「世界で800万人が実践! 考える力の育て方―ものごとを論理的にとらえ、目標達成できる子になる」飛田 基
2022/03/14公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
要約と感想レビュー
思考ツールはジレンマを解決する
ゴールドラット博士の理論の中で、「思考ツール」がいまいち頭に入らなかったので手にしてみた一冊です。著者はゴールドラット社のプリンシパルであり、ライフコーチとして活躍しています。子どもたちに「考えること」を教えるために「思考プロセス」を使っていますが、これは社会人でも活用できるものでしょう。
「思考プロセス」とは、こんなかんじです。例えば、「どんなことで困っているの?」と心配していることを聞き出します。その発言はふせんに書いて貼っておきます。次に、「じゃあ、どうなったら理想なか?」とありたい姿を聞き出します。こちらもふせんに書いて張り出します。
この二つの状態は、対立するジレンマにあると考えられます。例えば、大学に行くのか、行かないのか悩んでいるとしましょう。では、ふせんに「大学に行く」「大学に行かない」と書くのです。大学に行くと「B:選択肢が増え」ますが、大学に行かなければ、「C:社会経験を早く多く積む」ことができます。これも付箋に書いて貼ります。
ここで共通目標をはっきりさせます。この場合には、「社会で活躍する」となりますので、このジレンマの中で共通目標を達成するためにBとCを両立する方法がないかと考えるのです。この場合では、大学に行ってバイトやインターンで社会経験を積むことができるのではないか、などの解決策を考えることができるでしょう。
A:共通目標:子どもが社会で活躍する
B:要望(職業の選択肢を広げる)-D:行動(高等教育を授ける)
C:要望(社会経験を多く積む)-D:行動(高等教育を授けない)(p63)
自分で解決策を考える
この思考プロセスのよいところは、「なんで大学に行かないんだ」とか「なんで勉強しないんだ」という他人の感情的な介入が一切ないことです。あくまで自分の心配していることと、その背後にある自分の望んでいるものを明らかにすることで、ジレンマ状態にあることをはっきりさせ、自分で解決策を考えるのです。
心配事をふせんに書き出してみると、多くの人は客観的に心配していることを考えることができるようになり、解決策を引き出すことができるのです。5歳の子どもでも、この思考プロセスを使って考えることができたというのです。つまり大人の私達がするべきことは、子どもに答えをやらせることではなく、子どもが自ら解決策を考え、実行できるようにすることなのです。
「指示すること」と「答えを教えること」をやめてみませんか?(p21)
悩むのではなく選択する
私もジレンマの状態にあるときには、どうすればよいのか悩むことが多くあります。解決策のないこともありますが、多くの場合は何を大切に考えるのか、何を優先させるのか、どこに配慮するかなどを考え、中庸を行くことで、妥当な選択肢を選べるように感じます。
世の中にはジレンマが多すぎます。大人も子どももジレンマにあることを冷静に見つめなおし、両立できる解決策がどこかにあるはずですので、「思考プロセス」を使ってみていただきたいと感じました。飛田さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・遅から早かれ、子どもは自分の課題を自分で分析して、自分で解決できるようにならないといけない(p136)
・「もし心配があるとしたら、どんなことかな?」(p36)
・「これができたら最高!って思える夢や目標は何かな?」・・それで満足かな?(p160)
・ミスをしたときにテンションが下がる言葉を浴びせられた・・・解決策が出てきました。「誰かがミスをしたら、まずは『ドンマイ』と声を掛けてチームの結束力を高める。続けて『次、どうする?』と声を掛けて、同じミスをくり返さないように考えてもらう(p90)
飛田 基 、ダイヤモンド社
【私の評価】★★★☆☆(79点)
目次
0 子どもの考える力を伸ばす親の習慣―「指示する、答えを教える」から「問いかける」へ
1 子どもの話を引きだす対話の秘訣―自ら考え、問題と向き合うようになる
2 対立した状況を解決する秘訣―クラウドで、創造的なアイディアを出せるようになる
3 ものごとを論理的に考える秘訣―ブランチで、自分の行動を改善できるようになる
4 学習の理解スピードを上げる秘訣―ブランチで、勉強を楽しみながら成績が上がる
5 大きな目標を達成する秘訣―アンビシャス・ターゲット・ツリーで、夢を実現する
6 「学び方」を身につける秘訣―自律的に行動し、成長し続けることができる
7 成長の階段を上り続けるために―やりきる力を支える思考ツールの組み合わせ方
著者経歴
飛田 基 (とびた もとい)・・・ライフコーチ/ゴールドラットコンサルティング・プリンシパル/NPO法人 教育のためのTOC 日本支部理事。1974年生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、米国フロリダ大学にて化学物理の博士号を取得。日立製作所基礎研究所に勤めたのち、エリヤフ・ゴールドラット博士のTOC(制約理論)に感銘を受け、TOCを適用する経営コンサルタントおよびライフコーチに転身。現在、ゴールドラットコンサルティング・プリンシパルとして産業界の既成概念を打ち破り、未解決問題へのブレークスルー実現に取り組む。また、ゴールドラット博士が設立したNPO法人「教育のためのTOC」の世界最高位資格であるマスターリード・ファシリテータとして活躍中。
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