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「反日種族主義 日韓危機の根源」李 栄薫

2020/04/28公開 更新
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【私の評価】★★★★★(95点)


要約と感想レビュー

韓国における教科書の事実誤認・歪曲、日本を悪魔化した定説について過去の資料やデータを示しながら検証する一冊です。


驚いたのは、韓国の教科書にまったく事実と異なることが書いてあることです。例えば、韓国の教科書では日本の土地調査事業を通じて40%の土地が朝鮮人から収奪されたと記載されています。映画「アリラン」では、抵抗する朝鮮人を4000人その場で処刑したことになっているのです。もちろん日本が理由もなく土地を奪うはずがなく、抵抗した人を死刑にするはずがありません。当時の新聞と雑誌を調べても、このような事件が報道されたことはただの一例もないというのです。


また、韓国では日本が朝鮮の米を収奪し、日本に送ったと教えられています。ところが実際には、当時の朝鮮の米の生産量は二倍になり、その生産量の半分が日本に輸出されていたのです。収奪したのではなく、余ったお米を日本に売って儲けていたのです。その結果、日本の米価が下落し、日本の農民が朝鮮米の日本流入を制限しようとして、朝鮮農民が反対していたという歴史的事実があるのです。


しかし、こうしたでたらめな日本を批判するための作り話が教科書に記載されたり、小説・映画となって韓国人の常識となっているのです。こうした情報が真実かのように教えられているのであれば、韓国人が日本人を残虐非道な野獣のような民族と考えてもおかしくないのでしょう。


・朝鮮総督府が土地調査事業を通し全国の土地の40%を国有地として奪った、という教科書の記述は、でたらめな作り話でした・・日帝が戦時期に朝鮮人を労働者として動員し奴隷にした、という主張は、悪意の捏造でした(p18)


この本でいうところの「反日種族主義」とは、何なのでしょうか。著者は、朝鮮にはもともと自由市民の共同体である「朝鮮民族」は存在していなかったと説明しています。朝鮮の歴史には親族のつながりを重視し、良民と賤民が対立する差別社会があるだけであったのです。そして現代韓国、朝鮮に残ったのはそうした独裁部族(家族)が支配する差別社会であり、そうした差別社会を「反日」を使って、何とか一体化させているのが今の韓国なのだというのです。


これを反日種族主義と定義して、嘘と歪曲を根拠とした反日感情について問題提起しているのです。


・今日の大韓民国で親日派は公共の敵です・・・慰安婦の事実を本にした朴裕河教授は、民刑事上の重い処罰の脅しを受けました(p177)


日本で出版されている書籍に比べても、一つひとつの事例を検証している姿勢は素晴らしいと思いました。例えば、韓国の教科書では、1911年に施行された「朝鮮会社令」で日本が朝鮮人資本が成長できないように抑圧した、と記述しているのに対し、事実は朝鮮人だけを規制したのではなく、日本人の朝鮮での会社設立も同様に規制していたのです。


また、韓国の教科書では、日本人は賃金もきちんと支払わずに朝鮮人を酷使したとか、朝鮮人の賃金は日本人労働者の半分程度でなどと記述していますが、炭鉱の『賃金台帳』を見ると10時間労働の基本給は、朝鮮人は平均1円72銭、日本人は1円70銭で差はなかったのです。


 韓国人研究者の立場からすれば、これだけ事実と異なる内容が教科書に記載されているということは恥ずかしいことでしょう。私にはこうした歴史歪曲は韓国の嘘つき文化だけが原因なのではなく、北朝鮮や共産勢力などが意図的に情報操作していることも原因ではないのかとも感じました。闇は深く、著者の身が心配です。李さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・韓国の嘘つき文化は国際的に広く知れ渡っています。2014年だけで偽証罪で起訴された人は1400人です。日本に比べ172倍・・保険金詐欺の総額は、4兆5000億ウォン・・ある経済新聞はアメリカの100倍だと報じています(p14)


・請求権協定の真実・・・このように韓国側の請求権主張を一つひとつ詰めて行くと、朴正煕政権の7億ドルの主張に対し日本が認定する金額は、最大7000ドルに過ぎませんでした・・無償3億ドルと有償2億ドルの方式で妥結しました・・韓国側が約22億ドル分の在韓日本人財産をすでに取得していた点も考慮しなくてはなりません・・(p113)


・1951年・・韓国軍は将兵に性的慰安を提供する特殊慰安隊を設立しました・・・特殊慰安隊に所属した慰安婦の総数は700人程度と推算されます・・・性労働の強度は、一日平均6.3回(p221)


・50年過ぎて新たな記憶を作り出し、日本を攻撃し続けて、結局韓日関係を破綻寸前にまで持って行ったこと、まさにこれは1990年以降の挺対協の慰安婦運動史でした(p324)



李 栄薫、文藝春秋


【私の評価】★★★★★(95点)


目次

プロローグ 嘘の国
第1部 種族主義の記憶
1 荒唐無稽『アリラン』
2 片手にピストルを、もう片方に測量器を
3 食糧を収奪したって?
4 日本の植民地支配の方式
5 「強制動員」の神話
6 果たして「強制労働」「奴隷労働」だったのか?
7 朝鮮人の賃金差別の虚構性
8 陸軍特別志願兵、彼らは誰なのか!
9 もともと請求するものなどなかったーー請求権協定の真実
10 厚顔無恥で愚かな韓日会談決死反対
第2部 種族主義の象徴と幻想
11 白頭山神話の内幕
12 独島、反日種族主義の最高象徴
13 鉄杭神話の真実
14 旧総督府庁舎の解体ーー大韓民国の歴史を消す
15 親日清算という詐欺劇
16 ネバー・エンディング・ストーリー 「賠償!賠償!賠償!」
17 反日種族主義の神学
第3部 種族主義の牙城、慰安婦
18 我々の中の慰安婦
19 公娼制の成立と文化
20 日本軍慰安婦問題の真実
21 解放後の四十余年間、慰安婦問題は存在しなかった
22 韓日関係が破綻するまで
エピローグ 反日種族主義の報い



著者経歴

李 栄薫(い よんふん)・・・1951年生まれ。ソウル大において韓国経済史研究で博士学位を受ける。韓神大、成均館大を経てソウル大経済学部教授に就任。定年退職後は、李承晩学堂の校長として活動している


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