「フェルメール 謎めいた生涯と全作品」小林 頼子
2018/11/10公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(70点)
■上野の森美術館で開催されている
フェルメール展へ行こうと思い
手にした一冊です。
フェルメールは1632年生まれ、
日本だと江戸時代前期、
長崎に出島ができて、
後に天草の乱がおこる頃です。
フェルメールは42歳で亡くなるまで
オランダのデルフトで
作品を描き続けました。
・若年の一時期をデルフトの外で修行したとはいえ、
フェルメールは、デルフトに生まれ、
デルフトに仕事をし、デルフトに没した・・
より多くの需要の期待できる大都市へと
移住してゆく他の画家たちをよそに、
デルフトに住み続け、描き続け、
そして初期作品とは全く異なる、
独自の風俗画を内なる力で熟成させた(p270)
■フェルメールの特長は、
左から光に浮かび上がる
写真のような立体的な構図でしょう。
その被写体の瞬間を
高解像度カメラで切り取ったような
透明感を感じるのです。
同時代の絵画に見られるような
暗さがないのも好感を感じます。
・《赤い帽子の女》・・・
フェルメールが使ったことがない
支持体・板が使われていること、
しかも下にあった男性像を削り取って
板を再利用していること、さらには
女性の顔のタイプが他作品と
あまりにかけ離れていること・・
筆者は、同作品を自由翻案した
後世の模作ではないかと考えている(p163)
■作品が30点くらいと少ないため
贋作も多いようです。
私たち庶民はネットで見るだけで
楽しめますので、
贋作かどうか推理するのも
楽しいかもしれません。
小林さん
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・フェルメールがかくも愛されるわけ・・
まずは、作品数が少なく、希少性が高い・・
何せ30数点しかない・・
どこかカメラのレンズ越しに見る
異界に似たところがある(p13)
・フェルメール誕生の1632年といえば、
オランダが日本と交易を始めるべく、
はるばる海を渡り、長崎の出島に商館を
構える9年前のことである(p21)
・フェルメール夫妻には14人の
子供が確認できる。そのうち
成人したのは10人あるいは11人と
推測される(p30)
・1672年のフランスの進攻以降にオランダを襲った不況・・
妻のカタリーナは、その当時のフェルメールが
うまく行かぬ絵の売買を苦にし、
「ある日は元気かと思えば、
ある日は病気といった具合でした」
とも証言している・・
43歳という早すぎる死を考え合わせれば、
何らかの身体的な故障が晩年のフェルメールを
悩ませていた可能性は十分にあろう(p177)
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【私の評価】★★★☆☆(70点)
■目次
第1章 フェルメールの生涯
第2章 物語画家から風俗画家へ
第3章 洗練、そして完成
第4章 模索の始まり
第5章 都市へ向けられた眼差し
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