楽しい数学トピックス「とてつもない数学」永野裕之
2020/10/01公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(71点)
要約と感想レビュー
数学の入門書として数学者の紹介、定理の紹介、数学的な考え方を紹介してくれる一冊です。私は理系ですので、数学は好きなほうですが、この本のレベルくらいで十分です。
すべての偶数は2つの素数の和で表せることを証明せよ・・・なんて聞かれても困ってしまう。こうしたことを一生涯をかけて考え続けることが好きな人が存在するのですね。
・11と13のように連続する2つの奇数が素数であるとき、それらを双子素数と言うが、双子素数が無限に存在するかどうかもまだわかっていない(p63)
面白いのは数学の世界でもコンピューターが活用されているということでしょう。コンピュータなら単純作業をいくらでも続けることができるからです。
円周率を計算する。素数を探す。すべての組み合わせを計算する。コンピュータは、こんなのが得意です。ビッグデータもコンピュータの発達と統計学との組み合わせで、実用化されているのだと感じました。
・2019年8月現在、実際に見つかっている最も大きな素数は約2480万桁のとてつもなく大きな数であり、GIMPS(Great Internet Mersenne Prime Search)と呼ばれるコンピュータプロジェクトによって2018年に発見された(p66)
数学も突き詰めるとものすごい世界があるのだな、と思いました。過去の数学者の成果を活用でき、パソコンもある現代社会は、本当に数学的に充実した時代であり、良い時代に生まれたと思います。
永野さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・すべての約数(自分自身を含まない)を足し合わせたものがもとの数字に一致するとき、その数を完全数という。もっとも小さな完全数は6である。完全数は6、28、496、8128、・・・と続くが、1万以下の完全数はこの4つしかない。これまでに完全数は51個見つかっている(p53)
・これまでに例外は見つかっていないものの、正しいことが証明されていない素数に関する「法則」がある。それは「4以上の偶数はすべて、2つの素数の足し算で表せる」(p62)
・だいたいの値を見積もることをフェルミ推定という。近年では、さまざまな企業の入社試験で「東京にはマンホールがいくつあるか?」等の問題が出題(p203)
・1~9を使った3次(3×3)の魔法陣は前頁に紹介した1種類しか存在しない・・・ちなみに1~16を使った4次(4×4)の魔法陣は880種類、1~25を使った5次(5×5)の魔法陣は約2億7000種類、1~36を使った6次(6×6)の魔法陣は約1770京種類あることがわかっている(p300)
・イギリスの数理哲学者バートランド・ラッセルは「(人類にとって)2月の2と2羽のキジの2が同じ2であることに気づくまでには、限りない年月が必要だった」と書いている(p349)
▼引用は、この本からです
永野 裕之 、ダイヤモンド社
【私の評価】★★★☆☆(71点)
目次
1章 とてつもない数式
2章 とてつもない天才数学者たち
3章 とてつもない芸術性
4章 とてつもない便利さ
5章 とてつもない影響力
6章 とてつもない計算
著者経歴
永野裕之(ながの ひろゆき)・・・永野数学塾塾長。1974年東京生まれ。数学オリンピック出場。暁星高等学校卒業。東京大学理学部地球惑星物理学科卒。同大学院宇宙科学研究所(現JAXA宇宙科学研究本部)中退後、ウィーン国立音大へ留学。副指揮を務めた二期会公演モーツァルト「コジ・ファン・トゥッテが文化庁芸術祭大賞を受賞。これまでに1000人以上の生徒を数学指導してきた実績を持ち、永野数学塾は、常に予約キャンセル待ちの人気となっている。
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