「M&Aアドバイザーの秘密 トラブルと苦労の日々」村藤 功

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M&Aアドバイザーの秘密

【私の評価】★★★☆☆(73点)


■外資系コンサルティング会社を
 渡り歩いてきた著者の業界話が
 おもしろい一冊です。


 外資系は、上司が人事権を持つ徒弟制度。
 コンサルティング会社は産業スパイ?
 自由の国では資格が重要など、
 働いた人でなければわからない話が楽しい。


 著者の経歴は、会社が破綻したり(2回)、
 事業部が廃止になったり、
 特に運が悪かったようです。


・ベインは大変なコンサルティング会社だった・・
 産業スパイのようだと思いながら、
 日本の工場に電話をして、
 コスト構造について質問したこともある。
 雇い主がアメリカの競争相手だということを言わず、
 市場調査なのでよろしくお願いしますといいながら、
 気のいいオジサンに工場のコストの数字を
 教えてもらうのだ(p10)


■著者はM&Aが専門ですので、
 後半は企業の吸収・合併についての
 専門の話になります。


 M&Aでは、東芝の7000億円の特別損失を
 思い出しました。


 東芝は、2015年原発建設会社のS&W社を買収。
 買収にあたり、遅れていたS&W社の建設工事の
 建設費増額と期間を延長。


 ところが1年後に、その建設工事で約7000億円
 という超過費用が判明し、
 東芝が負担することになったというものです。


 「なんでそんなことになるの?」
 と疑問に思っていましたが、
 この本を読んでも
 その答えはありませんでした。


 7000億円もの追加費用が予想されていれば
 東芝は契約しないでしょうし、
 そういう費用は責任を取らないという
 契約になっているのが常識らしいからです。


・嘘をついたり、隠し続けたりしていた問題は、
 売却後も問題が発覚した時点で契約中の
 表明・保証条項(Representation and Warrantees)
 により責任を取らなければならなくなる。
 騙したり隠したりしても、
 重大な問題は後で発覚しないわけがない(p116)


■資本主義では、何でも金しだい。


 金からは逃げられないのだと
 思いました。


 東芝のように騙されないように
 気を付けましょう。


 村藤さん
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・自由の国アメリカでは、次の仕事は自分で
 応募して決めていくのである・・
 ただ私は常々不満だったのは、
 面白いチャレンジングな仕事は
 すべてMBAが必要とされるか、
 MBAが望ましいとされていること(p20)


・私の人事権を握っていたのは
 顧客でなくて仕事の上司であった・・
 外資系は合理的だという幻想があるようだが
 必ずしもそれは正しくない。
 属人的な徒弟制度の下で、私は
 徒弟もしくは奴隷として振舞うことを
 期待されていたのに期待外れだった
 ということだ(p34)


・海外経済協力基金か国際協力基金に
 入りたいと思った。ところが、
 国際協力基金にいくと、単なる海外への
 人材斡旋業でくだらないからやめておけといわれ、
 海外経済協力基金に行っても、
 大蔵省、通産省、外務省、経済企画庁の
 四省庁出身者支配であり、
 基金に直接入ったところで出世できるわけが
 ないからやめろといわれた(p5)


・鈴木自動車が合弁会社としてやっていた
 重慶長安汽車の中国側パートナーの
 深セン上場にあたって鈴木自動車に
 株を買ってもらったり・・
 スズキやシャープは・・渋ったが、
 中国政府が裏にいて合弁事業を継続したいなら
 買えというようにほぼ強制に近いやり方を
 していたため、スズキやシャープに
 たいした選択肢はなかったようだ(p41)


・ハノイでは高級官僚にも会って情報収集をしたが・・
 賄賂を出さないと前に進めないという話を聞いた。
 プロジェクトはしたいが違法行為はしたくなかったため、
 プロジェクトの開始をあきらめざるを得なかった(p45)


・垂直統合の例・・ただし、水平統合と違って
 自分がやっていない事業を買収する場合は、
 買ってからなぜその会社がそうしているのか
 わかることがあり、想定していた合理化が
 可能かどうかは事前にわかりにくいことが多い・・
 競争力のない事業者を引き受けて
 支配すること自体が自分の製品の
 競争力を損なうこともありうる(p72)


・あまり多すぎる買い手候補にデュディリジェンスを
 させるのは手間がかかるが、1社だけにしてしまうと、
 後で主要条件について交渉しづらくなるので、
 デュディリジェンスに進む買い手候補を
 複数確保することが望ましい。
 3社から5社くらいでいいだろう(p101)


・営業譲渡は、買い手が、ターゲット事業の不良資産や
 偶発債務を回避したい場合に選択され、使われる。
 ストラクチャーとして合併や吸収分割を使うと、
 事業の譲受人は法人全体を引き受けることになるので、
 邦人に不良資産や偶発債務があれば、
 これを逃れることができない。(p130)


・LBOに狙われやすいターゲット・・
 1 事業の過小評価
 2 リターンを生まない投融資
 3 最適でない資本構成
 4 賢くない経営陣
 いいターゲットがあれば、LBOを行って、
 1 不要な投融資の処分、
 2 事業の売却、
 3 資本構成の最適化を行うことにより
   成功できる(p172)


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■目次

第1章 M&Aアドバイザーになるまで
第2章 M&Aアドバイザーの日々
第3章 うまくいくM&Aのプロセス
第4章 M&A取引のストラクチャリング
第5章 企業価値評価の方法
第6章 M&Aのことば



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