「プロジェクトマネジメント的生活のススメ」米澤 創一
2022/02/14公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(83点)
要約と感想レビュー
プロジェクトマネジメントを調べる中で出会った一冊です。著者は外資系コンサルのアクセンチュアで、システム開発を担当。現在は慶応大学大学院で「プロジェクトマネジメント的生活のススメ」を講義しています。著者の持論は、現在の学校で足りないのはプロジェクトマネジメント、本質を把握した問題解決力、そして幸福思考です。つまり、複数のチームで成果を出す方法と問題を解決し、幸せになる方法を学びなさいということです。
特にプロジェクトマネジメントについては、人生がプロジェクトの集合体のようなものですから、なりたい自分になるため、生きたい人生を生きるためには必須の技術でしょう。例えば、夕食にカレーを作るとすれば、漏れのない作業を計画し、時間、コストを見積り、クリティカル・パスの作業の中のボトルネックを識別・解消することで、短時間でおいしいカレーが作れるようになるのです。
・スーパーまでの所要時間も制約条件になる(p223)
興味深かったのは、著者は3段階で成長してきたということです。まず、最初は必死で仕事を覚えようとしてもがいていた時代。プログラムも英語もできない中で、なんとか生きのびてきた時代です。次は仕事を覚えた後の、思いあがりの時期です。仕事に没頭し、自分のやり方を部下に押しつけ、上司に正論を吐き、完璧に仕事をやりとげる厳しいビジネスマンだった時期です。
そして3段階目は「1分間リーダーシップ」という本を読んで、人に情報を与え、考えさせ、アドバイスして人を育てながらやる気を出してもらうような仕事をするようになった時期です。星野リゾートの星野社長と同じような本を読み、同じように成長するという経験をされてきたのだな、とびっくりしました。
・元同僚から「ある時期を境に鬼から仏になったよね」と言われました(p309)
仕事を通じて人は成長するのだ、ということを感じました。ちなみに著者が部下に伝えるのは、「はじめから、方法、スケジュールまですべて指定するな」ということです。つまり、担当者に具体的なスケジュールや方法を考えさせる、ということです。やり方がわからなければ教えてあげるというスタンスです。自分で考えたほうが「1分間モチベーション」の自己管理でモチベーションが上がるのです。
外資系の会社の仕事のやり方にも興味がありましたので、もう少し米澤さんをフォローしてみたいと思います。米澤さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・人生の目的は「幸せになること」「幸せでいること」(p26)
・私の経験だと、ほとんどの問題はメンバーの教育の問題か、作業プロセスの問題です・・・やってはいけないこと、必ずやらなければいけないことが文書化されておらず、教育もなされていなけければ、誰が担当しても必ず問題は発生します(p87)
・マネジメントに没頭すると、組織全体の活性度合、大局観、長期的な展望が疎かになりがちです。リーダーシップに没頭すると、実現生、効率、コスト、一人ひとりの得手不得手等が見えづらくなります(p94)
・会社に所属する大きな意味は、「チャレンジして失敗することが許される」という点だと思っています(p127)
・ジブンゴト化・・・自分の問題として真剣に取り組む習慣(p153)
・私はいつも細切れ時間を活用するために、細切れ仕事を用意していました(p181)
【私の評価】★★★★☆(83点)
目次
1 「カレーライス作り」を時短してみる
2 プロジェクトマネジメントで幸せになる
3 プロジェクトマネジメントとは何か?
4 プロジェクトマネジメントに求められるスキル
5 本質思考と本質把握力
6 幸福思考と幸福志向
7 時間を創る―タイムマネジメントの技術を磨く
8 ライフログを記録する
9 実践!プロジェクトマネジメント
10 慶應SDM特別講義―プロジェクトマネジメントのココが知りたい!
著者経歴
米澤 創一(よねざわ そういち)・・・應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 特別招聘教授。元アクセンチュア株式会社 マネジングディレクター。京都大学経済学部経営学科卒業。ノースウェスタン大学 Kellogg Advanced Business Management Program修了。アクセンチュア株式会社では、日本におけるプロジェクトマネジメントグループ統括、SAPフ゜ラットフォーム統括、教育責任者、品質管理責任者、グローバルSAP組織における教育責任者などを歴任。2008年から慶應義塾大学大学院システムデザインマネジメント研究科(SDM)にて教鞭を取り、本書タイトルでもある「プロジェクトマネジメント的生活のススメ」と題する人気講義等を担当。
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