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「医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方」近藤 慎太郎

2019/11/12公開 更新
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医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方

【私の評価】★★★★☆(81点)


■がん検診の現状を現役医師が、
 まんが、図、グラフで
 教えてくれる一冊です。


 がん検診の問題は、
 良性と悪性の見極めが難しく、
 さらなる精密検査が必要な患者を
 増産してしまうことです。


 精密検査が必要と診断された患者は
 精神的にも肉体的にも疲弊しますし、
 費用も増大させているのです。


 つまり、検診の費用をかけることで、
 精密検査の費用が必要な人が増え、
 がんと分かればその治療費も増える。
 マッチポンプのように見えることです。


・「過剰診断」の問題・・・良性と悪性の境界線、見極めは非常に困難・・ここまでが良性で、ここから先が悪性だという境界を厳密に規定することは実は世界中の誰にもできません(p294)


■もちろん、がん検診は一定の効果が
 確認されていることから
 行われています。


 ところが、がん検診の
 プラスを計測するのは難しく、
 マイナスも計測が難しい。


 つまり、がん検診の
 プラスとマイナスを合わせて
 本当にプラスなのか検証は
 難しいのです。


 そうした中で効果が出そうな
 対象者に対して行っているのが
 現在のがん検診なのでしょう。


・"万能"ではないCT検診・・・「悪性度の低いものをたくさんみつけている・・見つかったものの多くは、さらなる精密検査の対象になるので、診断が確定するまでに時間も費用もかかるし、肉体的・精神的なストレス・・医療被ばくの問題も考慮しなくては・・少なくとも50歳未満には推奨できないとされています(p27)


■日本の医療費の増加を考えると、
 必然的に明確な効果が証明されている
 医療に絞られていくことでしょう。


 そのためにも「がん検診」も
 がん検診を受ける人と受けない人を分けて、
 10年間追跡調査するなど行うと
 面白いのかもしれません。


 海外では検診を受けないグループの
 ほうが健康だったという報告も
 一部にはあるようです。
 面白いですね。


 近藤さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・タバコで肺がんのリスクが男性で4.4倍 女性で2.8倍高まると言われています(p16)


・日本全体で1年間にどれぐらいの医療費がかかっているかご存知ですか?平成27年度は42兆3000億円超で、毎年1兆円ずつ増加しています(p286)


・全米規模の研究によれば、大腸ポリープをすべて切除することによって、大腸がんの罹患率は76~90%も減少したと報告されています(p295)


・早期野前立腺がんを「手術するグループ」と「治療せずに経過観察するグループ」にランダムに分けて20年間経過を追ったところ、両グループで前立腺がんの死亡率には、統計的な差がなかったという、かなり衝撃的な報告もあります(p77)


・PET検査・・非常に有用なのが、頭頸部がん、甲状腺がん、悪性リンパ腫に限られていることにも、注意が必要です・・被ばく線量は条件や方法によって大きく変わりますが、PETとCT合わせて、20ミリシーベルトを超えることもあり得ます。被ばく線量が累積で100ミリシーベルトを超えると、徐々に発がんリスクが増大していくと言われています(p256)


・大腸カメラは、胃カメラ以上に術者の技量が検査内容を左右する検査です。受ける場合には事前に調べて、評判の高い施設や医師を選ぶようにオススメします(p163)


医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方
近藤 慎太郎
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【【私の評価】★★★★☆(81点)

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■目次

1章 肺がん:がんの中でも死亡数は第1位! ?喫煙者は要注意
2章 胃がん:罹患数は減少傾向。だがピロリ菌の除菌は"万能"ではない
3章 前立腺がん:男性なら誰もが気になるがん、前立腺肥大やEDとの関係は?
4章 肝臓がん:お酒好きは要注意。肝臓だけではない、アルコールの破壊力
5章 食道がん:急増中の逆流性食道炎と食道がんの悩ましい関係性
6章 大腸がん:死亡数はがんの中で2位!?大腸カメラは辛い??辛くない?
7章 小腸がん:消化管の「暗黒大陸」、カプセル内視鏡が検査で活躍
8章 膵がん:進行が速く、悪性度も高い! ?とにかく「避ける」しかない
9章 乳がん:若い女性は要注意、検査で見逃さないために
10章 子宮頸がん:「HPVワクチン」問題、結局受けるべきなのか
11章 PET検査、血液がん検診:最先端のがん検査技術、果たしてどう使えばいい?
12章 がん検診懐疑派への反論:制度は満点ではないけれど、受ける価値はある


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