「刑罰」フェルディナント・フォン・シーラッハ

|

刑罰

【私の評価】★★★☆☆(75点)


■著者がドイツの現役弁護士と聞いて
 ピンときた。これは彼が体験した
 事件の調書なのだ。


 世の中には正義と悪があるが、
 正義が勝つとは限らない。


 犯罪は裁かれることはあるが、
 裁かれないこともある。


 無罪の人がつかまることもあれば、
 犯罪者が無罪放免になることもある。


 そうした世の中の矛盾が
 12の短編小説の形で
 表現されているのです。


・連中がどうしてギャンブルにはまるのか、
 今の彼ならよく理解できた。
 ギャンブルの世界のきまりは、
 シンプルで明快だ。
 ギャンブルがつづいているかぎり、
 その部屋とトランプだけがすべてで、
 他の世界は存在しなくなる(p31)


■著者は現役弁護士として
 裁判制度の限界を
 感じているのでしょう。


 無罪の人と裁かないために、
 犯罪は証拠に基づき法と判例に
 基づいて裁判にかけられます。


 証拠がなければ裁けないし、
 法に不備があれば裁けない。


 真実は神様しかわからないわけで
 人は無実の人を裁くか、
 犯罪者を無罪放免とするか
 どこかで線引をしなくては
 ならないのです。


・あの証人はあらわれなかった・・・
 警察は彼女を見つけられなかった・・・
 警察の情報筋によると、あの若い娘は
 最初の裁判で証言したあと殺されて、
 ゴミ捨て場に捨てられたという・・・
 数日後、裁判官は被告人を無罪放免に
 した(p186)


■性奴隷にされ訴えたら殺された少女。
 ダッチワイフにいたずらした隣人を
 ボコボコにした男。
 妻に殺されたのか自殺したのか
 わからない男。


 そうした社会の歪曲した矛盾が
 裁判所に集まってくるのです。
 裁判所は怖い。


 シーラッハさん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・正当防衛は攻撃されたとき、あるいは
 その直前にしか認められないのです。
 あなたの場合、隣人の攻撃から時間が
 経っていますから、もはや正当防衛法の
 範疇での防衛行動とはいえません。
 あなたが被害者に対しておこなったのは
 復讐に当たります(p77)


・女性の気を引こうとしてありとあらゆる
 ことをした。超高級車を買い、クラブに
 足繁く通い、シャンパンをはじめとした
 飲み物をおごってみたが、
 うまくいかなかった(p96)


この記事が参考になったと思った方は、
クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 
blogranking.png


人気ブログランキングへ


刑罰
刑罰
posted with amazlet at 19.07.23
フェルディナント・フォン・シーラッハ
東京創元社
売り上げランキング: 37,072

【私の評価】★★★☆☆(75点)

[Amazonで購入する]

[楽天ブックスで購入する]



■目次

「参審員」
「逆さ」
「青く晴れた日」
「リュディア」
「隣人」
「小男」
「ダイバー」
「臭い魚」
「湖畔邸」
「奉仕活動(スボートニク)」
「テニス」
「友人」



にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ第3位
にほんブログ村



この続きは無料メールマガジン 「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』:1ヶ月30冊を超える情報をe-Mailで」でお読みいただけます。

無料メルマガ購読

>月別(2002年7月~)