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「大人の流儀」伊集院 静

2016/09/20公開 更新
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大人の流儀


【私の評価】★★★☆☆(70点)


要約と感想レビュー

雅子夫人についての思い出

伊集院さんというと夏目雅子さんの夫というイメージだけで手にした一冊です。広告代理店で働いているときに夏目雅子さんと出会い結婚。雅子さんが亡くなった後は、会社も辞め、フリーで小説家として生きてきたという。この本で初めて、雅子夫人についての思い出を書いたらしいのです。


雅子夫人がなくなってからは、しばらく深酒する毎日だったようです。「哀しみにも終わりがある」という自分に言い聞かせるような引用した言葉が印象的でした。


人間の死というものは残ったものに大きなものを与えます・・最後に、数年前に観た映画でのチェチェンの老婆のせりふを紹介します。「あなたは若いから知らないでしょうが、哀しみにも終わりがあるのよ」(p189)

ギャンブル依存症の人を批判

著者の主張は、昭和的なもののように感じました。例えば、三連休が多いことについて休みが多すぎるとし、"ゆとり教育"なんて、1年かけて教科書一冊程度の勉強で大丈夫なのか苦言を呈しています。また、"賢人会議"というものに対し、賢人と呼ばれて、平気で出て行く人も恥ずかしくないのかとしています。


不思議だったのは、著者は競輪や競馬や麻雀などのギャンブルをやるのに、パチンコなどのギャンブル依存症の人を批判していることです。昼の日中から働き盛りの男女がパチンコで三十兆円も金を使っているのはいかがなものかと指摘しているのです。


親が朝鮮半島出身であることも書いてありますし、いろいろ苦労してきたようです。世の中の不条理もすべて経験してきた著者をして、「大人の・・」というタイトルは出版社が決めたのでしょうか。伊集院さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・人はそれぞれ事情をかかえ、平然と生きている(p98)


・車を手配されることがある。その折、運転が危険だったり妙に思えると即座に運転手に訊く。「君、疲れているのかね」・・それで運転が直らなければ・・下車し、タクシーなり別の交通手段を選ぶ(p21)


・新成人の諸君に少し言っておく。
 1 すぐに役に立つものを手にして、何かが上手く行ってると思うな。すぐに役に立つものはすぐに役に立たなくなる
 2 金をすべての価値基準にするな・・
 3 自分だけが良ければいいと考えるな・・
 4 世界を見ろ・・(p155)


大人の流儀
大人の流儀
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伊集院 静
講談社
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【私の評価】★★★☆☆(70点)


目次

春(大人が人を叱る時の心得 不安が新しい出口を見つける ほか)
夏(「ゆとり」が大人をダメにする 敗れて学ぶこともある ほか)
秋(妻と死別した日のこと 生まれた土地、暮らしている土地 ほか)
冬(大人にも妄想が必要だ 女は不良の男が好きなんだよ ほか)



著者経歴

伊集院静(いじゅういん しずか)・・・1950年2月山口県生まれ。立教大学文学部卒。1991年『乳房』で第12回吉川英治文学新人賞、1992年『受け月』で第107回直木賞、1994年『機関車先生』で第7回柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で第36回吉川英治文学賞を受賞


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