「学校の先生が国を滅ぼす」一止羊大
2018/10/01公開 更新本のソムリエ [PR]
Tweet
【私の評価】★★★☆☆(73点)
■学校で国歌を歌わない、
国旗を掲揚しない学校は
今でもあるのでしょうか。
この本では20年前の公立高校で
教職員から国歌斉唱、国旗掲揚を
妨害された校長の苦難が記載されています。
同時期、広島では同じように
国歌斉唱、国旗掲揚について
教職員と対立した校長が自殺しています。
・生徒の父親二人(佐藤氏と吉川氏)がやって来ました・・
佐藤氏:卒業式や入学式で、国旗掲揚、
国歌斉唱をやめてもらいたい・・・
私:「申し入れ」を受けるわけにはいきません。
広島県の高校では国旗・国歌の問題に
関わって校長が自殺され・・
佐藤氏:あの校長はアホや。日の丸や君が代に
反対すればよかったんや。日の丸・君が代は
思想・信条の自由を侵すものであり、
やめてもらいたい。
私:思想・信条の自由を侵すものではないことは、
判例でも明確になっています。
佐藤氏:民主教育に反することをなぜやるのか(p103)
■前任の校長は、国旗・国歌は正しく
指導していると報告しながら、
実態は何もやっていませんでした。
こうした校長が多かったのでしょう。
著者が校長として国旗掲揚、国歌斉唱を
卒業式で行おうとすると
教職員から吊るし上げられました。
言葉の一部を取り上げ、曲解し、
人格攻撃に近い誹謗中傷を書いた
ビラを配布される。
勝手に式次第から国歌斉唱を削除する。
反対の父兄から校長に抗議させる。
上司を苦しめる技術として参考になりますね。
・分会ニュースは、連日国旗・国歌反対の
キャンペーンを張っていましたが、年が
明けてからは、私の人格を攻撃する川柳や
国旗・国歌の取組を揶揄する川柳をいくつも
載せるようになっていました。私が職員会議で
言ったことを不当にねじ曲げて、言っても
いないことを言ったかのように書いて
攻撃もしていました(p99)
■普通の国では国歌斉唱、国旗掲揚は
スポーツでの国歌斉唱を見ればわかるとおり、
常識すぎて議論にもなりません。
オリンピックで国歌斉唱と国旗掲揚を
拒否する人がいるでしょうか。
反対する教職員は、
国歌、国旗が軍国主義につながる、
国歌が天皇をたたえる歌である、
日の丸は戦争につながるなどと
言っています。
本気でそう思っているのか、
テクニックとして言っているのか
分かりませんが、
国歌斉唱、国旗掲揚が戦争に
つながる理由が分かりませんでした。
戦争は誰でも嫌いでしょう。
いかにして戦争を防止するのか、
そのために何をしなくてはならないか
合理的に考えてほしいものです。
一止さん
良い本をありがとうございました。
───────────────
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・「君が代なんて、そんな、やならくていいわよ」・・・
宇都宮校長は、校長会などでは国旗・国歌の
指導を正しく行っているとよく吹聴していたと
いうことです。後で実態を知った或る校長は、
「えっ」と驚きの声を上げ、
「あんなに偉そうに言っていたのに・・」
と深い溜息をついていました(p15)
・校長は職務命令で『日の丸』『君が代』を
押しつけるのか。議論してほしいと校長は言うが、
職員会議の合意を守らず『日の丸』『君が代』を
押しつけるのなら議論しても仕方がないではないか」
などと反発する有様でした(p36)
・広島県立世羅高等学校の石川敏浩校長が、
卒業式の前日に自殺・・・
卒業式の国旗・国歌のことで悩み、
追い詰められた末の悲劇でした・・・
三月になると、私に国旗・国歌の取組を
やめさせようとする動きはいっそう
激しさを増していきました(p102)
・保護者の佐藤氏・・および卒業生の母親二人
(香川氏と古田氏)が国旗・国歌反対の申し入れに
やって来たのです。三名とも、共産党の影響下にある
「障害児を守る会」という組織のメンバーでした・・
1 日の丸・君が代の押しつけは
戦前の在り方への逆戻りだ。
2 学習指導要領で決めてあっても、
教育のことは学校で話し合って進めるべきだ
3 これまでやっていなくても
問題がなかったのに・・(p114)
・国旗・国歌は戦争に繋がると言って私に抗議をした
女性教諭がいました。私が、「戦争をイヤだという
気持ちは私も人一倍持っています。私の兄は海軍の
予科練に入り僅か17歳で戦死しましたから」・・・
彼女は信じられないことを言ったのでした。
「先生のお兄さんも侵略者だった・・・」(p134)
・世間の常識では理解できないことかもしれませんが、
大阪では教員自身が異動を希望しない限り
何年でも同一校に勤務することができる
制度になっていました(p175)
・「卒業式のしおり」を担当していいた松下という
女性教諭が、教頭の指示を無視して式次第から
「国歌斉唱」を抜いてしおりを
準備していることがわかりました(p214)
・大挙して押し寄せた教職員・・・
小村:生徒が不安がって混乱しているんです。
昼の休憩時間に「何で国歌が流れたの?」
と聞くんですよ・・
井田:「起立できる方はご起立ください」を
もう一段トーンダウンして、起立を
求めないようにしてください(p250)
・私は他行への転任の辞令を受け、
4月1日付けで転勤しました・・・
私は残務処理のためにB校へ行きました・・
教職員の机上に配布されている文書を見て
心が凍り付きました。吉田分会長が
B4判一枚にびっしりと私を誹謗中傷する
文章を書き連ねていたのです・・・
やりたい放題の限りを尽くした吉田教諭たちを、
教育委員会は結局、誰一人として
処分することはありませんでした(p305)
この記事が参考になったと思った方は、
クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓
【私の評価】★★★☆☆(73点)
■目次
第1章 「職場民主主義」の実態
第2章 背後に潜む政党の影
第3章 国旗・国歌法が制定されても
第4章 それは指示か、職務命令か
第5章 相も変わらず懲りない面々
コメントする