「「他人」の壁 唯脳論×仏教心理学が教える「気づき」の本質」養老 孟司 名越 康文
2017/07/08公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(70点)
要約と感想レビュー
「バカの壁」で有名な解剖学者の養老孟司先生と精神科医の名越康文さんの対談です。テーマは他人とは基本的に分かり合えないということ。例えば、最初から相手を否定する人。また、「こいつはダメだ」と自分のモノサシで人を裁いて怒っている人。自分の過去の固定観念で「ダメな奴」と決めつける人が多いのです。
養老さんの経験では、虫の標本を見ていると「それ、なんか意味あるんですか」って聞いてくる人がいるのだという。養老さんは、逆に、おまえに意味があるのかって聞きたくなるという。そもそも猫が苦手な人に、猫のおもしろさを延々と語っても永遠に伝わらない。前提が根本から違うんだから分かり合えるはずがないのです。
分かり合えない他人同士、うまくやっていくのが大人なのです。養老さんは、子育てなら「見守るしかない」という覚悟が必要だと言っています。面白いところは、実は物事には意味がないというところでしょう。諸行無常。これもいずれは過行くものだ。時はただ過ぎていくのです。養老さん、名越さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・「ただやる」ということが大切なんでよね。「行」というのは、どんな意味や効果があるのかを考えないで、「ただやる」(名越)(p118)
・分厚い学術書なんか見ると、その厚さだけで「ああ、これ書いた人はやっぱりわかってないな」と、思いますよね・・説明が長すぎて誰が読むんだって(養老)(p64)
・樹齢何百年とかの立派な大木を見て「立派だな」「美しいな」と感じ入りながら、そこに自分を同調させていくと、自意識が小さくなるんです(名護)(p81)
・臨床心理の河合隼雄さんが、カウンセリングの秘訣は何ですかと人から聞かれるたびに、「相槌の打ち方ですな」といつも言っていました(養老)(p84)
▼引用は下記の書籍からです。
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【私の評価】★★★☆☆(70点)
目次
序章 「他人」をわかりたがる現代人
第1章 「わかる」の前に立ちはだかる他人の壁
第2章 誤解を無理に解く必要はない
第3章 「意識化」と「脳化」がもたらした弊害
第4章 無理解の壁に向き合える「場」の力
第5章 世界を席巻するグローバリズムの「壁」
第6章 判断を鈍らせているのは自分自身
終章 「違和感」を持つことで主体的に生きる
著者経歴
養老孟司(ようろう たけし)・・・1937(昭和12)年神奈川県鎌倉市生まれ。62年東京大学医学部卒業後、解剖学教室に入る。95年東京大学医学部教授を退官し、現在東京大学名誉教授。
名越康文(なこし やすふみ)・・・1960年、奈良県生まれ。精神科医。相愛大学、京都精華大学客員教授。専門は思春期精神医学、精神療法。近畿大学医学部卒業後、大阪府立中宮病院(現:大阪府立精神医療センター)にて、精神科救急病棟の設立、責任者を経て、1999年に同病院を退職。引き続き臨床に携わる
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