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二宮金次郎の苦難の人生「二宮尊徳に学ぶ人徳の経営 『二宮翁夜話』を読む+CD」岬龍一郎

2020/09/19公開 更新
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【私の評価】★★★☆☆(74点)


要約と感想レビュー

 二宮尊徳は16歳で両親を失い、田畑も氾濫で土砂に埋もれて生活基盤を失ってしまいます。伯父の家に居候することになるが、深夜まで草鞋を作り、その後、書物を読み続けたという。


 菜種を友人から借り、自分の家の荒地に蒔いてその油を売って灯油を買い、夜の勉強の明かりとした伝説があります。また、落ちている種を拾って荒地の自分の田圃に植え収穫しており、小を積み重ねて大きくすることを成功の秘訣としていました。


・荒地となった田圃一反歩を開拓してそこから米一石を生産したとすれば、そのうち半分をもって食糧とし、残り半分をもって来年の開拓資本とし、これを年々つづけていけば何億町歩の荒地でも開拓することができます(p27)


 借金で破綻寸前の多くの藩の復興を依頼されていますが、すべてが成功したわけではありませんでした。収入の半分で生活し、残りを将来に投資するという緊縮財政に全員が賛成することはなかなかないのです。そうした反対派を取り込むためには、自分の身を捨てることが必要であり、尊徳は実家を売却して、依頼された土地に移住しています。だめになった組織を立て直すにはだめな人を変える必要があり、それだけの覚悟が必要だったのです。江戸時代の再生請負人が二宮尊徳だったのです。


 岬さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・人が生まれた以上、死ぬことは避けられない・・・若死にも長生きも、実はわずかな違いでしかない・・・必ず死ぬものと覚悟すれば、一日生きれば一日の儲け、一年生きれば一年の儲けである。だから、本来わが身はないもの、わが家もないものと覚悟すれば、あとは百時百般みな儲けである・・・この仮の身をわが身と思わず、生涯一途に世のため人のためだけを思い、国のため天下のために益のあることだけに勤める(p45)


・尊徳は、死に際して、自分のやり残した仕法のなりゆきが心配だったのだろう。後事を託す弟子たちに「決して事を急ぐな、決してあきらめるな」と言い聞かせたのである(p46)


・己とは私欲である。私欲は田畑にたとえるなら雑草であろう。克つとは、田畑に生じる雑草を取り去ることをいう。すなわち、己に克つとは、自分の心に生じる雑草のような私欲をけずりとっては、捨て去り、心に豊かな実りを生じさせる勤めをいうのである。これを人道というのだ(p53)


・百石の人は五十石、千石の人は五百石といった具合に、すべてその半分で生活できるようにして、残り半分は譲ることである(p62)


・自分が得意の絶頂にあって、まったく下のほうを気にしないで、上ばかりを見て突き進んでいくのは危ういことである・・・下にいる者に憐れみや恵みを実行しなければならない・・・(p80)


・海の漁師の家に生まれて、山の生活を羨んだり、山に家を持ちながら漁師の生活に憧れたりするのは、もっとも愚かなことである。海には海のよさがあり、山には山のよさがある(p81)


▼引用は、この本からです


【私の評価】★★★☆☆(74点)


目次

第1巻 二宮尊徳の生涯
第2巻 事業の心得
第3巻 仕事の心得



著者経歴

 岬 龍一郎(みさき りゅういちろう)・・・早稲田大学卒業後、情報会社・出版社の役員を歴任。退職後、著述業のかたわら、人材育成のために「人間経営塾」を主宰。国家公務員・地方公務員幹部研修、大手企業研修などの講師を務め、「人の上に立つ者の人間学」を説いている。


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