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「「ミライの兆し」の見つけ方」御立 尚資

2019/12/06公開 更新
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「「ミライの兆し」の見つけ方」御立 尚資


【私の評価】★★★☆☆(71点)


要約と感想レビュー

コンピュータ・サイエンスが拡大

ボストンコンサルティンググループの役員が日経ビジネス電子版に連載したコラムをまとめた一冊です。「未来の兆し」というテーマで、現在の世界の状況を解説するという内容となっています。


これからはコンピュータ・サイエンスが生活の中に拡大していくのは必然のようです。例えば、仮想通貨のビットコインの時価総額は1800億米ドル(約20兆円)にも達しています。ビットコイン以外の仮想通貨も加えれば、時価総額の合計は50兆円を超えると推定されているのです。


したがって、日本としては、米国や中国やインドと比べて、コンピュータサイエンス専攻の学生数が、少ないので、増やす必要があるということになるのです。


インドの個人認証・・・瞳の虹彩、指紋、そして顔写真が個人を特定するための情報として登録される(p72)

バブルはいずれ崩壊する

世界はグローバル化し、日本の雇用が海外に移転して日本の労働者の給与は減りました。世界各国は金融緩和を続け、貧富の差が拡大し、バブルが崩壊すれば経済が不安定化する可能性もあるのです。


つまり、10年近い世界的金融緩和に支えられてきた資産や資源価格のバブルはどこかではじけるのです。経済的不安、社会的不安から国民の格差への不満がポピュリスト政治家が力を持つという流れがあるのです。


場合によっては極端な政治家が権力を持つことで、混乱が拡大することも予想されます。そうしたことに対して著者は回答は出せないが、これから考え、実行してきたいと素直に書いています。


バブル崩壊以降、日本人の多くは貧しくなった・・欧米と同様に、中間層の雇用の一部が新興国に移転しただけでなく、この十数年でいわゆる非正規労働が雇用の3分の1を占めるレベルにまで急増したこともその要因だ(p177)

未来の感覚

コンサルタントなので、もっとデータを元にした説明があるのかと思いましたが感覚的な意見がほとんどでした。つまり、書籍を読めばわかるようなものばかりなのです。


例えば、中国のこれまでの成長は第一に、中国人自身のハードワーク、・国家的な技術の窃盗、そして米国が築いてきた安定的なグローバル貿易システムといった情報です。そこから先は有料なのか、それともその程度で十分なのか。少し消化不足でした。御立さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・「柔軟性」をもった建物や社会システム・・・病院施設は、できるかぎり柔軟にキャパシティを増減できる建築仕様にすることが望ましい・・・テント形式の高級ホテル・・建築物だけでなく、人のスキルや仕事も柔軟にシフトさせる、という仕組みも求められる(p226)


・顧客は、「買い手」から「サポーター」・・「価値観を打ち出し、顧客をそのサポーターと位置づける」(p217)


・日清戦争以降の近代の50年間を除けば、日本は「あまり戦争をしてこなかった国」である・・本格的な対外戦争は、4世紀末から5世紀初頭の対高句麗戦、7世紀後半の(唐・新羅連合軍との)白村江の戦い・・16世紀後半の秀吉の朝鮮半島侵攻と、前近代においては合計3回にすぎない(p121)


「「ミライの兆し」の見つけ方」御立 尚資
御立 尚資、日経BP社


【私の評価】★★★☆☆(71点)


目次

1章 「アート」はこんな視点を与えてくれる
2章 テクノロジーに寄せる期待と不安を再考する
3章 米中のせめぎ合い、世界はどこへ向かうのか
4章 視点の置き方で未来のカタチは変わる
5章 「未来づくり」の方法論を考える
6章 そして「未来の兆し」が見えてきた



著者経歴

御立尚資(みたち たかし)・・・ボストンコンサルティンググループシニア・アドバイザー。京都大学文学部米文学科卒。米ハーバード大学より経営学修士(MBA with High Distinction,Baker Scholar)を取得。日本航空株式会社を経て、1993年BCG入社。2005年から2015年まで日本代表、2006年から2013年までBCGグローバル経営会議メンバーを務める。BCGでの現職の他、楽天株式会社、DMG森精機株式会社、東京海上ホールディングス株式会社、ユニ・チャーム株式会社などでの社外取締役、ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン専務理事、大原美術館理事、京都大学経営管理大学院・早稲田大学ビジネススクールにて客員教授なども務めている。経済同友会副代表幹事(2013-2016)、同観光立国委員会委員長(2015-2016)


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