「北朝鮮・中国はどれだけ恐いか」田岡 俊次
2018/05/06公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★☆☆☆(62点)
要約と感想レビュー
中国共産党独裁を批判する人はバカである
朝日新聞出身の軍事ジャーナリストがどんなことを言っているのかな、と手にした一冊です。2007年の本ですので、ちょうど北朝鮮の核ミサイル開発が問題となり、北朝鮮を米国が攻撃するのか、それともどう対応するのか議論になっているときの書籍です。
面白いのは、事実を並べつつ、中国を共産党独裁と批判する人は、バカ症候群であると断言していることが注目されます。中国は資本主義を採用して発展しており、米国債を保有してアメリカを支えているのに、共産党独裁と批判するのはおかしいと主張しているのです。
・バカ派症候群・・数例を挙げておこう・・中国が資本主義を採用して急速に発展し、巨額の米国債を保有して米経済を支え、証券取引所を設け、憲法を改正して「私有財産の保護」を謳っていることや、共産党が経営者の加入を求めて商工会議所化しているなどの根本的変化を無視して、「共産党独裁国家」と言う(p21)
中国の国防費の増加はたいしたことない
また、中国を敵に仕立てるのは良くないと主張していること、中国の国防費の増加は、日本の高度経済成長期と同じだから問題ないとしていることに違和感を持ちました。中国は防衛費は13倍となりましたが、物価の上昇を考えれば実質4倍だというのです。
問題は防衛費がすべてを表していないし、明らかに中国が核兵器を含む軍拡を行うだけでなく、武力による威嚇で現状変更しようとしていることなのです。問題点をずらそうというところは新聞社で学んだのでしょうか。
・中国の公表国防費は1988年から2006年の19年間で13.0倍・・消費者物価の上昇率は・・86年から05年の20年間で見ると、3.32倍だから、実質3.91倍の増だ・・日本の高度成長期と同等の伸びであることは確かだ(p139)
防衛省が沖縄の島に中国の脅威があるとしていることについて、そんな想定は滑稽で、中台間の戦争が起きる可能性は小さいと断定しているのです。さすが朝日新聞出身だけあって期待を裏切りませんね。田岡 俊次さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・防衛省は、「中台紛争の際、中国軍が琉球諸島の島を占拠する」ことを想定して・・これは滑稽は想定だ。1 中、台、米、日は「現状維持」で一致し、中台間の戦争が起きる公算がそもそも小さい・・(p238)
・中国を敵に仕立てるな・・国際政治の要諦は、敵はできる限り中立に近づけ、中立国はなるたけ味方とすることにあり、わざわざ中国を敵に仕立てるようなことは愚の骨頂ではないかと考える(p268)
▼引用は下記の書籍からです。
朝日新聞社
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【私の評価】★★☆☆☆(62点)
目次
「バカ派」の増殖を危惧する
第1部 北朝鮮の核
第2部 中国の軍事力
著者経歴
田岡俊次(たおか しゅんじ)・・・軍事ジャーナリスト。1941年、京都市生まれ。64年早稲田大学政経学部卒、朝日新聞社入社。1968年から防衛庁担当。米ジョージタウン大戦略国際問題研究所主任研究員、編集委員(防衛担当)、ストックホルム国際平和問題研究所客員研究員、AERA副編集長、編集委員、などを歴任
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