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ベンチャー企業から大企業に転職した仕事術「その仕事、全部やめてみよう」小野和俊

2020/09/11公開 更新
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「その仕事、全部やめてみよう」小野和俊


【私の評価】★★★★★(91点)


要約と感想レビュー

相手のよさを理解するよう努めること

ベンチャーソフトウェア会社から資本提携によりセゾン情報システムズ取締役CTOとなった著者の仕事の流儀です。やはりベンチャー企業と大企業とでは仕事のやり方が違います。多くの場合、二つの文化が対立し、精神的にも物理的にも対立することが多いという。


ここでいう文化的対立とは、それまでその職場にいたベテランが、『俺たちの村を荒らさないでくれ、俺たちはいままでこのやり方で何年もうまくやってきたんだ。最近になって入ってきた人に何がわかるんだ。そっとしておいてくれ』と考えるために生じるのです。著者の場合はうまくいっているようですが、そのコツは相手のよさを理解するよう努めることだという。当たり前のように聞こえますが、その当たり前が難しいのでしょう。


人体における免疫系の作用と同様に、大企業はその複雑な機構をすこやかに保つために異物を排除しやすい。しかし、異物に見えるものが「とり入れるべきもの」であるときはどうすればいいのか(p8)

部下の理解と納得と共感を引き出す

新しい企画について話すときは、参加者が共感できる事実から話すという。たとえば、ブロックチェーンの勉強会では著者は実際に社員を集め、スマホにウォレットをインストールしてもらいビットコインを送金しました。なんだビットコインできるじゃないかと、やってみて興味を持った部下が自ら勉強会に参加したり、プロジェクトが始まったりしたという。


ビットコインを体験したことによる社員の発見や喜びが、やる気を引き出したのです。つまり、部下の理解と納得と共感をいかに引き出すのか、工夫が必要だということなのでしょう。


外から中途採用の人が入ってくると、関係部署の賛同が得られずに孤立したりするという。そうしたときに、最も重要なのは、知識や方法論で議論することではなく、そのチームメンバーが自分の頭で考え、同じ方向を向いて進んでいくことなのです。簡単に体験してもらうなど、仕掛けが必要なのでしょう。


新しい企画やまだ見ぬ将来について話すときは、参加者が共感できる事実から話す。そうでないと、「地に足がついている感」がなくなり、話を聞いてもらえなくなる(p41)

部下に教え見本を見せ褒める

安定性と品質重視の大企業と、アイデアとスピードのベンチャー企業は本当に文化が違うことがわかりました。著者も「自分がやったほうが早い」と思うことが何度もあったようです。しかし、部下に教え、見本を見せ、褒めるように努力したという。


また、上司にぜんぜんうまくいっていない仕事を説明するときには「ダメなことを正直に話す」ようにしているという。そして、「秘策が3つあります」と改善策を準備してから報告していたという。ソフトウェア業界のことはよくわかりませんが、息子に読ませてみたいと思います。小野さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・ベンチャーには突出したスペシャリストが集まりやすい。ある人が参加することで状況が一気によくなることもある。ただしそういう人は大抵の場合、どこか変わっている(p8)


・一番やめるべき仕事は、没頭できない仕事だ・・「楽しさを教えてやる気を引き出す」という先生の教えはいまも私の中に生きている(p222)


・多くのITやサービスは、「こんなことができたら面白いんじゃないか」という子どものような遊び心から誕生している(p59)


・よいアイデアとは、誰かの役に立つものだ(p64)


・ペアでの仕事がなぜ生産性向上につながるか・・・人は「見られる」とカッコつける(p150)


・2ページ目から3ページ目に移る際には「次のスライドです」と淡泊に言うより、「この課題を何とか解決できないか。私たちは半年間考え抜いてきました・・・・私たちの答えはこちらです」と言ったほうがずっとインパクトがある(p42)


▼引用は、この本からです
「その仕事、全部やめてみよう」小野和俊
小野 和俊、ダイヤモンド社


【私の評価】★★★★★(91点)


目次

はじめに ITベンチャーと老舗金融企業で学んだこと
第1章 「谷」を埋めるな、「山」を作れ!
第2章 「ハンマーと釘」の世界の落とし穴
第3章 「ラストマン戦略」で頭角をあらわせ
第4章 「To Stopリスト」をいますぐ作る
第5章 職場は「猛獣園」である



著者経歴

小野和俊(おの かずとし)・・・クレディセゾン常務執行役員CTO。1976年生まれ。小学4年生からプログラミングを開始。1999年、大学卒業後、サン・マイクロシステムズ株式会社に入社。研修後、米国本社にてJavaやXMLでの開発を経験する。2000年ベンチャー企業アプレッソの代表取締役。データ連携ソフト「DataSpider」を開発。2013年、セゾン情報システムズと資本業務提携し、2015年にセゾン情報システムズの取締役CTOに就任。2019年にクレディセゾンの取締役CEOとなり、2020年3月より現職。


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