人生を変えるほど感動する本を紹介するサイトです
本ナビ > 書評一覧 >

「チャップリン自伝: 若き日々」チャールズ・チャップリン

2023/06/23公開 更新
本のソムリエ
本のソムリエ メルマガ登録[PR]

「チャップリン自伝: 若き日々」チャールズ・チャップリン


【私の評価】★★★★☆(82点)


要約と感想レビュー

貧乏暮らし

本書はチャップリンが子どもの頃からアメリカで成功するまでの日々を、チャップリン自ら語ったものです。チャップリンの両親はイギリス・ロンドンの劇場で芝居やショーに出演する男優、女優でした。ところが、父親は稼ぎのほとんどを劇場のバーで飲んでしまうのです。酒の飲み過ぎが原因で二人は離婚してしまいます。


母子家庭となったチャップリンと兄と母親は、3人暮らしとなりますが、母の声の調子が悪くなり女優としての仕事ができなくなります。内職仕事をしたり、質屋に家財を売ってしのぎますが、毎日の食事にも困窮する毎日が続きます。

 
結局、チャップリンは貧民児学校に通うことになるのですが、母親は栄養失調が原因なのか、精神がおかしくなってしまうのです。母親が精神病院に入ってしまう状況で、チャップリン兄弟は父親と一緒に暮らすことになるのです。ところが父親には、内縁の妻と子どもがおり、そこにチャップリン兄弟が一緒に住むのですから、うまくいくはずがありません。父も内縁の妻も酒を飲み、暴力沙汰になったこともあったようです。


・ハンウェルの孤児・貧民児学校・・母は大笑いしながら、私を抱きしめ、キスをしてくれた(p45)


人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見ると喜劇である

チャップリンは、「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見ると喜劇である」と言っていますが、この感覚は少年期の貧乏生活があったことがわかります。あるとき、家の近くの屠殺場に連れられていく羊の一匹が、逃げ出し、家の周りを駆け回って近所の人たちを笑わせた事件を紹介しています。そのときチャップリンは、屠殺場で殺される羊の運命に気づいて、「あの羊、みんな殺されるよ!」と泣きながら母に訴えたという。悲劇の中にある羊でも、外から見ると、人を笑わせることができるのです。


また、父が若くして飲酒が原因で亡くなると、チャップリンは水仙の花を仕入れて、腕に喪章をつけて酒場に行っていたという。父が亡くなったといえば、酒場の人たちが花を買ってくれるからです。子どもの頃から酸いも甘いも体験し、貧乏の中で多くの仕事を手伝い、両親の芸を見ながら、金の稼ぎ方を考えてきたのがチャップリンであったのです。


・酒場に顔を出す・・「水仙はいかが、奥さん!」とそっと小声で売りつけるのである・・「だれが亡くなったの、坊や?」とたずねてくれる。わたしはすかさず声を殺して、「お父さんなんです」と答える。まずチップにありつけることはまちがいない(p93)


チャップリン成功の理由

チャップリンは芸人として働き始めると、イギリスからアメリカに活動の場を移します。当時のアメリカは物価も安く、多くの仕事のチャンスがあったのです。そうしたアメリカで喜劇映画を作る中で、だぶだぶのズボン、大きな靴、それにステッキと小さな山高帽というチャップリンの扮装ができあがったのです。


私にはチャップリンの成功には、はっきり書いてありませんが、芸に対する徹底した事前の準備があったように感じました。例えば、16歳の頃からヴァイオリンを、毎日4~6時間練習していたこと。喜劇の撮影前には何度もリハーサルを行っていたことなど、当たり前に書いているのです。普通の人は「努力」といわれることを当たり前のこととしてやっているのがチャップリンなのです。もう少しチャップリンを調査してみます。チャップリンさん、良い本をありがとうございました。


無料メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」(独自配信)
3万人が読んでいる定番書評メルマガ(独自配信)です。「空メール購読」ボタンから空メールを送信してください。「空メール」がうまくいかない人は、「こちら」から登録してください。

この本で私が共感した名言

・日曜日の晩、自宅で夕食のテーブルにつけないというのは、乞食も同じ最低の階級で、わたしたちがまさにそれであった(p76)


・気の利いた先生でもいて・・数学の手品で楽しませるとか・・歴史の見方を教えるとか、さては詩の音楽性に目を開かせるとか、・・あるいはわたしは学者になっていたかもしれない(p60)


・世の中には貪欲に知識を求める人間がいる。わたしもその一人だった・・ただ無知な人間に対する世間の侮蔑から見を護るために・・暇さえあれば古本屋漁りをしてまわった(p230)


・その後わたしは、契約ごとに必ず、完成作品のカット、水増し、改変は、いっさいこれを許さないという一項目を、加えさせるようになった(p306)


▼引用は、この本からです
「チャップリン自伝: 若き日々」チャールズ・チャップリン
チャールズ・チャップリン、新潮社



【私の評価】★★★★☆(82点)


著者経歴

チャールズ・チャップリン (Charles Chaplin)・・・1889‐1977。ロンドン生れ。両親とも芸人。母のヴォードヴィルのカーノー一座と共に渡米。1913年キーストン喜劇映画会社に入り、浮浪者スタイルや、笑いと涙、風刺と哀愁に満ちた作品で卓越した評価を受ける。'52年赤狩りで米国を追われ晩年はスイスに居住。'75年3月には英国王室から大英帝国勲章第二位(ナイト・コマンダー)を授与される


この記事が参考になったと思った方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 
 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ


ブログランキングにほんブログ村



<< 前の記事 | 次の記事 >>

この記事が気に入ったらいいね!

この記事が気に入ったらシェアをお願いします

この著者の本


コメントする


同じカテゴリーの書籍: