。


また,人の思考は無意識に「主観と客観」を混同してしまうことがあります。「こうあってほしい」のは主観であり,「証拠からはこうなる」のが客観なのです。無実の人が罪に問われるのは,この容疑者が犯人ではないかと疑う主観が,証拠が示す事実という客観を圧倒してしまっている状況なのです。
 

マッピング思考・・偵察者は・・存在しない橋を地図に描いてごまかそうとはしない・・自分自身と世界を認識する「地図」を、できるだけ正確に作成していく(p37)

思考実験でバイアスを排除する

正しい判断をするために,バイアスや認知の歪みを減らす手法として,いくつかの思考実験が紹介されています。例えば,自分の今の感情に対し,もし自分が相手の立場だったらと考えてみると見える景色が変わってくることがあります。この本ではダブルスタンダードテストと言っています。


また私が面白いと思ったのは,選択的懐疑主義テストです。この本の例では,会社の決定を外部から批判されたとき,「何も知らないくせに!」と思ったときに,会社の決定を外部から褒められたらどう思うかと問うているのです。「何も知らないくせに褒めるな!」と感じるないとすれば,何かバイアスがかかっていることがわかるのです。


私たちは地球温暖化対策としてCO2排出量を規制しようとしていますが,仮に将来地球が寒冷化したら私たちはCO2排出量を増やす努力をするだろうかと考えるのが,選択的懐疑主義テストなのです。


思考実験・・自分の考えを支持する研究結果・・自分とは逆の考えを支持していたら、それをどれくらい信用できると思うか?(p136)

自信があるときほど危ない

人は感情で判断すると言われています。また,無意識に「何を優先させるか」選択しているというのです。例えば,「率直な意見を出してくれ」と上司が言ったので,率直な意見を言ったら怒り出した上司がいないでしょうか。


人は批判されると自分を守るために攻撃的になってしまうのです。人は自分の欠点やミスを認めるのが下手な動物といえるのでしょう。


著者は自信があるときほど危ないと指摘しています。つまり,間違ったり,誤認しやすいのが人間であり,自信がある時点で間違っているということなのです。ガレフさん、良い本をありがとうございました。


無料メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」(独自配信)
3万人が読んでいる定番書評メルマガ(独自配信)です。「空メール購読」ボタンから空メールを送信してください。「空メール」がうまくいかない人は、「こちら」から登録してください。

この本で私が共感した名言

・思慮深い改革者は、「これらの存在意義がわからないかぎり、廃止するわけにはいかない。じっくりとその意味を考え、それを明確にして、それでも廃止すべきだと思えるのなら、そうすればいい」と考える(p47)


・常識に従うのは世の中を渡っていくうえで賢明な判断になることが少なくない(p61)


・マスクのテスラとスペースXへの賭け・・失敗する確率=9割・・投資した資金は失うが、マスク個人は破産しない。この会社を興すことで、重要な社会問題の解決をわずかであれ前進させられる(p219)


▼引用は、この本からです
「マッピング思考―人には見えていないことが見えてくる「メタ論理トレーニング」ジュリア・ガレフ
ジュリア・ガレフ、東洋経済新報社


【私の評価】★★★★☆(84点)


目次

1 なぜ「マッピング思考」が重要なのか
2 「思考の地図」を検証し、行動する
3 「ピンチ」で問われる資質
4 「頭のなか」をアップデートする
5 「私の意見」を軽くしておく



著者経歴

ジュリア・ガレフ(Julia Galef)・・・ポッドキャスター。作家、ポッドキャスター。「応用合理性研究センター」共同設立者。10年にわたってポッドキャストの番組「Rationally Speaking(合理的な話し方)」のホストを務め、高名な科学者、ジャーナリスト、さまざまなジャンルの識者・思想家へのインタビューを行なってきた。本書はその集大成として、人間の心が持つ合理性と非合理性、客観的思考を俯瞰した作品。


この記事が参考になったと思った方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 
 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ


ブログランキングにほんブログ村



<< 前の記事 | 次の記事 >>

この記事が気に入ったらいいね!

この記事が気に入ったらシェアをお願いします

この著者の本


コメントする


同じカテゴリーの書籍: