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「星の王子さま」サン・テグジュペリ

2019/11/13公開 更新
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星の王子さま (新潮文庫)


【私の評価】★★★★☆(81点)


要約と感想レビュー

 あまりに有名で既読でしたが、私がこの本を紹介できるレベルにないので避けてきた一冊です。砂漠に不時着した飛行士が、小さな星の王子さまと出会い、対話するという設定です。純粋な星の王子さまは、不思議な大人との出会いを教えてくれるのです。人間の世のなかの自己顕示欲、権力欲、金銭欲、薬物依存などの汚さを揶揄しているのでしょう。


 ある星では「オレを尊敬しろ」と傲慢な男がいました。星の王子さまは「尊敬されることって、そんなに大切なことなの?」というのです。また、別の星では、実業家が所有する不動産について紙に書いて、それを大切に保管しています。星の王子さまは「きみは星のために何もしていない」とつぶやくのです。


・王様は,大声で急いで命令を出しました。「そなたを大使に命ずる」王様は偉そうにしました。王子さまは『大人って変だなぁ』と旅をしながら思いました(p60)


 私にとっての難題は、星の王子さまと王子さまの星のバラの花との関係です。そのバラの花はとてもキレイで、その一方、トゲがあるし、水を毎日やらないと枯れてしまうし、風が怖いと要求が厳しいのです。星の王子さまはそのバラの花を置き去りにして旅に出たのですが、旅をしながらバラの花のことを思うのです。


 旅の途中で出会ったキツネは、時間を共にしたそのバラの花はただのバラの花ではないと教えてくれます。金より義理人情。物より思い出、遠くの美人より近くのブスということなのでしょうか。本当の幸せとは何なのか、資本主義社会における幸せについて問いかける一冊でした。


・きみが、きみのバラの花をとても大切に思うのは、そのバラの花のために時間をかけたからだよ(p105)


 この本では、仕事ばかりして『忙しい、忙しい』が口癖の傲慢な男がでてきます。彼は花の香りをかいだり、星を眺めたこともなく、誰も愛したことがないのだという。現代社会のサラリーマンのように思えました。


 あまりにレベルが高いので、あまり期待しないで気軽に読みたいものです。いずれ分かる時が来るでしょう。テグジュペリさん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・天文学者は、国際天文学会で発見した星について発表しました。でも、着ている服が立派ではなかったので、誰もその天文学者の言うことを信じませんでした。大人というのは、そのようなものなのです(p22)


・仲良くならないと何も理解できないよ。人間は、もう何も理解することはできないよ。時間がないんだよ。商人のお店で物を買っているけれど、友達という商品なんて売っていないからね。だから、人間はいまや友達なんて持っていないよ(p100)


星の王子さま (新潮文庫)
星の王子さま (新潮文庫)
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サン=テグジュペリ
新潮社
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【私の評価】★★★★☆(81点)



著者経歴

 サン・テグジュペリ・・・1900‐1944。名門貴族の子弟としてフランス・リヨンに生れる。海軍兵学校の受験に失敗後、兵役で航空隊に入る。除隊後、航空会社の路線パイロットとなり、多くの冒険を経験。その後様々な形で飛びながら、1929年に処女作『南方郵便機』、以後『夜間飛行』(フェミナ賞)、『人間の土地』(アカデミー・フランセーズ賞)、『星の王子さま』等を発表、行動主義文学の作家として活躍した。第2次大戦時、偵察機の搭乗員として困難な出撃を重ね、'44年コルシカ島の基地を発進したまま帰還せず


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