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「ザ・パターン・シーカー:自閉症がいかに人類の発明を促したか」サイモン・バロン=コーエン

2023/08/06公開 更新
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「ザ・パターン・シーカー:自閉症がいかに人類の発明を促したか」サイモン・バロン=コーエン


【私の評価】★★★☆☆(70点)


要約と感想レビュー

発明王エジソンは、4歳になるまで話をせず、話すようになっても「なぜ?」を繰り返し、大人たちを辟易とさせたという。エジソンのような人たちは自閉症と分類されてしまいますが、実は大きな探求心を持っているのです。


同じように6歳のときから校庭で葉っぱの種類を分類し始めたジョナが紹介されています。ジョナの植物に関する知識は百科事典並であり、世界中のすべての木の種類6万種以上の全種の情報収集に夢中になっていたという。


こうした自閉症の若い男性たちを、著者はハイパー・システム化マインドを持った「天才」と定義しています。そして、ハイパー・システマイザーの例として、芸術の分野ではアンディ・ウォーホル、哲学の分野ではルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン、文学の分野では、ハンス・クリスチャン・アンデルセン、物理学の分野では、アルバート・アインシュタインをあげています。


こうしたハイパー・システム化マインドを持った「自閉症」は、「if-and-thenパターンを探す」という目的をもった課題を与えられると、能力を発揮できるという。if-and-thenパターンとは「もし、私が小麦の種を蒔き(if)、鍬を使ってより地中深く植え(and)・・ならば、より質の高い作物を得るだろう(then)」というもので、人類が発展するために必要不可欠なパターンなのです。


著者の提案は、自閉症と診断されやすいハイパー・システム化マインドを持った「天才」をフォローする仕組みを作ることです。ハイパー・システム化マインドを持った「天才」は、普通の人とのコミュニケーションに問題を抱えています。普通の人には、「なぜ」「なぜ」「なぜ」を何百回も問われることに耐えられないのです。


コーエンさん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・3500万年前には、メソポタミアのシュメール人が空を観察していたことが記録されている。彼らはたくさんの星に名前を付けていたのだ(p43)


・ヒューレット・パッカード・エンタープライズの神経多様性チームの生産性は、ソフトウェア・デバッグ部門で定型発達型チームより30%も高い(p228)


▼引用は、この本からです
「ザ・パターン・シーカー:自閉症がいかに人類の発明を促したか」サイモン・バロン=コーエン


【私の評価】★★★☆☆(70点)


目次

第1章 生まれながらのパターン・シーカー―アル(エジソン)の幼少時代
第2章 システム化メカニズム
第3章 5つの脳のタイプ
第4章 発明家のマインド
第5章 ヒトの脳に起きた革命
第6章 システム・ブラインドネス―なぜサルはスケートボードをしないのか?
第7章 巨人の戦い―言語vs.システム化メカニズム
第8章 シリコンバレーの遺伝子を探る
第9章 未来の発明家を育てる
付録1 SQとEQでわかるあなたの脳タイプ
付録2 AQでわかる自閉特徴の値



著者経歴

サイモン・バロン=コーエン(Simon Baron-Cohen)・・・1958年生まれ。ケンブリッジ大学心理学・精神科教授。ケンブリッジ自閉症研究センター長兼務。600本を超える科学論文を発表した自閉症研究の第一人者。三つの有力な学説、「マインドブラインドネス理論」「出生前性ステロイドホルモン理論」「共感―体系化理論」を提唱。1999年、英国初のアスペルガー外来を開設、1000人以上の患者の診療に携わってきた。2017年、国連で基調講演者として自閉症啓発を行った。


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