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「力なき者たちの力」ヴァーツラフ・ハヴェル

(2020年3月 7日)|本のソムリエ メルマガ登録
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【私の評価】★★☆☆☆(65点)


■著者のヴァーツラフ・ハヴェルとは、
 1989年のチェコスロバキアのビロード革命を
 実現化した劇作家です。


 ポスト全体主義と表現される体制側に
 何度も投獄されるなかで、この本を書き上げ、
 市民による非暴力活動で民主化を果たしたと
 されています。


■イデオロギーに縛られ、事実を口にできない
 当時のチェコスロバキアは、新型コロナの拡散を
 最初に発見した医師が処罰された中国と
 同じだったようです。


 事実より政治的力が優先する社会は、
 うまくいかないのでしょう。
 いずれ、崩壊する社会であると
 この本は伝えています。


 ハヴェルさん、
 良い本をありがとうございました。


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■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・あらゆる生産手段が国有化そして中央で管理されることで・・・権力構造はみずから(例えば官僚と警察の領域)に投資するという先例のない、絶対的な能力を手に入れ、まるで雇い主が一人しかいないように、あらゆる市民の日常生活の操作が容易にできるようになった(p13)


・青果店の店主は、「全世界の労働者よ、一つになれ!」というスローガンをショーウィンドウの玉ねぎと人参のあいだに置いた・・・そうしなかったら、厄介なことになるかもしれない。「飾り」がないじゃないかと咎められるかもしれない(p15)


・イデオロギーは体制と人間のあいだの「口実」の橋となり、体制が目指すものと生の目指すもののあいだの大きな亀裂を覆い隠す。・・・それゆえ、この体制内の生は、偽りや嘘ですべて塗り固められている(p20)


・スローガンを飾るのをやめたらどうなるだろう・・・店主の地位は奪われ、運搬業者の助手に配置換えとなる。給料は下がる。休日のブルガリア旅行の可能性は消える。子どもたちの進学が危ぶまれる(p34)


・1974年、私がビール工場で勤めていたころ、上司はSという人物だった。ビールの製造のことをよく理解し、貴族のような誇りを自分の仕事に持っていて、工場でよいビールを造ることだけを考えていた・・・工場の主導を握っていたのは、この分野にそれほど詳しくもなければ、この仕事にたいした関心もない、けれども政治的に影響力を持つ人びとだった。工場の経営はどんどん傾き、Sの提案に反応しなかったばかりか、Sに対して敵対的な態度を取るようになり、Sの仕事を妨害するようになった・・・Sは政治的に有害な人物と見なされ工場から追放(p71)


・我が国の法律だけ知っている者がいたら、私たちがなぜ不満を述べるのかまったく理解できないだろう。裁判官および検事を全面的に隠れて操作している政治、実際には明らかにされない裁判手続き、治安組織による職権乱用、司法に対する治安組織の優越、意図的に曖昧になっている条文の馬鹿げた拡大解釈など(p88)


・民主主義は技術文明、産業社会、消費社会に振り回されており、それらを前にして無力になっているからである。民主主義社会の人びとは、ポスト全体主義の社会で用いられている野蛮な手法よりもはるかに狡猾で洗練された形でたえず操られている・・・どこにでも見られる消費、生産、広告、消費文化の独裁、そして情報の洪水(p113)


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【私の評価】★★☆☆☆(65点)



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