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「ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う」坂本 貴志

2022/09/07公開 更新
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「ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う」坂本 貴志


【私の評価】★★★☆☆(74点)


要約と感想レビュー

 統計データからの分析と定年した7人へのヒアリングから、定年後の生活をイメージさせてくれる一冊です。


 統計から見えてくるのは、50代前半で給与収入がピークとなり、定年後は収入が大きく減少することです。同じように支出は子供の教育費がピークとなる50代前半で大きくなり、定年後は大きく減るのです。つまり、日本的な終身雇用、年功序列の効果と思われますが、給与所得者の支出に合わせて収入が増えて収支バランスが取れているということなのです。


 ただし、退職金はどんどん減ってきているということですから、日本経済の減速が影響しているのでしょう。また、早期退職を実施する会社も増えており、日本的な終身雇用はゆっくりと変わってきているようです。


・厚生労働省「就労条件総合調査」・・2003年に2499万円あった退職給付金額は、2018年には1788万円と、近年急速に減少している(p38)


 興味深かったのは、定年した後のほうが、現在の仕事に満足している人が多いということです。定年によって出世競争の環境から開放され、給料が下がって管理の仕事がなくなることで、仕事に満足している人が増えているのです。これは単に仕事が楽になったからなのか、それとも出世競争の幻想から開放され純粋に仕事に取り組み、仕事の楽しさを発見したからなのか。


 統計とは平均的なもので、人それぞれ理由は違うと思いますが、会社組織の縛りから開放され、気楽に仕事ができることが大きいのではないでしょうか。


・リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査」・・・定年後のほうが現在の仕事に満足している人が多いことがわかる(p134)


 また、70歳男性の就業率が45%もあり、日本では労働力が不足しており、女性も高齢者も働くことが当たり前になっているのは事実のようです。60歳以上の人が稼ぐお金の比率は17%ということですので、定年後の人が日本経済を支えるというのがタイトルの「小さな仕事が日本社会を救う」ということのようです。私たちは定年後も、楽しく稼ぎ続けることになるのでしょう。


 当たり前のことですが、人それぞれ、感じていることはちがうわけで、統計データや7名のヒアリングから得られる知見は限定的であることがわかりました。坂本さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・2021年に早期退職勧奨の実施が報道された企業をみると、ホンダ、パナソニック、フジテレビ、JT、博報堂など(p40)


・総務省「国勢調査」・・・70歳男性就業率45.7%。働くことは「当たり前」(p52)


・60歳以上の就業者が創出する付加価値の経済全体に占める割合は17.2%となる(p144)


・定年後は仕事から、家庭・家族・趣味・スポーツ、地域・社会活動などほかの活動に関心が移っていく(p121)


・現代においては、女性も高齢者も働くことが当たり前になってきているにもかかわらず・・・労働力はまだまだ足りていない(p234)


▼引用は、この本からです
「ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う」坂本 貴志
坂本 貴志、講談社


【私の評価】★★★☆☆(74点)


目次

第1部 定年後の仕事「15の事実」
第2部 「小さな仕事」に確かな意義を感じるまで
第3部 「小さな仕事」の積み上げ経済



著者紹介

 坂本 貴志(さかもと たかし)・・・1985年生まれ。リクルートワークス研究所研究員・アナリスト。一橋大学国際公共政策大学院公共経済専攻修了。厚生労働省にて社会保障制度の企画立案業務などに従事した後、内閣府で官庁エコノミストとして「経済財政白書」の執筆などを担当。その後三菱総合研究所エコノミストを経て、現職。


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