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「ものがたりのあるものづくり ファクトリエが起こす「服」革命」山田敏夫

2019/11/01公開 更新
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ものがたりのあるものづくり ファクトリエが起こす「服」革命


【私の評価】★★★☆☆(79点)


要約と感想レビュー

工場から「洋服」を直販する

著者は「ファクトリエ」という国内縫製工場から、「洋服」を直販するというビジネスを行っています。通常、工場が受け取る原価は小売価格の20~30%で、ファクトリエでは50%だという。ファクトリエで6000円のシャツは原価3000円となり、他のブランドなら1万~1万5000円で売られているということになるので、お得ということです。


もちろん工場と直接取引をしたり、そもそも工場名を出すことがアパレルのタブーでした。実際に商品をつくりはじめると、「工場の名前を出すなんてとんでもない。ファクトリエと取引するなら、うちとの取引はやめる」と大口顧客からのクレームが入ったという。想定内とはいえ、既存会社のハードルは高いのです。


・これまで工場の受注額(原価)は「小売価格の20~30%」というのが通例で、アパレルメーカーが「1万円のシャツを作りたい」と考えた場合、原価は2000~3000円。それを商社などが受注し、工場へ発注します(p83)


直販で中間コストを削減

著者の実家は洋服店であり、大学時代にはフランス留学してグッチの店でアルバイトをしていたという。グッチではブランド・ものづくりを大切にしながら、顧客を選ぶというビジネスモデルを実感します。その後、ソフトバンクの子会社で営業技術を学び、その後転職したファッションウォーカーではネット通販の可能性を知ることになるのです。


日本発のブランドを作りたい!」という著者の思いと、ネット通販技術と著者の営業経験が結びつき「ファクトリエ」創業となったのです。インターネットの本質は直販が可能であり、中間コストの削減ができると考えたのです。


・「東京ガールズコレクション」・・僕はイベントの公式通販サイトを運営する立場で、リアルタイムに購買の動向をチェックしていました・・中間コストを省いたインターネット通販であれば、安定した収益を保てるビジネスモデルが可能になりそうだ。そんなイメージが湧いてきたのです(p45)


スティーブ・ジョブズのように、著者の中で点と点とがつながってファクトリエができたのです。ベンチャービジネスは、ノウハウを蓄積するまでは失敗も多く、リスクも高いので、なんとか生き残っていただきたいと思いました。山田さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・僕が働いていたグッチでは、入り口にガードマンが立ち・・"客を選ぶ"姿勢を貫いていたのです・・「ものつくりやブランドの世界観を理解し、共感する相手にしか商品を売らない」・・ブランドを守る思いの強さにとても感動しました(p23)


・日本各地の工場の名前を、ブランド名としてタグにプリント・・いわゆる希望小売価格ではなく、「希望工場価格」で売る(p5)


・失敗するのは当たり前。失敗することを前提に、大失敗をしてもいいから、その代わりにすぐ前を見て走り出すこと。そうしないと死んでしまいます。「猛スピードで失敗しよう」(p68)


ものがたりのあるものづくり ファクトリエが起こす「服」革命
山田敏夫
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【私の評価】★★★☆☆(79点)


目次

第1章 ファクトリエ前夜―愚直に一歩ずつ壁を乗り越える
第2章 ファクトリエ、誕生―無力だから、仲間が支えてくれた
第3章 ファクトリエの一歩―"革命の同志"になる工場を求めて
第4章 ファクトリエの前進―お客さんが物語の"語り部"に
第5章 ファクトリエの試練―猛スピードで失敗しよう
第6章 ファクトリエの今―「新しい当たり前」をつくろう



著者経歴

山田 敏夫(やまだ としお)・・・ファクトリエ代表/ライフスタイルアクセント株式会社代表取締役。1982年熊本生まれ。1917年創業の老舗洋品店の息子として、日本製の上質で豊かな色合いのメイド・イン・ジャパン製品に囲まれて育つ。大学在学中、フランスへ留学し、グッチ・パリ店に勤務。2012年1月、ライフスタイルアクセント株式会社を設立し、同年10月に「ファクトリエ」をスタートさせる。


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