「奴隷のしつけ方」マルクス シドニウス・ファルクス、ジェリー・トナー

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奴隷のしつけ方

【私の評価】★★★★★(90点)


■ローマ貴族の家に生まれた
 マルクス シドニウス・ファルクスが
 書き残したと言われる奴隷管理法です。


 内容は紀元後1~2二世紀の
 帝政期のものと考えられています。


 当時の奴隷は、戦争の戦果として
 ローマに連れてこられたものであり、
 日本人のシベリア抑留を思い出させます。


・奴隷とは、勝利を喜ぶ兵士たちが
 敵をあえて虐殺せず、軍事的抵抗の代償を
 ローマ人への奉仕という形で
 払わせることにした結果である(p27)


■奴隷を制御していたのは
 厳しい罰則でした。


 過ちを起こせば鞭打ちや
 土牢に入れ、食事を与えない。


 主人を殺せば、
 奴隷は全員が死刑です。


 ただ、鞭に頼りすぎると
 奴隷が疲弊するだけであり、
 適切な労働管理が大事だと
 書いてあります。


・奴隷は主人を殺した。このような場合・・
 古来の法に則って家内奴隷全員が
 処刑される(p180)


■奴隷が奴隷を管理することもあり、
 奴隷が奴隷をいじめることも
 あったようです。


 現代のサラリーマンとは
 見方を変えれば
 奴隷のようなものだと思いました。


 定年で解放される奴隷なのです。


 トナーさん
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・奴隷を置くということは、こちらを
 憎んでいるかもしれない人間を
 使うということだ。つまり
 出費であると同時に重荷である(p45)


・大土地所有者たちは、買い上げた農地を
 元の持ち主である農民に耕させたわけでもなければ、
 ほかから自由農民を雇って耕させたわけでもなく、
 奴隷を買ってきて農作業をさせたのである(p16)


・代々奴隷を所有してきた家の者は
 鞭に頼れば奴隷が疲弊するだけと知っている・・
 主人のふるまいが適正であれば、
 奴隷も骨身を惜しまず働くし、
 長年にわたってあなたの支えとなるだろう(p52)


・わたしの場合、奴隷に体罰を与えるときは
 請負人に頼んでいる。地元の評議会がそういう
 サービスを提供していて、一定の料金で
 鞭打ちを代行してくれる(p128)


・わたしの田舎の領地には土牢があり、
 奴隷が過ちを犯したらしばらく独りで
 そこに入れておく・・
 食事もほんの少ししか与えない。
 今日では厳密に言えば違法だが、
 とりわけ粗暴で頑固な奴隷にわからせるには、
 こうした方法もやむをえないのでは
 ないだろうか(p129)


・同じ出身地ないし同じ部族の奴隷を
 多く買いすぎてはいけないということである・・
 口裏を合わせて逃亡したりすることで、
 最悪の場合は主人の殺害さえ企てかねない(p32)


・役割分担を明確にするといい。
 分担が明確になれば責任の所在も
 明らかになる(p59)


・下の者を痛めつけてばかりいる奴隷には
 目を光らせ、ある種の圧力をかけることで
 自制を促さなければならない・・・
 どうやら出身地が同じだと互いに
 細かい違いが気になるようで、
 ちょっとしたことですぐに
 口論やけんかになる(p78)


・主人が若い奴隷たちから
 性的快楽を得るのはごく普通のことで、
 わたしにも今かわいがっている
 少年奴隷が一人いる(p87)


・20年あるいは30年働けというのは酷だろう。
 わたしはおおよそ30歳で解放するというのを
 目安にしている。30歳なら社会に出て
 身を立てる時間が十分残されているし、
 解放後も忠実な解放奴隷として
 あなたに質の高い労働を提供してくれるだろう。
 いや、もっと短く、5、6年働かせれば
 十分だという意見もある(p197)


・たとえ解放されても、かつて奴隷であった者が
 その事実から逃れることはできない。
 それにもかかわらず不遜な態度をとれば、
 だいたいは罰せられるし、場合によっては
 ある期間追放される(p216)


・最近では奴隷が窃盗、売春、その他の不正行為で
 儲けた金で自由を買い取り、
 ローマ市民の仲間入りをする例も見かけられる。
 一方、開放奴隷の成功を妬んで、
 周囲の人々がこれを阻もうとした例もある(p218)


・わたしが会ったことがある裕福なキリスト教徒は
 いずれも奴隷を所有していて、しかも
 その扱い方はほかのローマ人と変わらない。
 また個人ではなくキリスト教の教会も、
 評議会と同じように奴隷を所有している(p232)


・皇帝陛下はズボンの効用といった
 野蛮人にも通じるつまらない話題を探すのに疲れ・・
 (ズボンはもともとローマにはなく、
 ゲルマン民族から普及した)(p10)


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奴隷のしつけ方
奴隷のしつけ方
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マルクス シドニウス ファルクス ジェリー トナー
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【私の評価】★★★★★(90点)


■目次

序文 主人であれ
第Ⅰ章 奴隷の買い方
第Ⅱ章 奴隷の活用法
第Ⅲ章 奴隷と性
第Ⅳ章奴隷は劣った存在か
第Ⅴ章 奴隷の罰し方
第Ⅵ章 なぜ拷問が必要か
第Ⅶ章 奴隷の楽しみ
第Ⅷ章 スパルタクスを忘れるな!
第Ⅸ章 奴隷の解放
第Ⅹ章 解放奴隷の問題
第ⅩⅠ章 キリスト教徒と奴隷
あとがき さらばだ!



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