「「働かないおじさん問題」のトリセツ」難波 猛
2021/10/29公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
要約と感想レビュー
日本企業では年齢とともに給与が上昇していく場合が多いので、50代になって賃金相当の仕事ができないと「働かないおじさん」「Windows2000」(窓際族で年収2000万円)と呼ばれているという。
多くの管理職は、ことを荒立てなくても、数年すれば定年になるのですから、「働かないおじさん」に対して多少不満があっても放置しています。管理職としても、自分より年上、先輩の部下にダメ出しをするのは、心理的に抵抗があり、理解できる部分もあります。
ただ、働かないおじさんは、同じ職場で働く若い人のやる気を奪う場合もあり、放置できないケースもあるのです。
・ネガティブフィードバック・・・短期的には恨まれたとしても、中長期的には必ず伝えてあげた方が良い(p147)
また、会社によっては人事の方針によって働かないおじさんに対して、「早期退職制度」「選択定年制度」「セカンドキャリアサポート」などを用意し、他の会社で活躍してもらうようにしている場合があります。その場合、管理職は「働かないおじさん」に会社として給与相当の実績を出してほしい、さもなければ早期退職制度によって退社してほしいと伝えていくことになります。
著者はコンサルタントとしてそうした会社の管理職をサポートしているのです。そのやり方は常識的なもので、会社として求めるレベルを明確にし、働かないおじさんと管理職の対話で目標を設定し、おじさんの目標設定を支援するのです。目標達成できればOKだし、達成できなければ、次の職場で頑張ってもらうということです。
・本音を聴くと「上司の言う理屈も分かる部分はあるが、感情的に受け入れられない。上司の言うとおりに行動することが、上司の手柄になると考えると馬鹿らしくなる」(p158)
最近はさすがに「追い出し部屋」のようなところに「働かないおじさん」を押し込めて仕事を与えないといったことは難しくなってきて、「働かなおじさん」と正面から向かい合う必要が出てきたのでしょう。
本書でも説明があるとおり、できるだけ「働かないおじさん」が自ら目標を設定し、自分が決めたという形にすることがおじさんのやる気を引き出すようです。
一部にはひねくれた人もいると思いますが、役割分担に応じた仕事をしてもらうのがあるべき姿ですから、いわんや組織に悪影響を与えたり、上司の指示に従わない場合には、会社の規程にしたがって社外で活躍していただけばよいのです。
「働かないおじさん」と向き合うことで長期的にはおじさんのため、という著者の言葉に同感です。
難波さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・本人が仕事に充実や集中を感じられるよう、少し背伸びした挑戦機会を本人と一緒に考えて提供することが有効です(p71)
・上司と部下のコミュニケーションとして・・・対面またはオンラインで週に1回や隔週に1回等の頻度で、ワンオンワン(ミーティング)を実施する企業が増えてきたようです(p120)
・意外に「沈黙」が効果的・・・部下が答えるまで上司が沈黙していれば、部下は投げられた問いを考えるしかなくなります(p188)
・感謝を4、変えてもらいたい点への指摘を1ぐらいの割合で話せば、徐々に変化が現れてきます(p229)
【私の評価】★★★☆☆(79点)
目次
第1章 「働かないおじさん」問題とは何か
第2章 問題解決を遅らせている「3すくみ」
第3章 「働かないおじさん」を生む3つのズレ(人事向けトリセツ)
第4章 「働かないおじさん」戦力化の5ステップ(上司向けトリセツ)
第5章 「働かないおじさん」が変化する4ステージ(本人向けトリセツ)
第6章 もしも「働かないおじさん」と同じ部署になったら?
第7章 人生100年時代、活き活きと働くキャリア戦略
特別対談 ミドルシニアが輝くために
著者経歴
難波 猛(なんば たけし)・・・マンパワーグループ株式会社シニアコンサルタント。1974年生まれ。早稲田大学卒業、出版社、求人広告代理店を経て2007年より現職。人事コンサルタント、研修講師として日系・外資系企業を問わず2000人以上のキャリア開発を支援。人員施策プロジェクトにおけるコンサルティング・管理者トレーニング・キャリア研修等を100社以上担当。官公庁事業におけるプロジェクト責任者も歴任。
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