「「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ)」汐街コナ
2022/06/07公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(82点)
要約と感想レビュー
うっかり電車に飛び込んで自殺しそうになった著者が、マンガでその実態を教えてくれる一冊です。著者の職場は深夜残業が多く、著者も月100時間程度の残業で、他の同僚より少ないくらいで、「まだ大丈夫だ」と思っていたのです。「死にたい」なんて一度も思ったことがないのに、地下鉄の駅で「今、一歩踏み出せば明日は会社に行かなくていい」ということが素晴らしいアイデアに感じたという。
その後、著者は転職活動を行って転職に成功するのですが、一歩間違っていれば、この本はないのです。悩んで、考え抜いた末に自殺するのではなく、無意識のうちに自殺を選んでしまうケースも多いのでしょう。
・「死ぬくらいなら会社辞めればいいのに」と、思う人は多いでしょうが、その程度の判断力すら失ってしまうのがブラックの恐ろしいところなのです(p6)
日本では職場のみんなが頑張っているということもあるし、自分だけが職場から逃げ出すより、もう少し頑張ろうと考えてしまいがちだと思うのです。実際、著者もそれほど体調の変化もないし、「死にたい」と思うこともなく、周りには200時間も残業できる人がいる中で仕事をしているわけです。
ただ、実際には個人差があり、著者のように考えてしまう人もいるし、実際に亡くなってしまう人もいるのです。また、相談しても「仕事は多少辛くても我慢して、頑張るものだ」と言われてしまうこともあるでしょう。著者が言いたいのは、過労死ラインが残業月80時間となっているのは、ほとんどの人は死なないけれど、一部の人は死ぬということなのです。もっとも弱いところが切れるのです。
・がんばる道は1つじゃない。方法も1つじゃない(p27)
私も職場でイジメられて、自殺を考えたことがありますが、私の場合は、自殺するくらいなら相手を殺して自殺すると考えていたので、とても相手を殺す勇気はありませんでした。そのため、自殺はしませんでしたが、著者のように、ふとしたときに電車に飛び込んでしまう可能性はなかったとはいえないのでしょう。日本では自殺する人が多いのですが、著者の言うとおり、「自分の命と人生を最優先」に考えましょう。道は1つじゃないことを知りましょう。
マンガなので非常にわかりやすい本でした。こうした本を読んでいる人は大丈夫だと思いますが、ブラックでぎりぎりの仕事をしている人に読んでほしい一冊でした。汐街さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・「立つ鳥跡をにごしてもいい!」と開きなおりましょう(p145)
・世界は、本当は広いんです(p15)
・どこまでが『甘え』でどこからが『がんばりすぎ』なのか(p32)
・夫はいわゆる仕事人間・・・私がヤバイと判断したら一服盛ってでも強制的に休ませる(p112)
・一番のオススメは「ただ話を聞いてあげる」ことです(p131)
・地震や津波のときは「周囲の人間の安否よりまず自分の安全を確保する」(p148)
【私の評価】★★★★☆(82点)
目次
プロローグ 昔、その気もないのにうっかり自殺しかけました
第1章 なんで死ぬまでがんばりすぎちゃうの?
第2章 心のSOSに気がついて
第3章 がんばらない勇気
第4章 自分の人生を生きるために
第5章 世界は本当に広いんです
最終章 自分を犠牲にしてがんばりすぎちゃう人へ
著者経歴
汐街コナ(しおまち こな)・・・広告制作会社のグラフィックデザイナーを経て漫画・イラストの活動を開始。装丁画・挿絵・ゲームキャラクターイラスト等を手がけている
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