「トクヴィルが見たアメリカ: 現代デモクラシーの誕生」レオ・ダムロッシュ

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トクヴィルが見たアメリカ: 現代デモクラシーの誕生

【私の評価】★★★☆☆(78点)


■トクヴィルとは1800年代、
 フランスの貴族として生まれ、
 大学を卒業し司法官となります。


 しかし、フランス革命の影響で
 処刑されそうになるものの
 政変で命をながらえます。


 トクヴィルは忠誠を追求されることを恐れ、
 友人のボモンと共にアメリカの刑務所を
 調査するという名目で18カ月
 (のちに9か月に短縮)の調査旅行を
 提案し、了解されました。


 そこで見たアメリカ合衆国は
 王政も官僚も軍隊もない
 個人主義と拝金主義の
 新しい民主国家だったのです。


・(アメリカとは)対照的に、革命後のフランスでは当の「デモクラシー」という言葉が、暴徒支配を連想させるものとして悪評を買っていたうえ、国王と強力な中央政府と巨大な軍隊が存在し、立法府の選挙で投票できる有権者の数も微々たるものだった(p17)


■当時のアメリカのビジネスモデルは
 インディアンの土地を安く買いたたき
 農地として開墾し、値上がりしたら
 売却して西に向かうというものでした。


 西の土地にいるインディアンには
 土地を引きかえに
 いくばくか金を払いますが、
 インディアンは酒におぼれ
 得た金も生活も失うのです。


 誠実(ナイーブ)なインディアンを
 酒と金と力で欺くこことは
 西欧人にとっては
 簡単なことだったのでしょう。


・彼ら(インディアン)と触れ合ったすべての人が、彼らの誠実さ、善意、寛大さを称讚することに同意します。確かに、彼らと取り引きするヨーロッパ人にも大きく優った点がひとつあるにはあります。ただしそれは彼らのことを絶えず欺くという点においてなのです(p123)


■中央集権化に反対するトクヴィルは、
 1849年にはフランスの外務大臣と
 なっていますが政権は短命となり、
 米国流の政治は実現はできませんでした。


 フランス革命後の政治体制が
 不安定であったなかで、
 アメリカが民主制が一つの理想として
 トクヴィルの参考となったのでしょう。


 その後のアメリカは奴隷制について
 南北戦争を経て廃止し、
 平等と自由という民主主義の
 形を進めていきます。


 もう少し1800年代について
 調べてみたいと思います。


 ダムロッシュさん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・アメリカではアンドリュー・ジャクソンという初の大衆的な大統領が選ばれたばかりで、攻勢ををかけるように領土を西方へと拡大し、いつの日か内戦によって国がバラバラになるのではと予感させるほど、階級間・地域間・人種間の緊迫した関係が強烈に意識されていた(p16)


・当時の抜け目ない農民は保有地を売却し、西へと移住して森の外に新しい農場を切り拓き、再び値が上がるのを待つ・・・西への移住は未来永劫続くはずだった。というのは、そこでは土地をさらに安く買うことがつねに可能だったからである(p95)


・ゴードン・ウッドは・・「1820年代にはすでに、アメリカは西洋の歴史においてもっとも平等主義と個人主義と金儲けを追求する社会になっていた」と述べている(p20)


・アメリカ人の国民性を深く調べれば調べるほど、彼らが地上のすべてのものの価値をこの唯一の問いに応じて決めていることが分かる。それはどれだけお金を生み出すか、である(p50)


・労働者の日給が一ドルだった時代に、ニューヨークには二人の億万長者がおり・・所得税はなく、その価値の1%が課せられる財産税は、悪名高いことに、概して小さく見積もりすぎた査定に基づくものだった(p51)


・黒人あるいは有色人種はつねにのけ者である。彼はホテルに滞在するのも断られる。劇場でも汽船でも、白人からずっと離れた席を設けられる。商取引からは排除される(p54)


・ヨーロッパの監獄はいまだにただ拘置してくだけの房にすぎず、囚人たちは男も女も自由に交流し犯罪の手口を教え合い、贅沢品を取り寄せるために看守を買収していた(p32)


・トクヴィルとボモンにとって、特に当惑させられた発見は、アメリカ人女性の意識の堅い貞節だった。少なくとも彼らが追いかけ回したいと思うような女性はそうだった。売春は、数百の売春宿と大勢の娼婦を抱えるこの都市では巨大な商売だった(p54)


・アメリカの人びとは恋愛で、少なくとも個人の選択で結婚していた。一方フランスでは、結婚は通常家族間の取引だった(p56)


・トクヴィルが認識したのは、アメリカの選挙運動は異常なほど対決的で、フランスには存在しないような出版の自由によって煽り立てられていることだった(p61)


・ボモンは強い反商業的な偏見をもっていたので、知事が恥ずかしげもなく自分の兄弟は食料雑貨店主でいとこは行商人だと言ったことに驚いた(p88)


・彼(リーバー)はトクヴィルにこう語っている。「日々私は、憲法や立法行為はそれ自体では何物でもないという考えに傾いています。それは上部構造で、それに生命を与えることができるのは人民の習俗と社会状況だけです」(p144)


・特にトクヴィルを困惑させたのは、アメリカ人の独立と個人主義が・・たとえばフランス人の生活に行き渡っている中央政府の指示もなく・・どうしてひとつにまとまるのかを理解することだった(p151)


・トクヴィルは憲法修正第一条において「人民が平和的に集会し、不平のもとを正すよう政府に請願する権利」が明確に保護されているのに感銘を受けている・・フランスの法律では、当局の許可をもらわないかぎり、20人を超える集会はいっさい禁止(p155)


・最高裁判所の陪席判事ジョン・マクレーン・・われわれは連邦という仕組みによって、小国のもつ幸福と大国のもつ勢力を兼ね備えているのである(p177)


・「自由な土地」であるオハイオ州の側はきちんと耕作されて栄えているのに対し、ケンタッキー州の側は手入れが行き届かずみすぼらしいという事実・・・ケンタッキー州は奴隷制の支配下にあって、オハイオ州はそうでないということです(p178)


・スペイン人は類例のない残虐行為に訴え、消し難い破廉恥行為に身を汚しながら、インディアン種族を絶滅することも、彼らの権利をインディアンが分かちもつのを妨げることも、結局のところなしえなかった。合衆国のアメリカ人はこの二重の結果を驚くほどたやすく、静穏のうちに、合法的、温情的に達成・・アメリカ人以上に、人間性の法則を尊重しつつ人間を破壊することはとてもできまい(p212)


・ミシシッピ州の上院議員は、「すべての人間は平等です。もちろん白人のことですが。独立宣言の意味する範囲では、黒人は人間ではありません」と公言している(p234)


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■目次

第一章 トクヴィルの来歴
第二章 第一印象──ニューヨーク市
第三章 「すべてがあたらしい世界の証明である」
第四章 森のロマンス
第五章 ボストン──精神の状態としてのデモクラシー
第六章 フィラデルフィア──寛容の精神、結社の伝統、禁獄の実情
第七章 「西部」のデモクラシー
第八章 ニューオリンズを目指して
第九章 馬車で南部を往く
第十章 期待はずれの首都
第十一章 名著の完成
第十二章 アフター・アメリカ



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