「知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質」荒川和久
2023/05/31公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(78点)
要約と感想レビュー
ソロ世帯とは
著者は一人暮らしの単身世帯を、ソロ世帯と定義しています。日本人の生涯未婚率は男3割、女2割で、3組の1組は離婚しているのです。その結果、2040年には15歳以上人口における独身者の比率は47%になるという。最近、スーパーでは一人用の食材が売られたり、一人焼肉のお店や、ファミレスに1人用ボックス席があったりするのは、ソロ世帯が増えてきたことが影響しているのでしょう。
実はソロ世帯が多い社会は、江戸時代の江戸と似ているという。江戸では諸藩からの単身赴任や、周囲の農村の次男、三男の独身男が集まっていたのです。男女比率も男が女の2倍もいたというのです。江戸の独身男性は、屋台で寿司を食べ、総菜屋で食い、居酒屋で酒を飲んで、貧乏長屋で一人寝ていたのです。現代社会でもソロ世帯は、コンビニで総菜を買い、冷凍食品をレンジでチンして、時々外食し、一人で晩酌したりしているのです。エンゲル係数も高くなるわけです。
・コンビニの店頭などでは確実に独身男性の比率が高まっている(p62)
ソロ世帯の特徴
マーケティングの市場として考えると、それまでの主流であったファミリー層が減ってきて、一人暮らしの単身世帯が増えてきた。家族のためにがんばることで満たされていた人たちが減り、自分のために消費をする人たちが増えてきているのです。
そして単身男性に限れば、「欠落感」があるという。つまり、恋愛できてない自分、金を稼げていない自分、家族や友達がいないという不安がある人が多いというのです。ソロ世帯は、「モノもコトも満たされたのに何か足りない」と感じるというのです。
そうした「欠落感」を補うためか、ソロ世帯は、「自分の趣味」「自分のための教養・勉強」「スポーツや筋トレ」「ネットワークや人脈作り」などにお金をかけるという。最近は、夫婦や友だちとの旅よりも国内一人旅をする人が増えているというのです。
・年間のソロ旅(国内旅行)の延べ人数は1億1370万人・・夫婦・パートナーでの9900万人、友達同士の7050万人より圧倒的に多い(p107)
一人旅
そういえば、ゴールデンウィークに田舎の民宿に家族で泊まったら、女性の一人旅の宿泊者が2人もいてびっくりしました。40代か50代くらいのおばさん一人旅なのです。男女平等となって、女性が働いて経済的に自律すると、女性のソロ世帯も増えていくのでしょう。それで私たちは幸せになれるのかどうか、不安になりました。
マーケッティング的に世代やターゲットを考えるより、一人ひとりが自分の幸せというものを考えて、行動することが大事なのではないかと感じました。この本の最後は、私の思いと同じ言葉で締めくくられています。「結婚したら幸せになるのではない。幸せな人間が結婚をしていくのだ。」荒川さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・明治以降昭和にかけて極端に離婚が少なかったのは・・家父長制が導入され、妻の財産権がはく奪されたことによる。離婚をすれば妻は生きていけない(p27)
・第三次ベビーブーム・・起きなかった。バブル崩壊、就職氷河期など若者をとりまく経済環境は最悪で、とても結婚どころではなかった(p31)
・2022年の年間死亡者数は150万人・・戦争中と同等の人数が死ぬ国になった・・それが約50年間継続する・・2100年の人口約6000万人(p33)
・現代では、もはや「結婚は贅沢な消費」・・男性にしてみれば、婚活アプリや結婚相談所で一番に確認されるのは自分の年収である(p170)
【私の評価】★★★☆☆(78点)
目次
第1章 社会構造が変わる
第2章 消費構造が変わる
第3章 市場が変わる
第4章 感情をとらえる
第5章 環境のお膳立て
著者経歴
荒川和久(あらかわ かずひさ)・・・独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター。広告会社において、数多くの企業のマーケティング戦略立案やクリエイティブ実務を担当した後、「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。韓国、台湾などでも翻訳本が出版されるなど、海外からも注目を集めている。
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