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「誰も書かない中国進出企業の非情なる現実」青木 直人

本のソムリエ 2017/07/14メルマガ登録
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誰も書かない中国進出企業の非情なる現実(祥伝社新書327)


【私の評価】★★★☆☆(79点)


要約と感想レビュー

■ニュースで東証1部創業109年の化学薬品商社
 「江守グループホールディングス」が、
 民事再生法適用を申請したと知りました。


 中国の子会社で中国人責任者が
 自分の親族の経営する企業との
 不正な取引で金を引き出していたという。
 よくあるパターンです。


 昔、中国事業を拡大して経営破たんした
 ヤオハンの現地の店舗でも
 商品がなくなったり、
 社員の横領などが頻発し、
 赤字続きでしました。


 「騙されるヤツが悪い」
 という社会に対して
 日本人はあまりにも
 ナイーブなのかもしれません。


・ヤオハンは上海に、中国で一番大きいデパートである「上海市第一百貨商店」と合弁で事業を始めましたが、「上海市第一百貨商店」が提供したのは資本金というより土地のみ、実際の営業資金や百貨店の建設資金は、ほとんどヤオハンが負担していました。そして、思ったほど収益が上がらなかったので・・結果的にパートナーの「上海市第一百貨商店」が三分の一か四分の一の値段で買いたたいて・・(p64)


■また、よくあるのは、
 現地政府の許認可権での
 嫌がらせです。


 単に賄賂を十分払っていない
 だけなのかもしれませんが、
 賄賂を悪と考える会社は
 中国ではやっていけません。


 さらに最悪なのは、
 賄賂を払っていた権力者が失脚し、
 事業そのものが権力者ともども
 潰れてしまうこと。


 そうした国で長期的に
 安定した収益を確保することが
 できるのでしょうか。


・王子製紙・・投資額2000億円もの「南通プロジェクト」・・この10年間、中央と地方政府のさまざまな政治的思惑、および許認可権を使っての圧力、嫌がらせに直面・・(p50)


■国会議員、政府機関、銀行など揃って
 中国進出を後押ししている時代が
 ありました。


 しかし、事業がうまくいかなくても
 誰も助けてはくれません。
 自己責任となるだけです。


 中国のような不安定な社会では、
 短期間で投資を回収していくこと。
 いつでも撤退できる準備をしておくことが
 大事なのだと感じました。
 

 青木 さん、
 良い本をありがとうございました。


この本で私が共感したところ

・上海のGMでしたら、大連や天津で製品を売ろうとすると、その地元政府の役人が、販売を妨害するのです・・中国の中にいくつか国があって、その国が保護主義的な政策をとっているように考えていい(p106)


・欧米企業が、中国当局によって合弁会社を押し付けられそうになれば、政府が出てきてクレームをつける。ところが王子製紙の場合は・・撤退すれば外交問題になるから、日本の外務当局は逆に企業に圧力をかける(p58)


・「上海環球金融中心」は、世界一の高層ビルを中国の上海に建設するために誕生・・株の90%は六本木ヒルズで知られたデベロッパー森ビルの子会社が所有・・地面を掘ったところ、地下水が出てくるわ、地盤沈下もひどい・・清水建設は、工事から手を引きます・・事業を中止できなかったのは、日本外務省の意向も無視できなかったためです(p83)


・2011年廃止論もあったODAも、わずか7.6%削減されただけで、2012年は42億5000万円もの援助継続が決まった。理由は「中国に誤ったメッセージを送る可能性がある」からだった。だが、日本国民はすでに気づいている。そうした「外務省の認識こそが、中国に誤ったメッセージを送るもの」だということを(p203)


・河野洋平外相(当時)と佐藤(嘉恭)大使は、遺棄化学兵器処理を日本の予算で全額負担するという中国側の要求を最終的に受け入れる。ある日中関係者は、「これはODA中止の代償だった」と断言する。補償金額は最低でも一兆円・・(p198)


・問題視すべきはまだある。彼(佐藤嘉恭)が民間団体の日中友好強化の副会長(会長代理)を務めていたことだ。同協会は戦後、日本共産党によって設立され・・現会長は、これも中国派の加藤紘一である。佐藤(嘉恭)氏はこれ以外に、河野洋平前衆議院議長が会長職にある日本国際貿易促進協会において、副会長(現在は顧問)のポストにいた。国際貿易促進協会は、日中友好協会と同様に、日本共産党が 中国との友好貿易を通じて資金確保を目的に設立した左派系の親中国団体である(p199)


・伊藤忠訪中団を招待したのは、実は中国国際友好連絡会という民間団体なのですが・・正体は、人民解放軍の総政治部の参加にある一大シンクタンクであり、軍の対日工作も担当しているインテリジェンスなのです・・国際友好連絡会は、日本の公安当局者の重要な監視対象団体になっています(p148)


・表に出ているもので最大のカンパは、宋慶齢基金会という団体・・鄧小平たちが直々に音頭をとってつくった団体で・・ここにトヨタは日本企業の中では唯一、一社で三億円ものカンパをしています。この団体がいま現在、一番力を入れているのは・・「尖閣諸島は中国領である」という大々的なキャンペーンを張ることです(p117)


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【私の評価】★★★☆☆(79点)


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目次

序説 本当は恐ろしい中国ビジネス
第2章 王子製紙――ストップした工事の行方
第3章 森ビル――上海に建てた「世界一」の高層ビル
第4章 労働争議に立ち向かう自動車メーカー
第5章 伊藤忠――人脈ビジネスの破綻
第6章 伊藤忠の代理人、丹羽「中国大使」の退場
終章 中国をつけ上がらせた歴代中国大使の「大罪」
中国大使退職後の天下り先一覧


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