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「日本の漁業が崩壊する本当の理由」片野 歩

2017/03/23公開 更新
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日本の漁業が崩壊する本当の理由

【私の評価】★★★★☆(89点)


■日本の海は、
 乱獲で魚が減少しています。


 その原因は、日本の漁業規制では、
 漁船の大きさを制限したり、
 休漁期間を設けたりしていますが、
 漁船ごとの漁獲枠がありません。
 早く獲った者勝ちのなのです。


 一方で、北欧諸国では、
 魚の資源量に応じた
 漁船ごとの漁獲枠を設定して
 魚の資源を維持しています。


・日本の場合は漁船の大きさを厳しく制限したり、
 一定の水揚げ量を超えると休漁期間を設けたり・・
 一方でノルウェーを始めとする漁業先進国は、
 アウトプットコントロール(産出量規制)、
 つまり漁船の大きさよりも、主に漁獲量で
 規制しているので、船が大型化しても肝心の
 漁獲量は変わりません(p82)


■この本の良いところは、
 具体的に乱獲と資源減少の実態を示そうと
 努力しているところです。


 そして海外での成功例を示し、
 改善案を提案している。


 確かに漁船ごとに漁獲枠を割り当てる
 個別割当制度は導入時点が
 一番たいへんそうです。


 しかし、それをやらなければ、
 日本の漁業に未来はないという
 ことなのでしょう。


・日本のサバは主に獲りすぎで
 資源が激減してきました。
 1990年には国内でのサバ不足が深刻になり、
 一気にノルウェーからサバを10万トン以上輸入、
 コンスタントにサバを輸入する時代に
 突入しました(p67)


■今の日本の漁業を作った
 自分だけ良ければいい漁師と、
 不勉強なマスコミと、
 天下り先確保優先の役人と、
 理念のない政治家を
 この本で変えたいとのこと。


 この本を読むかぎり、
 ノルウェー方式が良いなあと
 思いました。


 片野さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・2016年と2017年はノルウェーとロシアの
 シシャモ漁場であるバレンツ海での
 禁漁が決まりました。
 資源に減少傾向が見られたので、
 回復を待つことにしたのです・・
 シシャモが禁漁になってもニシンやサバ
 といったほかの魚種があるので、
 大騒ぎになったりはしません(p78)


・欧米、オセアニアといった漁業先進国では
 漁獲量を制限する「漁獲枠」を設定、
 漁業者が小さな魚を意図的に避ける制度
 (個別割当制度)を運用しています(p13)


・これらの国々では、漁獲枠を、
 科学的根拠に基づく科学者からの
 アドバイスに従って決めています・・
 一方、日本の場合は、基本的に漁獲を
 漁業者の「自主管理」に任せています(p129)


・網が海底に着底する場合は、海底の環境が
 荒らされることで砂漠のようになって・・
 たとえば九州南部の海域で行われてきた
 「以西底曳き漁業」・・の水揚げは、
 1960年代には30万トンほどあったものの、
 近年では1万トン弱に激減しています(p84)


・マダラでそうした漁獲枠の制限がないのは
 世界を見ても日本くらいです。
 行政はいつもあとで検討するって言って、
 科学的知見が足りないからと先送り・・
 そんなこといったら俺の天下り先
 なくなっちゃうからって話だよね(p116)


・北欧諸国で実施されているように、
 日本・韓国・中国・台湾が、共同で
 科学的な資源の調査と国ごと漁船ごとに
 漁獲枠の設定を行い、洋上でオークションをし、
 高値を払った国の会社に水揚げしていく
 システムにすることはできないでしょうか(p90)


・日本は魚が減って補助金が増えました。
 一方でノルウェーでは魚の資源が回復して、
 補助金が事実上なくなっています(p198)


・個別割当制度を導入すると漁期が短くなる
 という意見があるようですが、
 逆に長くなります。
 漁業者は水揚げが集中して魚価が
 下がらないように、水揚げを意図的に
 分散していきます(p144)


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日本の漁業が崩壊する本当の理由
日本の漁業が崩壊する本当の理由
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片野 歩
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【私の評価】★★★★☆(89点)



■目次

第1章 知られざる日本と世界の漁業の実態
第2章 徹底討論。魚を守るなら、いましかない
第3章 世界の成功例から具体的な政策を考える
さいごに 国家戦略と意思決定


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