「絶対絶命でも世界一愛される会社に変える!」石坂 典子
2017/10/12公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(81点)
■テレビ朝日のダイオキシン報道で
窮地に陥った埼玉県の
産業廃棄物処理会社の
再生ストーリーです。
著者の会社は既に
ダイオキシン対策済の新型焼却炉を
建設して運転していました。
ところが、この報道により
焼却そのものへの反対運動が盛り上がり
取引先も取引停止。
やむなく建設2年で焼却炉を
廃止する決定をします。
・1999年2月1日・・『ニュース・ステーション』
(テレビ朝日系、当時)で、「汚染地の苦悩
農作物は安全か?」という特集が放映・・
埼玉県所沢市のホウレンソウをはじめとする
「葉もの野菜」に、高濃度のダイオキシンが
含まれていると報道されたのです・・
後日、ダイオキシンが検出されたのは
野菜ではなく、煎茶だったことが判明した
のですが、時すでに遅し!(p3)
■そして、当時30歳の著者が社長となり、
生き残りをかけて産廃処理会社を
変えていったのです。
まず、40億円を投資して
リサイクルプラントを建設。
すると住民から「サティアン」と
呼ばれてしまう。
5S、挨拶を徹底したら、
古参社員が4割退社してしまう。
周囲の同業者は、
新米女性社長を「お手並み拝見」と
見ているだけだったのです。
・仕事中のタバコを禁止し、
ヘルメットの着用を義務づけ、
二日酔いでの出社、
サンダルやぞうりでの出社は厳しく叱りました。
そして、挨拶を徹底させました(p78)
■厳しい(当たり前の?)社員指導と
建設廃材リサイクルの波に乗り、
会社は黒字化していきました。
驚くべきは、敷地の8割が里山(緑地)で
専属の6名が緑地を管理し、
さらに別の8名が工場見学や環境教育を
担当していることです。
環境経営にこれだけ
投資している会社は珍しいのでは
ないでしょうか。
石坂さん
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・「人の話を聞いて失敗したら後悔するけれども、
自分で考えて失敗すれば後悔しない」
と父は最初に教えてくれました(p63)
・社長になった半年間で4割の社員が退職。
平均年齢55歳が、一気に35歳へと
下ったのです(p83)
・社員が十分に満足するような給料を出し、
社員たちが将来は子どもも働かせたいと
思うような会社・・だからこそ里山再生という
社会貢献活動を行い、地域に認められ、
愛されることで石坂ブランドを確立
したいのです(p202)
・森林は苗木を植えてから15年くらい経ち、
木が成長してくると、互いの枝葉が重なって
それ以上成長できなくなります。
それで一部の木を間引き、残された木が
成長できる空間をつくるわけです(p180)
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【私の評価】★★★★☆(81点)
■目次
はじめに 所沢「産廃銀座」を立て直した女
第1章 なぜ、職人肌の父は、30歳の娘へ社長を譲ったのか
第2章 荒廃した現場で50代不良社員に立ち向かい、どうやって会社を変えたか
第3章 「地獄の3年間」から「おもてなし経営」へシフトした瞬間
第4章 東京ドーム3.5個分の8割が里山! 2割が工場! 見えないブランドをつくる「新・里山資本主義 」
第5章 どん底からでも利益を生み出す方法
おわりに 世界中から人が集う会社へ