「流しの公務員の冒険」山田 朝夫
2016/11/08公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(80点)
■自治省キャリア官僚を10年で辞め、
地方自治体の一般職として
転職した山田さんの一冊です。
「流しの公務員」とは、
自治体の課題を解決して歩く
公務員ということです。
もちろんはじめのうちは、
職場のよくない点を指摘して
嫌われることもありました。
正しいだけでは、
現場の人は動かないということを
学んだのです。
・「正しいことを主張して
相手を説き伏せれば、
相手は動くはずだ。・・・
今までそうして人が動いたためしは
一度だってありません(p34)
■試行錯誤の成果が出たのは、
13年後の三つ目の自治体でした。
財政危機で金がないそ自治体の
老朽化した赤字の市民病院を
廃止するのか、建て直すのか、
検討することとなったのです。
まず、財政危機の自治体で
事業仕分けを行いました。
県医療界の実力者に相談し、
現状の赤字の市民病院を
黒字化しました。
並行して職員の給与15%カットを
含めた病院の新設計画を
とりまとめました。
さらに市民を巻き込んで
ワークショップなどで意見を
聞きました。
・いずれは、人件費を削って財源を
捻出しなければならない。
仕分けは職員にその覚悟をしてもらうための
「演出」でもあったのです(p43)
■自分だけでやるのではなく、
人を巻き込んで進めることが
大事だなと感じました。
そして、著者がくじけないのは、
良い意味で根拠なき自信と
良き未来を持っているからなのでしょう。
山田さん、
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・「組織」というものは、最初はある
「目的」を達成するためにつくられるのですが、
一度できてしまうと、その目的よりも
組織自体を維持発展させる方を
優先させるという「本末転倒」を
起こします(p11)
・1 問題の本質から逃げない・・
1はとても勇気が要ります。
本質は根が深いので、下手に手をつければ
「パンドラの箱」のように
災いが噴き出しかねない(p16)
・ある時、意を決して、
トイレの掃除を始めました。
トイレ内のタイルの壁面や床が
すごく汚れていたからです(p56)
・わたしが出席しただけでも10回のVE協議
(建物の機能を低下させずに請負代金を
削減する会議=Value Engineering)を
行いました(p122)
・手の届くような目標を設定してあげて、
できたら褒めてあげる。次はもうちょっと先、
もうちょっと先という感じでやっていくと、
人が育つ・・みなさんにやってもらいながらも、
抜け落ちている部分がある。そこを後ろから
行って、そっと埋める(p234)
時事通信社
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【私の評価】★★★★☆(80点)
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■目次
序章 「自分の仕事」をつくる
第1章 病院再生
第2章 霞が関の憂鬱
第3章 流しの公務員の誕生
第4章 トイレを磨く
終章 流しの公務員「仕事の流儀」
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