「崖っぷち社員たちの逆襲-お金と客を引き寄せる革命「セレンディップ思考」」小島 俊一
2017/09/29公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(82点)
要約と感想レビュー
書店の提供しているものは何か
書籍の大手出版取次トーハンから四国・松山の書店に転職し、倒産寸前の書店を復活させた実話です。物語形式としているので、出版取次ではなく銀行からの天下りと若干設定を変えています。
それまでの松山の書店は、出版社やジャンル別に本を並べてあるだけの普通の書店でした。この旧態依然の書店を、著者はどう変えていくのでしょうか。著者は、現場の店長に「酒屋さんはコンビニになり、薬屋さんはドラッグストアになりました。本屋さんは、どうなっていくんでしょうね」と問いかけています。
ワンクリックすれば、欲しい本が翌日には届く時代において、街の本屋の役割って何ですかね?(p56)
書店は地域の知性の寄り処
打ち手としては、お薦めの本を前に出して売り場の魅力を向上させています。店舗としては、コンビニとの共同出店や大型ショッピングセンターへの出店などで、書店以外のお客様の流れを作っています。新規事業としては、図書館の書籍納入への参入や、ネット販売に参入しています。
そして最も困難だったのは、士気の落ちた社員の意識を変えることだったようです。接客や品揃えで本屋さんのお客様を大切にすることができるのか、ということです。
内容の関連性で本が棚に並べられている。本好きの店長が考えた本が所狭しと並べてある。店内を歩くだけでワクワクしてくる。こんな本屋は、「地域の知性の寄り処」と言える(p125)
書店閉店して図書館あり
この本の中で、著者は「図書館にベストセラーが何冊も置いてあるのは、本屋への営業妨害ですわ。しかも、その本は地元で買われていない」と言わせています。まさに書店を図書館が殺しているのです。
書店とは、本を陳列し保管する場なのか、それともお薦めの本を提案する場なのかということだと思いました。もちろんこのメルマガは、お薦めの本を提案する場です。全ての書店が、お薦めの本を並べることができるようになる未来を期待します。小島さん良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・この立ち読みこそ、日本の本屋に残された最後の財産なんじゃないのかな?ただ、本を読む日本人のインテリジェンスの高さに本屋が甘えていられる時間も、もう長くはないと思う(p57)
・東京の高級食品スーパー・・パスタの横には、白ワインとフランスパンが並べてあるの。これって、物を売るのでなくて、ことを売っているわよね。生活提案と言ってもいいわね。本屋って、そんな提案ってあるかしら?(p144)
・川上徹也先生が出した宿題って何?
1 人を売る、
2 店を学校にして体験を売る
3 社会貢献や志を売る
4 問題解決を売る
5 期待値の1%超え
の5つを具体的に考えること(p148)
・独自化のためのキーワード、
1 ファースト・ワン
2 ナンバー・ワン
3 オンリー・ワン
の3つを具体的に考える(p148)
「会社を潰すな!」のタイトルで文庫化されています。
【私の評価】★★★★☆(82点)
目次
第1章 出向を命ず
第2章 招かれざる客
第3章 お客様は神様です
第4章 クレーム対応
第5章 従業員はコストですか?財産ですか?
第6章 逆上がりできますか
第7章 割増退職金
第8章 反撃
第9章 何によって記憶されたいのか
第10章 手のひらを返す
第11章 セレンディピティー
第12章 奇襲攻撃
第13章 退職願い
著者経歴
小島俊一(こじま しゅんいち)・・・1957年福岡県生まれ、明治大学政治経済学部卒。(株)トーハン入社後、2005年石川県「王様の本」へ出向し、書店現場での経験を積む。その後トーハン執行役員近畿支社長、同九州支社長を経て、2013年に四国・松山の(株)明屋書店代表取締役就任、現在に至る。中小企業診断士・産業カウンセラーの資格を持ち「良いコミュニケーションが人生を豊かにする」をテーマに、コーチングやNLPの手法を用いた「魔法質問セミナー」を開催中。中小企業再生をライフワークとしている。週刊ダイヤモンド誌で全国300万社対象の2016年「地方『元気』企業ランキング」で明屋書店を日本一に導く。
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