【書評】「佐久間宣行のずるい仕事術 僕はこうして会社で消耗せずにやりたいことをやってきた」佐久間 宣行
2022/09/08公開 更新

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【私の評価】★★★★☆(86点)
要約と感想レビュー
テレビ東京で番組プロデューサーとして「ゴッドタン」「あちこちオードリー」などのバラエティ番組を作ってきた著者が教える、いやなことから逃げながら、やりたい仕事をやる方法です。
著者が新入社員時代の職場は、ハラスメントの空気が充満し、過労死に近い勤務状況だったという。自己主張の強い著者は、先輩の頭ごなしの指示に納得せず、先輩の言い方に反発していたのです。実際、メンタルを崩して職場に復帰できない仲間もいたし、著者もしばらく引きこもり生活を送っていたことがあるという。
そうした経験から、著者の基本的なスタンスは、いい仕事はすべて、心の健康の上に成り立っているということです。だから嫌なことからは「逃げるが勝ち」。実際、愚痴ばかりの職場の飲み会には行かないことにしているという。
・とにかく楽しそうに働く。その姿を、まわりや上司にアピールする(p16)
では、嫌いなことからは逃げるとして、どうやってやりたい仕事をやって行くのでしょうか。著者のやりたいことは「面白い番組を、楽しい雰囲気でつくること」です。なぜなら、著者の得意なのが、面白い企画を作ることだからです。
そのために著者が注意しているのは、事前準備です。良い企画を会議で提案するのは当たり前で、さらに想定QAを準備したり、手持ちの予備のアイデアを準備しておくのです。上司から「やるな」「おもしろいやつだ」そんなふうに一目置かれることでやりたい仕事ができるようになるのです。仮に仕事が面白くないとしても、自分で仕事をつくることで、必要なスキルを身につけつつ、上司にPRするのが佐久間流なのです。
・仕事はあえて、社内「初」を狙う(p45)
興味深いのは、面白い企画が得意という著者だけあって、新規プロジェクトを通すのに苦労してきたということでしょう。
例えば、「誰でもつくれる番組より、僕にしかできない番組をつくったほうが会社の利益になりませんか?」と発言して、既存番組の製作者の反感を買ってしまう。職場では、突然キレて精神的に圧迫を加える先輩に苦労することもあるし、自己中のクライアントに翻弄されることもあるのです。
著者は、そういう場面に遭遇したら、これはコントである、笑いのネタになると考えるようにしたら、冷静に対処できるようになったという。大人になったんですね。
・新規プロジェクトが歓迎されづらいのは、それでメンツが潰れる人がいるから(p61)
楽しい雰囲気で面白い番組を作るという著者の目標は達成されているようでした。現在は、リーダーとしてメンバーの「いいところ」を見つけ、意見を引き出し、「助かったよ」「さすが」と声がけしながら楽しく番組を作っているということです。
タイトルの「ずるい」仕事術は、バラエティ流のつかみであり、中味は今どきのハラスメントのない限られた時間の中で成果を出していく王道の仕事術でした。佐久間さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・「だれにアクションを起こせば問題が解決するか」を考えて、これが叶うキーマンに相談する(p31)
・「キレる人はキャパシティが狭い。仕事ができないこととイコールだ」・・先手を打って言葉で封じる作戦(p136)
・価値観の違うスタッフをメンバ-に入れたほうが絶対いい。特に、自分の短所を補ってくれるキャラクター(p111)
・リーダーは、「発言したら採用される」空気感をつくらないといけない(p127)
・リーダーの目標をチームの目標として共有できていないときは、ほぼ空回る(p133)
【私の評価】★★★★☆(86点)
目次
第1章 仕事術編
第2章 人間関係編
第3章 チーム編
第4章 マネジメント編
第5章 企画術編
第6章 メンタル編
著者経歴
佐久間 宣行(さくま のぶゆき)・・・1975年、福島県いわき市生まれ。テレビプロデューサー、演出家、作家、ラジオパーソナリティ。「ゴッドタン」「あちこちオードリー」「ピラメキーノ」「ウレロ☆シリーズ」「SICKSみんながみんな、何かの病気」「キングちゃん」などを手がける。元テレビ東京社員。2019年4月からラジオ「佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)」のパーソナリティを担当。YouTubeチャンネル「佐久間宣行のNOBROCK TV」も人気。
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