「トレバー・ノア 生まれたことが犯罪!?」トレバー・ノア
2018/06/13公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(71点)
■南アフリカ生まれのコメディアンが
伝えるアパルトヘイトの実態です。
著者は南アフリカでスイス人の父と
黒人の母の間に生まれました。
カラードと呼ばれます。
白人居住地、カラード居住地、
黒人居住地はそれぞれ
隔離されていました。
著者は生まれたこと自体が、
当時は犯罪であったのです。
・カラード、黒人、白人、インド人での
人種登録を義務づけられていた。
この分類に基づいて、何百万人という
人々が、住んでいた土地を追われ、
強制移住させられた(p36)
■黒人は労働力(奴隷)として
利用されていました。
黒人の教育は、農業で必要な
読み書きソロバン程度。
人種別の階層化と
部族ごとの対立を利用し、
白人は黒人を支配したのです。
・アパルトヘイトを機能させておく唯一の方法は、
黒人の考える力を削ぐことだった・・
理科も歴史も公民も教えない。計量などの、
農業に関することだけを教えた(p89)
■その後、アパルトヘイトは崩壊し、
黒人による政府ができましたが、
主導権争いで、多くの人が亡くなりました。
教育を受けていない黒人が
いきなり国家を運営していくのは
難しかったことが推察されます。
トレバーさん
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・インカタ自由党とアフリカ民族会議(ANC)
のあいだで権力を争う暴力事件が次々と起こった・・
ズールー族とコサ族の代理戦争のようなものだ・・
ネックレスと呼ばれるリンチは日常茶飯事だった・・
相手の首に掛けたゴムタイヤを押し下げて両腕の
自由を奪い、ガソリンをかけて火を放ち、
生きながら焼き殺すのだ(p23)
・英国人の人種差別主義者は
「人間のように歩いたり話したりできるサルなら、
ひょっとしたら人間かもしれない」と考え、
アフリカーナ―の人種差別主義者は
「サルに本を与えてどうするんだ」
と考えたわけだ(p90)
・ホームランドというのは、表向きには、
南アフリカの各部族本来の土地であり、
自治権や半自治権のある「国」で、
そこなら黒人は「自由」ということに
なっていた。もちろん、うそっぱちだ・・
土地は国土の約13%だった。
水道も電気もなく、人々は
掘っ立て小屋に住んでいた(p93)
・南アフリカでは、中国人は黒人とみなされていた・・
インド人と違って数が少なかったために、
別の分類をつくるわけにもいかなかった・・
日本人は白人と見なされていたことだ。
当時の南アフリカ政府は、日本の高品質な
自動車や電子機器を輸入するために、
日本と良好な関係を築こうとしていた(p109)
・すべての人種別にトイレを設置すること。
白人用、黒人用、カラード用、それにインド人用の
トイレを設置してください・・
それがおいやでしたら、普通のレストランにして、
客は白人だけにするんですな(p151)
・カラードの人々は、立ち返るべき
はっきりとした伝統や文化がないという
呪縛に苦しめられている・・
黒人は、どんなに苦しんできっとはいえ、
自分が何者かがわかっている。
カラードは、それさえわからないのだ(p163)
・トレバー、よく覚えておきなさい。
まず相手の心とセックスしてから、
相手の体とセックスするのよ(p180)
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【私の評価】★★★☆☆(71点)
■目次
1 走れ
2 生まれたことが犯罪
3 トレバー、お祈りして
4 カメレオン
5 ふたりめの女の子
6 抜け穴
7 愛犬、フフィ
8 父、ロバート
9 桑の木
10 思春期の、長く、ぎこちなく、ときに悲劇的で、いたたまれないことだらけの恋の教訓 その1「バレンタインデー」
11 アウトサイダー
12 思春期の、長く、ぎこちなく、ときに悲劇的で、いたたまれないことだらけの恋の教訓 その2「片思い」
13 色めがね
14 思春期の、長く、ぎこちなく、ときに悲劇的で、いたたまれないことだらけの恋の教訓 その3「ダンスパーティー」
15 いいぞ、ヒトラー!
16 チーズボーイ
17 世間は守ってくれない
18 母の命