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「開国の使者 ペリー遠征記」佐藤 賢一

2019/11/11公開 更新
本のソムリエ
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開国の使者  ペリー遠征記 (角川文庫)

【私の評価】★★★★☆(80点)


■ペリーといえば1853年に4隻の黒船で
 浦賀に来航し、開国を求めました。


 目的は捕鯨船の寄港地を確保すること。
 もう一つは中国大陸へアクセスする
 太平洋航路を確保することです。


 当時のアメリカはイギリスの植民地から
 独立したばかりで、西側の領土を拡張
 している時期となります。


・ジャパンを中継基地に蒸気船を走らせるなら、ニューヨーク・シャンハイ間は僅か25日・・イギリス・シャンハイ間の新記録が97日なのに、である(p49)


■最初の訪日は、天皇の崩御もあり、
 1年後に再訪すると約束して
 ペリーは中国へ戻ります。


 そして1年後に日本はアメリカ船に対し
 下田、函館で燃料や食料を売却すること。
 最恵国待遇も与えています。


 ペリーは軍事行使も排除しないという
 強い姿勢を示しており、日本側は
 開国という大きい譲歩をしたことになります。


 ペリー側としても要求していた通商は除外し、
 開港も5つから2つに譲歩していますが、
 日本開国という目的は達成したと
 いえるのでしょう。


・ハヤシの理屈は、またしても正しかった・・・イギリス人ならば、えい、うるさいと一蹴するかもしれなかった。・・が、アメリカ人にはできない。政治で戦い、正義で儲け、正義で領土を増やし、また正義で植民地を設定する。自ら唱えた道義を否定してしまえば、もうアメリカ人は終わりだ(p255)


■ペリーが部下として息子を同伴して
 対日交渉に臨んでいること、本国から
 武力行使を禁じられていたことなど
 興味深く読みました。


 教科書で読めば数行にしかならない
 ペリー来航ですが、
 歴史小説として読むとこんなにも
 楽しめるものなのですね。


 佐藤さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・土台が国務省には、全部で50人程度の職員しかいないのだ。国交のある国々に大使、公使、領事、弁務官を置くにも、民間人の登用に頼らなければならないくらいだ。アメリカというのは、州権主義の国である・・・連邦政府が登場するのは・・その大方が軍事だ。それが証拠に大組織を築いているのは、ひとつ軍隊だけだ。連邦政府といのは、つまり軍隊のことなのだ(p91)


・太平洋航路の開設が神意であり、またアメリカに与えられた天恵であるとも信じているならば、もうペリーには文字通り天に祈るしかなかった。ええ、神さま、どうか私に暴力を使わせないでくださいますよう。アメリカのマニュフェスト・デスティニーが、これ以上の流血を伴うものでありませんように(p185)


・この9条を入れられたのはよかった。いうところの「最恵国待遇」であり、それは一番乗りに成功した国だけに認められる、一種の特権だった・・・好条件が他国に与えられるものならば、それは自動的にアメリカにも与えられなければならない。すなわち、一番乗りは永遠に一番であり続けられる(p281)


・ボニン諸島・・「オガサワラ諸島」と 別の名前もあったらしいが・・ボニン諸島の主要部分がピール島、バックランド島、ステープルトン島の三島だった・・ピール島の人口は現在31人を数えていた。アメリカ人とイギリス人が、それぞれ3人から4人、ポルトガル人がひとり(p146)


・私がボニン諸島に不動産を所有して、なにか問題があるのですか・・その群島は数年前にイギリス政府の何おいて領有されたと、それが一般的な了解となっているわけでして・・ポニン諸島は帰属がはっきりしていない土地である(p214)


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