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「「静かな人」の戦略書─騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法」ジル・チャン

2023/04/11公開 更新
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「「静かな人」の戦略書─騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法」ジル・チャン


【私の評価】★★★☆☆(77点)


要約と感想レビュー

「静かな人」の特徴

台湾出身のおとなしくて恥ずかしがり屋のハーバード大学卒の著者は、アメリカの組織で仕事をしてきました。アメリカは外向型の人ばかりなので、仕事中の人とのやりとりだけで、著者は疲れ切ってしまっていたという。できるだけ人と話さずに仕事を終わらせようとして、電子メールだけでやりとりしていたために、クライアントのちょっとした誤解からクライアントが激怒したこともあったという。直接会って話したり、電話で話してみれば、誤解も減るはずなのに、それができないのです。


どれくらい著者が内向的かといえば、はじめての職場でわからないことを聞きたいのに、気を遣いすぎて、聞くことができない。また、エレベーターに乗ると、誰かが乗ってこないようすぐに「閉じる」ボタンを押してしまうというのです。職場で問題が起きて、相手が目の前で怒鳴っていると、パニックになって頭が真っ白になって固まってしまうこともあるという。そうしたときには、落ち着いて事実に基づいて「もめごと」をさばいてくのが、内向的な人の特徴なのです。


・このコピー機、どうやって使うんだろう?・・内向型にとって、訊きたいことは山ほどあるが・・・周りの人にたずねるなんて、とてもじゃないが無理だ(p104)


「静かな人」の仕事術

内向的な著者が、職場で安定した仕事をしていくために重視しているのは、「仲間を見つける」「成果を出し仕事の能力を示す」ことです。「仲間を見つける」ことができれば、わからないことを聞くことに抵抗がなくなり、仕事を進めることが簡単になります。


「成果を出し仕事の能力を示す」ためは、内向型の特徴を活かします。「優柔不断」は思慮深いのであり、「口べた」は聞く力があるのであり、「心配性」は仕事の質を高めるのです。スピーチがあれば、事前に情報を集め何度も練習をするのです。著者は英語が不得意な頃には、「調子はどう?」というあいさつに対して、3通り以上の返事ができるように繰り返し練習したという。内向型は行動する前に準備を怠らないのです。


・自分を知り、自分の特徴を生かす・・私が彼女たちに望むのは、本当の自分を見失わずに、自分らしくあることだ(p37)


外交型のアメリカと内向型の日本

面白いと思ったのは、こうした内向型の人はアメリカでは評価されないということを前提に、この本が書かれているということです。日本の役所や大企業では、どちらかといえば慎重な内向型のほうが、失敗の多い外交型より評価される傾向にあるのではないか、と私は思うのです。


外交型の人が主流のアメリカでは内向型の人の仕事術という意外性で売れたと思いますが、日本では失敗しないように事前に準備して、何度も練習するのは当たり前のこととして読まれるのではないでしょうか。チャンさん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・微妙な気配に敏感でない人は、内向型の怒りには気づかないかもしれない(p151)


・自分自身で評価できる無理のない目標を設定・・イベントでの私の目標は、誰かひとりに話しかけること(p220)


・私の経験から言っても、政治家はどんな場所で名刺交換をした相手にも、必ず手紙やメールを送ってくる(p232)


▼引用は、この本からです
「「静かな人」の戦略書─騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法」ジル・チャン
ジル・チャン、ダイヤモンド社


【私の評価】★★★☆☆(77点)


目次

PART 1:静かな人の「仕事」の戦略
PART 2:静かな人の「人間関係」術
PART 3 冷静な力を「人前」で生かす
PART 4:静かな人の「潜在能力」



著者経歴

ジル・チャン(Jill Chang)・・・ミネソタ大学大学院修士課程修了、ハーバード大学、清華大学でリーダーシップ・プログラム修了。ハーバード・シード・フォー・ソーシャル・イノベーション、フェロー。アメリカの非営利団体でフィランソロピー・アドバイザーを務める。過去2年間で行ったスピーチは200回以上に及ぶ。15年以上にわたり、アメリカ州政府やメジャーリーグなどで活躍してきた。2018年、ガールズ・イン・テック台湾40アンダー40受賞。現在は母国の台湾・台北市に拠点を置きながら、内向型のキャリア支援やリーダーシップ開発のため活動している。


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